24/08/16
日銀「利上げ」で株価暴落!金利上昇が生活に与える4つの影響
2024年3月にマイナス金利を解除した日本銀行は、同年7月に追加でさらに利上げすることを決定しました。利上げの動きは、今後ますます高まってくると考えられています。
利上げによって金利が上がると、私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか。今回は、利上げが生活に与える影響を4つ、紹介します。
利上げの影響1:ものを安く買えるようになる
利上げが行われると、民間の金融機関が日本銀行に多くお金を預けるようになります。金融機関は、その分世の中に出回るお金を減らさねばならないため、金利を上げて、企業や個人が金融機関からお金を借りにくい状態にします。
企業や個人が金融機関からお金を借りにくくなると、車や住宅など、ローンを組んで購入するような金額の高いものが売れなくなっていきます。ものの値段は、需要と供給によって決まります。ものが売れなくなると、売る側は価格を安くしてなんとか買ってもらおうとします。
したがって、利上げはものの値段を下げ、安く買える要因になります。ただし、利上げしてすぐにものの値段が下がるわけではなく、影響が出るまでには多少の時間がかかります。
利上げの影響2:高い金利で預金できるようになる
利上げが行われると、金利が上がり、金融機関からお金を借りにくくなると説明しました。利上げは金融機関からお金を借りたい人にとっては不利ですが、逆にいうと、金融機関にお金を貸したい人、つまりお金を預けたい人は、より高い利率で預けられるようになることを意味します。
実際、今回の追加利上げにより、複数の金融機関が預金金利の引き上げを発表しました。2024年8月2日、三井住友銀行は、これまで年利0.025%だった定期預金金利(1年)を、年利0.11%に引き上げました。また、三菱UFJ銀行は、年利0.025%だった定期預金金利(1年)を、同年9月よりこれまでの5倍である0.125%に引き上げると発表。今後も多くの金融機関が預金金利を引き上げると考えられます。
利上げの影響3:株価が下がる
先ほども説明したように、利上げによって金利が上がると、企業や個人がお金を借りにくくなります。企業が金融機関からお金を借りにくくなると、新規事業や設備投資、人件費などにお金をかけることが難しくなり、事業が縮小していきます。事業縮小により企業の業績が下がり、それにともない株価も下がってしまうのです。
また、利上げによってお金を借りにくくなると、個人の購買意欲も下がります。企業がつくったものをお客さんに買ってもらえなくなるため、さらに業績が悪化し、株価下落につながります。
利上げによって株価が下がってしまうと、株式投資をしている方にとって悪影響となる可能性が高いでしょう。
利上げの影響4:住宅ローンの支払いが増加する
利上げが行われると、金利が上がり、支払うローンの金額が増加します。特に住宅ローンは金額が大きいため、金利上昇がローン額に大きな影響を与えると考えられます。
住宅ローンには固定金利型と変動金利型がありますが、変動金利型の金利は「短期プライムレート」を元に決定されます。また、その短期プライムレートは、日本銀行の政策金利を元に変動します。つまり、日本銀行による利上げは、住宅ローンの変動金利を引き上げる動きにつながります。
変動金利型住宅ローンは金利が低く設定されていることが多いため人気ですが、利上げによって金利が変動し、返済額が大きく増えてしまうリスクもあるのです。
利上げには良い影響も悪い影響もある
利上げによって、わたしたちの生活にどのような影響があるのか説明しました。
物価が下がり、ものを安く購入できるようになることや、預金すると高い利息がもらえるようになることはメリットといえるでしょう。一方で、株価が下がり、住宅ローンの金利が上がるため、株式投資をしている方や住宅ローンを借りている方にとってはデメリットが大きいかもしれません。
なお、利上げによって必ず本記事のようなことが起こるとは断言できません。本記事で述べたことはあくまでも理論上の話で、実際は世の中のさまざまな出来事が複雑に影響し、異なる結果になる場合もあります。いずれにせよ、今後の経済の動向に注目していきましょう。
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木下七夏 Webライター
大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。
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