24/03/10
【新NISA】投資と貯蓄の理想の割合を教えてください
2024年から新NISAが始まり、投資への関心が高まっています。さらに、株価が高まっているニュースを目にすることも多く、資金を貯蓄から投資にシフトしようと考える人も多いようです。
とはいえ、投資にはリスクがつきものですから、貯蓄とのバランスが大切です。
今回は、投資と貯蓄の割合についてお伝えします。
まずは貯蓄を生活費1年分用意しよう
投資は元本保証ではありません。そのため、まずは貯蓄です。目安は、生活費1年分です。生活費1年分の貯蓄があれば、急なアクシデントにも慌てず対応することができます。
たとえば、災害、退職や転職、転居、病気やケガの治療など、収支のバランスが大きく変化するリスクは、いつなんどき起きるかわかりません。こんなとき、貯蓄がなければ対応できませんし、投資資産の一部を売却するといっても、損失を抱えていては現金化しにくいですよね。
また、家電の買換えや急な旅行のお誘いなども、資金があれば楽しく対応できるでしょう。
ですから、本格的な投資は貯蓄が生活費の1年分貯まってから始めることをお勧めします。
それまでは、投資の準備段階なので、投資をするなら元手のかからないポイント投資や少額投資にとどめておきましょう。
みんなどのくらい貯蓄・投資している?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2023年)」によると、金融資産保有世帯(金融資産保有額ゼロを除いた世帯)の保有金融資産の金額と割合は、次のようになっています。
<保有金融資産の金額と割合>
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)2023年」
より筆者作成
預貯金は、投資のような収益性はありませんが、元本保証の安全性と、すぐに現金化できる流動性に優れています。資産のおおむね4割から5割は、預貯金で保有していることがわかります。
保険も金融資産に含まれます。保険もまた、基本的に途中解約などがなければ元本保証の資産と言えるので、貯蓄と合計すると約6割は安全性の高い資産に振り分けていることがわかります。
そして残りは投資です。株式の金額の割合が多いようですね。おおむね3割から4割近くが投資に振り向けられていることがわかります。
年代別の金融資産保有額と、貯蓄・保険・投資の割合は、次のようになっています。
<年代別の金融資産保有額>
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)2023年」
より筆者作成
<単身世帯の資産構成割合>
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)2023年」
より筆者作成
<二人以上世帯の金融資産構成>
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(単身世帯)2023年」
より筆者作成
20代ではまだ結婚していない人も多いでしょう。単身世帯の資産割合を見てみると、預貯金の割合が平均よりも高いことが分かります。また二人以上世帯では保険の割合が突出しています。20代は、「まずは貯蓄」段階の人が多いので、どうしても預貯金の割合が高くなるのもうなずけます。まだ金融資産保有額も少ないので、貯蓄を優先させておくと安心です。
30代以上になると、投資の割合が増えてきます。どちらかというと、単身世帯のほうが自由に使えるお金が多いからか、投資が多い傾向です。二人以上世帯では、保険に加入する分だけ投資に振り向けるお金が少なくなっています。
50代、60代ともなると、金融資産保有額も大きくなっていますが、金融資産構成にそれほど大きな変化はありません。
投資と貯蓄の理想の割合はどう決める?
各年代のデータから、投資と貯蓄の割合のイメージがつかめたと思います。ただ、投資と貯蓄の理想の割合は、リスク許容度(どこまで損に耐えられるかの度合い)によって変わります。一般的には、年齢が若い、資産が多い、年収が多い、家族が少ないほどリスク許容度は高いといわれますが、リスクをとることに抵抗がある場合は、リスク許容度は低いと考えられます。リスク許容度を考えて、無理のない範囲で投資をすることが大切です。
とはいえ、貯蓄だけではなかなかお金が増やせない時代です。生活費の1年分が用意できているのであれば、積極的に投資にお金を振り向けてもよいと考えます。
万人に当てはまる理想の割合というものはありませんが、貯蓄の少ない20代のうちはまだリスクを取るのは早いと考えます。
一方、30代から50代の間は、生活費の1年分が貯まって、たとえば毎月5万円貯蓄できるとなったら、投資と貯蓄に半分ずつ振り分けるというのでもよいでしょう。
一方、60代以降はリスクを取りすぎて損を抱えてしまうと、リカバリーに時間がかかってしまいます。それに、定年、再就職・再雇用などで収入が変わる時期でもあります。投資の割合を減らしてもよいでしょう。
投資先のおすすめは、投資信託です。
投資信託は、投資のプロであるファンドマネージャーが運用してくれる金融商品なので、ある程度おまかせで資産運用できることがメリットです。2024年から制度が変わった新NISAや税金を減らしながら老後資金を用意できるiDeCoを利用することで、利益にかかる税金をゼロにして堅実にお金を増やせます。
株式は、長期保有による配当や株主優待の楽しみもあり、短期売買の面白みもあります。
ただ、あまり株価の動向をマメにチェックすることが難しいなら、株式投資より投資信託のほうが資産に取り入れやすいかもしれません。
債券のなかでも、国が発行している個人向け国債は、投資ではあっても国が元本を保証している、安全性の高い金融商品です。今後のインフレ傾向の見込みから、個人向け国債を積極的に投資先に考えてもよいでしょう。
リスク許容度を見極めて投資しよう
年代別の金融資産の構成割合からは、貯蓄が多い傾向が読み取れました。しかし、貯蓄だけではお金は増えない時代です。とくに30代から50代の働き盛りの方は、生活費の1年分を確保したら、投資を上手に取り入れましょう。投資は長く続けることでお金が堅実に増やせます。自分のリスク許容度を見極め、リスクがとれると考えたら、投資額を増やすのもよいでしょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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