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18/09/03

保険

「保険でお金を貯める」は一石二鳥のこともある

皆さんは、お金を貯めるために、保険を選択肢に入れたことはありますか?
保険には掛け捨ての保険もあれば、お金が貯まる保険もあります。
しかし、最近の保険は満期金のある保険でも、支払った保険料の合計より満期金が少なく、元本割れすることも珍しくありません。
果たして保険で貯蓄するのは本当に損なのでしょうか?
今回は保険と貯蓄を切り離して考える方が得か、一緒に考えた方が得かを検証してみました。

昔は「保険で貯蓄」は王道だった

昔々、金利が5%、6%もあった昭和の時代は、満期金のある養老保険や、お金の貯まる終身保険、個人年金に加入すれば、支払った保険料の総合計額より、ある時期を境にお金が増えるのは当たり前でした。
場合によっては、支払った保険料の2倍3倍のお金が戻ってくる、なんていうのも珍しくなかったのです。
「保障もつくし、お金も増える」。まさに一石二鳥という事で、誰もが自ら進んでそれらの保険に加入していました。
そう、保険は安全で確実にお金を増やす、とても優秀な金融商品だったのです。

今は「保険と貯蓄は別々で!」が広まる

ところが、今、金利がとても低くなってしまった日本では、養老保険で満期になっても元本割れを起こす事が珍しくありません。
そこで、保険と貯蓄を切り離して、保険は月々の負担の少ない掛け捨ての定期保険にして、貯蓄は原則元本割れのない銀行預金か郵便貯金で行うのがいいという考えが広がるようになったのです。

とはいえ、保険は口座から長期間定期的に毎月引き落とされ、いつの間にかお金が貯まっている……ということができたら一石二鳥で楽ですし、ありがたいのではないでしょうか。
それはもう無理な話なのでしょうか。

保険と貯蓄で検証

そこで、ある保険会社の一般的な終身保険を利用して保障と貯蓄を同時に手に入れるケースと、解約返戻金の全くない定期保険と貯蓄を別建てで用意するケースで検証してみました。

なお、以下の例では
・65歳までは1000万円の保障がほしい
・65歳までに800万円程度の貯蓄がしたい
という前提で計算してみました。

1. 30歳男性の場合(※編注:30歳男性表を挿入)

まず、終身保険のケースを見てみましょう。
1000万円の終身保険に65歳払いで加入して、65歳時点の解約返戻金を貯蓄と考えたとするとします。この場合、毎月の支出は2万1010円です。
払込保険料と65歳時点の解約返戻金を比べてみると48万2000円解約返戻金が少ないので、その分損する事になります。

では、定期保険と貯蓄の組み合わせではどうでしょうか。定期保険料は2370円と、終身保険よりずっと少なくなります。しかし、65歳の時に、終身保険の解約返戻金と同じだけ貯蓄をするには、金利に期待できないとすると、月々約1万9860円が必要になります。よって、月々の支払いは2万2230円になります。
定期保険の保険料は結果的に130万2000円掛け捨てになりますから、その分が損する事になります。

つまり、65歳時点で1000万円の保障と800万円の貯蓄を得ようと考えた場合、終身保険のほうが結果として82万円も安く済むことになります。

2. 40歳男性の場合(※編注:40歳男性表を挿入)

同様の計算を40歳男性で行うと、終身保険のみだと84万7000円の損、定期保険と貯蓄だと125万1000円の損になります。年齢が高いと終身保険の保険料がアップするため終身保険での損は増えます。しかし、それでも終身保険のほうが得になる計算です。

3. 30歳女性の場合(※編注:30歳女性表を挿入)

30歳女性の場合は、終身保険のみだと24万7800円の損、定期保険と貯蓄では99万5400円の損になります。
男性に比べて女性は保険で損する金額が少なくなります。

4. 40歳女性の場合(※編注:40歳女性表を挿入)

40歳女性になると、終身保険のみだと56万1000円の損、定期保険と貯蓄では90万円の損という結果になりました。
お金を貯める保険は若いうちに契約したほうが損が少なくなります。

しかも、忘れてはいけないのは、終身保険の場合は満期後も保障が続くということ。万が一の時には保険金が支払われます。それに対し、定期保険は掛け捨てですから、65歳を過ぎても保障を受けるには保険料の支払いを続ける必要があります。この点でも、終身保険のほうが優れているといえそうです。

保険は計算して加入しよう

今の時代、資産形成としては損をすることも多い保険です。しかし、保険と貯蓄を合わせて考え、終身保険などをうまく活用することで、保険の掛け捨て部分の負担を抑えることができるといえるでしょう。
つまり、保障も貯蓄もお得に用意できる「一石二鳥」はまだ健在という事になります。

ただし、保険会社や、年齢、性別で保険料が異なりますから、ご自分の場合の保険料の支払い総額と解約返戻金を確認し計算してから保険に加入するかを決めましょう。

廣木 智代 ファイナンシャルプランナー(CFP)

結婚後、家業のスナックで手伝いをしていたが母の引退と共に廃業。家計の苦しさを埋めるための我が家の保険の見直しをきっかけに、お金に賢くなるお手伝いをするべくCFP資格を取得。心と体とお金の健康バランスを軸に、個別相談、セミナー、執筆を展開中。最近はラジオCRT栃木放送にて「賢くなる座談会」を放送中。FP Cafe登録パートナー

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