23/07/07
私立中学に通わせる親の年収はいくらあれば良いのか
「教育方針がしっかりしている」「整った環境下で学べる」「難関大学を目指すのに有利」など、私立中学進学にはさまざまなメリットがあります。そんな私立中学に子どもを通わせたいと考えたとき、まず気になるのは学費でしょう。「我が家の年収でやっていけるのか」と心配する方もいらっしゃるかもしれません。そこで本記事では、私立中学進学にかかる学費や親の平均年収について解説していきます。
私立中学に通うためにかかる費用
東京都の発表によると、都内にある私立中学校182校の初年度納付金平均額は、98万9125円。内訳は下記図表の通りです。このうち「授業料」と「その他」は、2年時や3年時にも毎年納める必要があります。
●東京都内私立中学校の初年度納付金平均額
東京都「令和5年度 都内私立中学校の学費の状況」より筆者作成
学校への納付金のみでも初年度は100万円弱かかることが分かりましたが、教育にかかる費用はそれだけではありません。給食費や制服代、学用品代、クラブ活動費、習い事や学習塾の費用などが必要です。
文部科学省が実施した「令和3年度子どもの学習費調査」によると、私立中学に通う子どもの学校教育にかかる費用や給食費、学校外活動費を合わせた1年間の学習費総額は、143万6353円。公立中学の場合は53万8799円ですから、私立中学に行くと公立中学のおよそ2.7倍の学習費が必要になると分かります。
私立中学は受験対策にも費用がかかる
私立中学入学後にかかる学習費について説明してきましたが、そもそも私立中学に通うためには、中学受験をして合格する必要があります。基本的に授業で学んだ範囲から出題される高校受験や大学受験と異なり、中学受験は小学校の授業で習わないような問題も多く出題されます。そのため、塾に通って受験対策をしなければなりません。
受験を意識して塾に通いはじめる時期は人によって異なりますが、小学4年生から通う人が多いようです。前述した「令和3年度子どもの学習費調査」によると、小学4年生になると学校外活動費の中でも家庭教師や塾などの学習に直接関係する「補助学習費」が大きく増えていると分かります。
●小学校学年別、公立・私立別の補助学習費
文部科学省「令和3年度子どもの学習費調査」より筆者作成
子どもを私立中に通わせる親の年収
私立中学は公立中学のおよそ2.7倍の学習費がかかり、さらに小学生のうちから塾に通う必要があると分かりました。では、子どもが私立中学に通う親の世帯年収はどのくらいなのでしょうか。
同じく「令和3年度子どもの学習費調査」によると、公立中学または私立中学に通う子どもを持つ親の世帯年収の構成比は下記のようになっています。
●公立中学または私立中学に通う子どもを持つ親の世帯年収の構成比
文部科学省「令和3年度子どもの学習費調査」より筆者作成
私立中学の場合、世帯年収が600万円未満の親はわずか1割。残り9割が600万円以上で、さらに世帯年収1200万円以上の割合が4割を占めています。私立中学に子どもを通わせるには、最低でも世帯年収が600万円を超えている必要があるでしょう。
今後さらに学費が上がる可能性も
前述した東京都「令和5年度 都内私立中学校の学費の状況」によると、私立中学校初年度納付金の平均額は年々増加傾向にあります。具体的には、平成30年度には94万9416円だった平均額が、令和5年度には98万9125円になりました。初年度納付金の値上げをせず据え置いたままの学校が76%を占めますが、なかには1年で27万8400円値上げした学校もあります。
今後さらに値上がりしていくことも考えられますので、世帯年収600万円が最低限といえどそれで安心せず、さらに年収を上げ、十分な教育費を用意しておいたほうがよいでしょう。
まとめ
私立中学は公立中学の2.7倍の学習費がかかる上に、受験対策のために塾に通う費用も必要となります。そんな私立中学に通う子どもの親の世帯年収は600万円以上が9割で、1200万円以上の割合も4割を占めています。今後学費が値上がりする可能性も十分ありますので、年収600万円が最低限の目安ではありますが、家計を圧迫しないためにはさらに多くの収入があったほうが安心でしょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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