24/04/13
NHKの受信料「契約しないと3倍」払わない手はないのか
何かと話題になることが多いNHKの受信料。現状は支払うのがルールですが、ルールを守らず契約しないでいると、最大で3倍の受信料を払わなければならない可能性があることをご存知でしょうか。今回は、NHKの受信料のルールと、NHKの受信料を節約する3つの方法を紹介します。
NHKの受信料は支払うルール
NHKの受信契約については、放送法64条1項に「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」と定められています。つまり、NHKの映るテレビを持っている人は、NHKの受信契約を結ばなければいけない、というわけです。2017年(平成29年)の最高裁の判決でも、受信契約を結ぶことを合憲としています。ですから、現状は支払うのがルールです。
NHKの受信料は、近年値下げの傾向です。2020年10月からは月額にして35円〜60円の値下げが行われました。また、2023年10月からは、それまで受信料の支払い方法によって違っていた受信料が一本化され、受信料が1割値下げされました。
一方で、2023年4月には日本放送協会(NHK)放送受信規約 が変更され、NHKは、
・不正な手段により受信料の支払を免れた場合
・正当な理由なく期限(受信機を設置した月の翌々月末)までに受信契約の申込みをしなかった場合
には、通常の受信料に加えて受信料の2倍の割増金を請求できるようになっています。つまり、受信料の3倍支払わなければならない場合があるというわけです。
NHKは「割増金は事由に該当する場合に請求することができるようになりましたが、NHKの公共的価値や受信料制度の意義に共感していただき、納得して受信契約のお手続きや受信料のお支払いをいただくという、これまでのNHKの方針に変わりはありません」と説明しています。ただ、2023年11月には東京都内の3世帯に受信契約の締結と受信料・割増金の支払いを求める民事訴訟を起こしています。こうした動きがただちに日本全体に広がるわけではないでしょうが、支払いを求められるケースは今後も増えるかもしれません。
また、NHKでは将来的にネット配信などの業務が必須業務となった場合には「ネット配信でのみ受信している場合にもテレビで受信している場合と相応の費用負担をお願いすること」を掲げています。現状、家にテレビなどの受信機がなければ受信料もかかりませんが、今後はテレビがなくても受信料がかかる、ということもあるかもしれません。
NHK受信料を安くする3つの方法
NHK受信料は払わなければならないものの、出費といえば出費ですから、できるだけ減らしたいですよね。そこで、NHKの受信料を節約する方法を3つ、紹介します。
●NHKの受信料を安くする方法①:クレジットカードでまとめ払い
上でも紹介したとおり、NHKの受信料は2023年10月に変わりました。具体的には、以下のとおりです。
<2023年10月からのNHK受信料>
※沖縄県は別料金(表より少し安い)
(株)Money&You作成
NHKの受信料の契約には、地上放送のみの地上契約と、地上放送+衛星放送(BS放送)の衛生契約があります。基本的には2か月払いなのですが、6か月払いや12か月払いにすることも可能です。
一番お得なのは、クレジットカードで12か月前払いすることです。衛星契約の場合、月額で136円、年額で1632円安くなります。口座振替でも同様に安くなるのですが、クレジットカードを使えばポイントの還元も受けられますので有利です。
●NHKの受信料を安くする方法②:家族割引で2件目半額
NHKの受信料には、家族割引があります。これは、同一生計で離れて暮らす家族や別荘などにテレビがある場合、2件目以降の受信料を半額にするというものです。
たとえば、学生の方や単身赴任をしている方などが、自宅を離れて一人暮らしをするといった場合、その一人暮らしをする家(部屋)のNHK受信料は、家族割引で半額にできます。
また、別荘や別宅など、自宅とは別に家(部屋)を持っている場合、その家(部屋)のNHK手数料は半額になります。インターネット・郵送で申し込むことができますので、忘れずに手続きしましょう。
●NHKの受信料を安くする方法③:条件に当てはまれば免除される
NHK受信料には、「日本放送協会放送受信料免除基準」という基準が定められています。この条件に当てはまれば、NHK受信料は全額または半額の免除が受けられます。
【全額免除の条件】
・公的扶助受給者
・市町村民税非課税の身体(知的・精神)障害者
・社会福祉施設等入所者
・年間収入が一定額以下等の別住居の学生
・災害被災者
【半額免除の条件】
・視覚、聴覚障害者
・重度の身体(知的・精神)障害者
・重度の戦傷病者
【その他】
・学校や社会福祉施設
このなかで、申請がもれそうなのは「奨学金受給対象等の別住居の学生」かもしれません。
具体的には、以下に当てはまる方は全額免除になります。
・経済的理由の選考基準がある奨学金を受給している場合
・経済的理由の選考基準がある授業料免除制度の適用を受けている場合
・親元などが市町村民税(特別区民税を含む)非課税の場合
・親元などが公的扶助受給世帯の場合
該当しそうな方は、NHKに問い合わせてみましょう。
なるべくお得に支払おう
NHKの受信料は支払うルールとはいえ、年2万円程度の出費は決して安いものではありません。特にクレジットカード払い・まとめ払いをしていない人は、早めに切り替えてしまうのがおすすめ。少しでも費用を削減できるように、工夫していきましょう。
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畠山 憲一 Mocha編集長
1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。
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