23/12/08
新NISAの成長投資枠でおすすめ投資候補は?高配当株・増配株の選び方も解説
新NISAで大きく変わった点を振り返り
まずNISA改正点のおさらいです。新旧比較表はこちらです。
<NISAの新旧比較表>
(株)Money&You作成
大きく変わった点は5つあります。
①無期限で非課税の投資可能
→旧NISAは新規に投資できる期限があった
②年間の非課税投資額枠の拡大(名称も変更)
→つみたてNISA 40万円 → つみたて投資枠 120万円
一般NISA 120万円 → 成長投資枠 240万円
③つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる
→旧NISAはどちらか片方の選択制。
併用可能のため、年間360万円の投資が可能
④1人あたりの生涯投資枠1800万円(うち成長投資枠は1200万円)が設定
→つみたて投資枠のみで1800万円利用可能
⑤商品を売却した翌年に非課税投資枠が復活するので再投資ができる
→旧NISAは復活なし
長期・積立・分散投資を実践することで、堅実にお金を増やすことができますので、新NISAの王道の使い方は「つみたて投資枠」を活用することでしょう。
既につみたてNISAを利用している人はこのことを理解し、実践していることでしょう。
でも、つみたてNISAを利用している人の中には、新NISAでは「成長投資枠」で株式投資やETFに投資をしてみたいと思っている人もいるかもしれません。
今回はそんな成長投資枠の銘柄の選び方をご紹介します。
個別株は1株から購入できる時代に!
日本株は通常、100株単位の「単元株」で取引されます。株価は1株あたりの価格で表示されているため、単元株を買うにはその100倍の金額が必要です。
しかし、証券会社のなかには1株単位での取引ができるサービスを用意しているところも。これを利用すれば、1株からでも株を買うことができるようになります。1株であっても、本格的な株式投資です。多くのサービスでは、新NISAにも対応しています。保有している株数に応じて、配当金も受け取れます。
ただし、株主優待はほとんどの場合もらえません。単元未満株であっても、少しずつ買い増して100株の単元株になれば、株主優待をもらうことができます。なかには単元未満株でも利用できる積立投資サービスを用意している証券会社もあります。
<主な単元未満株の投資サービス>
著書「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)より
たとえば、楽天証券「かぶツミ」では、国内株式を3000円から積立投資で購入することが可能。毎月指定した日に指定した株を、指定した金額または指定した株数で定期的に買い付けできます。株も一定額を定期的に買い付けることで、ドルコスト平均法によって平均購入価格を抑えることができます。
新NISAの成長投資枠のおすすめ投資候補は?
NISAの運用益非課税の恩恵を受けるには、利益が出ている必要があります。成長投資枠で個別株に投資するならば、投資先はよく吟味しましょう。
投資先は好業績であることが大切。過去3期〜5期分の売上高・営業利益と『会社四季報』(東洋経済新報社)の2期分の予想を見て、右肩上がりで伸びているかを確認します。
<会社四季報のチェックポイント>
著書「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)より
また、10年後、20年後と中長期的に拡大が見込める業界かどうかも確認しましょう。
たとえば医療・農業・美容・健康・ヘルスケア・ゲーム・半導体といった業界は、今後も息の長い需要が見込めます。
ETFはコスト(経費率)が安いのが特徴ですが、そのなかでもなるべく安いものを選びましょう。0.03%〜0.2%程度が目安です。また、ETFが効率よく安定的に投資するためには、ある程度の規模が必要です。純資産総額が50億円以上、売買の成立した量を表す出来高が3万口以上あるかもチェックしましょう。
世界経済の成長の恩恵を受けるには、「全世界株式型」または「米国株式型」のETFがおすすめ。世界経済はおおむね年3%程度で成長していますし、米国は世界経済の中心だからです。
高配当株・増配を続ける株もおすすめ投資候補
