24/02/08
「定額減税+現金給付」が対象の年収はいくら?
2024年6月、物価高騰を受けて定額減税・現金給付が実施されます。
定額減税は、ひとりあたり所得税で3万円、住民税で1万円の合計4万円の減税です。税金が減って手取りが4万円増えたら、少しは楽になりそうですね。
とはいえ、2024年6月の給与が、通常より4万円増えるわけではありません。
少々複雑なこの仕組み、しっかり把握しておきましょう。
所得税減税のしくみ
会社員などで、収入が給与の人は給与明細を見てみてください。
給与明細の控除の欄に「所得税 ○○円」とあれば、毎月の給与から、所得税が差し引かれています。
所得税減税の3万円については、2024年6月の給与から本来差し引かれる所得税が減税されます。
つまり、給与から差し引かれている所得税が4万円だとしたら、2024年6月の給与では3万円減税されて所得税が1万円になるということです。
しかし、毎月の所得税が4万円になる人は、月給が50万円以上ある計算。月給50万円以上の方もいるでしょうが、少数派ではないでしょうか。所得税が3万円に満たない場合は、翌月以降に繰り越して減税を行います。
たとえば、月給が30万円の独身者(扶養家族なし)の場合、所得税は月6000円程度と考えられます。この場合、3万円は引ききれませんから、6000円ずつを10月まで5か月かけて減税します。つまり、所得税減税の合計額が3万円になるまで、給与から所得税はさしひかれないということです。
住民税減税のしくみ
給与明細の控除欄に、「住民税 ○○円」と、所得税と同様に記入があれば、住民税も差し引かれています(記入がなければ、次項の事業所得者を見てください)。住民税は1年分を6月から翌年5月の12か月に分けて支払います。しかし、今回の減税によって、2024年6月の給与分からは住民税が差し引かれません。そして、1年分の住民税から減税分の1万円を差し引き、その金額を11カ月で割って、7月以降の給与から差し引きます。
月給が30万円の独身者(扶養家族なし)の場合、住民税はおよそ月1万2000円。
1年間では14万4000円ですから、1万円減税で13万4000円です。この13万4000円を11か月で割った「1万2181円」が7月以降の給料から差し引かれます。
一度に手取りが4万円増えるのではなく、毎月少しずつ手取りが増えて合計4万円です。
今回の減税は物価高対策ですので、日常の買物の負担を軽くする、という目的には合っているのかもしれません。
事業所得者の場合は?
収入が給与ではないフリーランスや個人事業主などの方は、2024年の収入について2025年2~3月に確定申告をします。したがって、原則としてこの確定申告のタイミングで所得税の減税がなされます。
住民税は、2024年6月から口座引き落とし、もしくは自治体から送られてくる払込票で支払いますが、そこから順次減税されます。
定額減税の満額控除の対象となる年収は、535万~2000万円
今回の定額減税は、ひとりあたり所得税3万円、住民税1万円ですから、家族が多ければそれだけ世帯としての減税額も増えます。しかし、減税はそもそも所得税と住民税の納税額が減税額以上ないと、そのメリットが受けられません。
試算によれは、夫婦と小学生2人の家族の場合、定額減税の満額控除を受けられる年収の目安は、およそ535万~2000万円です。なお、年収が2000万円以上の高収入の場合には、物価高の影響もそれほど大きくないと考えらえるため、定額減税の対象外になっています。
年収270万~535万円は定額減税+現金給付
定額減税だけではひとりあたり4万円の減税額を引ききれない場合には、減税分の一部が現金給付(調整給付)されます。現金給付は、ひとりあたり4万円の減税額と、実際に減税された金額の差額を、1万円単位で切り上げた金額です。
つまり、4人家族で16万円減税されるべきところ、10万9000円しか減税できなかった場合には、残りの5万1000円を1万円単位で繰り上げて、6万円が給付されるということです。対象は、夫婦と小学生2人の家族の場合で年収およそ270万~535万円の世帯です。
所得税非課税世帯、住民非課税世帯は現金給付
同様の場合で、年収255万~270万円の世帯には、所得税が課税されず、住民税は均等割のみ課税されています。この場合、定額減税のメリットが受けられませんが、1世帯あたり10万円の現金給付が受けられます。さらに、18歳以下の子どもがいれば、ひとりあたり5万円が加算されます。
また同様に、年収255万円未満で、所得税と住民税が非課税の世帯では、1世帯あたり7万円の現金給付です。これは、すでに支給された、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」の3万円と合わせて10万円、という計算です。
さらに、18歳以下の子どもがいれば、ひとりあたり5万円が加算されます。
ここまで紹介してきた金額の目安は、夫婦と子2人(小学生)の場合のものです。政府の資料には、単身世帯や夫婦子1人(大学生)、年金収入の場合の年収の目安も示されています。
<給付金・定額減税の目安の年収>
内閣府「低所得者支援及び定額減税を補足する給付について」より
現金給付は、地域の自治体に申請をするのが基本です。
対象になりそうなら、まずは問い合わせて確認するといいでしょう。
定額減税は、富裕層ではない「ふつうの人」こそ活用すべきものです。
賃上げが追い付かない物価高には、2024年6月からの定額減税・現金給付を上手に活用していきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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