会社の事業がうまくいったときに支払われるのが配当金です。株価に占めるこの配当金の割合(配当利回り)が高い株を高配当株といいます。はっきりした定義はありませんが、配当利回りが3〜4%を超える銘柄は高配当株だといわれます。
また、配当の金額を増やすことを増配といいます。なかには、増配を何十年も続けている連続増配株もあります。
高配当株・連続増配株には、業績がよいものが多くあります。何より、株を持っているだけで配当がどんどんもらえるのですから、積極的に探してみましょう。
ただし、配当利回りが高い銘柄を見つけたからといって、安易に飛びついてはいけません。配当利回りは「1株あたり配当金÷株価×100」で計算するため、業績が悪くて株価が下がっている銘柄の配当利回りも高くなってしまうのです。
こうした銘柄を買ってしまうと、配当金の利益よりもその後の株価下落で大きく損をするかもしれません。また、配当金を減らす減配や、配当金を出さなくなる無配となると、いっそう損をする可能性もあります。
高配当株・増配株を選ぶときのチェックポイントは、次のとおりです。
<高配当株・増配株のチェックポイント>
著書「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)より
①売上高や営業利益が大きいか
企業が商品やサービスを売ることで稼いだ金額の合計を示す「売上高」と、売上高から売上原価と販管費を差し引いた、いわゆる本業で稼いだ金額を表す「営業利益」の両方が右肩上がりになっているかをチェックしましょう。過去5年間と今後2年間の予測が伸び続けている会社が有望です。
②営業利益率・経常利益率が高い
営業利益率は売上に占める本業で稼いだ利益の割合、経常利益率は営業利益からさらに営業外収益・費用を差し引きした、会社の収益力を測る指標です。もちろん、営業利益率・経常利益率が高いに越したことはありません。
③1株あたり利益(EPS)や1株あたり配当が年々増加している
1株あたり利益(EPS)とは、会社の最終的な利益である当期純利益を発行済み株式数で割ったもの。EPSが年々増えている会社は堅実に成長していることを表します。
1株あたり配当が年々増加していることも合わせてチェック。高い配当を出し続けられるか、増配の可能性があるのかが判断できます。
④借金が少ないか
会社の成長には借金が欠かせませんが、度を超えた借金があると財務的に苦しくなってしまいます。そこで、会社にあるお金のうち、返さなくていい部分(自己資本)の割合を示す「自己資本比率」をチェックしましょう。50%以上だと安全性が高いと判断されます。
また、会社の有利子負債(利子をつけて返さなければならないお金)は少ないほど健全。配当金は会社が蓄えている利益剰余金から出しますので、利益剰余金が多いことも注目ポイントです。
⑤不況に強い業種か
高配当投資では、業績や株価が比較的安定している、不況に強い業種の銘柄を選びましょう。不況に強い業種には、食品、医薬品、電力・ガス、鉄道、通信などが該当します。いずれも、たとえ不況になってもなくてはならないものなので、不況に強いというわけです。そうした業種の好業績銘柄に投資しておけば、配当金も安定して得られる期待ができます。
『はじめての新NISA&iDeCo』 頼藤太希・高山一恵 著
はじめての新NISA&iDeCo (成美堂出版)
25万部超のベストセラー「はじめてのNISA&iDeCo」が、新NISAに完全対応最新版となって2023年12月発売。書籍名も"新NISA"となり、NISAの部分は全面改訂、ページ数も増量。投資信託・株の選び方やおすすめ銘柄、NISA・iDeCo活用戦略も収録
【関連記事もチェック】
・新NISAの成長投資枠で狙え!1株だけでもらえる優待16銘柄【Money&YouTV】
・子どもの金銭感覚を狂わせる親のやってはいけない5つのNG事項
・貧乏人は買うがお金持ちは買わない5つのもの
・「お金持ち夫婦」と「貧乏夫婦」を分ける、決定的な5つの違い
・「金持ち老後」と「貧乏老後」を分ける決定的な5つの違い
頼藤 太希 マネーコンサルタント
(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍100冊、累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(旧Twitter)→@yorifujitaiki
この記事が気に入ったら
いいね!しよう