22/10/24
定年後の70代、貯蓄・年金・生活費の平均はいくら?
厚生労働省「厚生労働白書」によると、2040年に65歳となる男性の約4割が90歳まで、女性の2割が100歳まで生存すると見込まれています。これまでよりも生存期間が長くなるため、今ある貯蓄や年金だけで老後の生活を送れるのか不安を感じている人も多いでしょう。今回は、定年後の70代の貯蓄額や受給できる年金、生活費をチェックしていきます。また、老後に備えるためにやるべきことも紹介します。
70代の貯蓄はどうなっている?
まずは、70代の貯蓄額とその分布について見ていきましょう。金融広報中央委員会のデータによると、70代の貯蓄額は次のとおりです。
●70代の貯蓄額
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(令和3年)より作成
70代の貯蓄額の平均は、単身世帯で1,786万円、二人以上世帯で2,209万円です。とはいえ、グラフを見ると貯蓄のたくさんある世帯とほとんどない世帯に二極化していることがわかります。70歳代のうち単身世帯20.2%、二人以上世帯22.1%が3,000万以上の金融資産がある一方で、単身世帯25.1%、二人以上世帯18.3%の人は金融資産を保有していません。
なお、貯蓄の中央値(データを大きい順に並べた時の中央の値)は、単身世帯800万円、二人以上世帯1,000万円となっています。
70代の年金額・生活費はどうなっている?
老後を迎えると、多くの人は国民年金や厚生年金しか収入源がありません。そのため、受給した年金のみで老後の生活を送れるのか不安を感じている人も多いでしょう。そこで70歳代の人が受給できる年金額を受給しながら生活します。
厚生労働省年金局のデータによると、国民年金と厚生年金の年齢別の平均年金月額は次のとおりです。
●国民年金・厚生年金の平均月額
厚生労働省年金局「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省年金局」より
70代の国民年金月額は5.5万円〜5.7万円程度、厚生年金月額(国民年金含む)は14万円〜15万円となっています。仮に夫婦の片方が国民年金、もう片方が厚生年金を受け取った場合、年金収入はおよそ20万円前後となる計算です。
一方で、気になる70代の生活費は、総務省の家計調査報告(二人以上世帯・2021年)によると、
・70歳〜74歳;24万4015円
・75歳〜79歳:22万3075円
となっています。
ここには社会保険料や税金が含まれていませんし、病気や事故などにより支出額が大幅に増加する可能性もあります。
また、老後にレジャーや旅行などを楽しみながらゆとりのある生活を送りたいのであれば、より多くの貯金が必要です。
このようにみてみると、将来受給する国民年金と厚生年金だけで生活費をまかなうのはなかなか大変だと考えられます。年金でまかなえない分は、これまでに貯めてきた貯金から切り崩す必要があります。
老後に備えるためにやるべきこと
ゆとりのある老後生活を送るためには、今のうちに資産形成をして備える必要があります。そこでどのような方法で資産形成をすれば良いのか見ていきましょう。
●節約に励む
老後に備えて貯金するためには、収入を増やすよりも支出を減らす方がかんたんです。支出を減らすためには、まず家計簿をつけて、何にいくら使っているのか把握することが大切です。
また、以下のような固定費を節約すれば、少ない負担で多くの支出を削れます。
・生命保険を見直す
・スマホを格安SIMに乗り換える
・住宅ローンを繰上げ返済する
・車のローンを見直す
例えば、保険に複数加入している場合、保障内容に重複があれば、その分多くの保険料を支払うことになります。 不要な保険はプラン変更や解約を検討しましょう。車を所有している場合、年間の維持費だけで年間30万円以上かかります。お住まいの地域ににもよりますが、交通網の整った都市部に住んでいるならばレンタカーやカーシェアリングを利用するなどして、車を手放すのもひとつの考え。地方に住んでいるならば、さまざまな機能のついた新車よりも必要最低限の中古車で、燃費のいいものを選ぶ方法も考えられます。
●70歳まで働いて収入を確保する
医療技術の発達により、今後男女とも平均年齢がさらに伸びる可能性があります。現状、60歳で定年を迎えても、希望すれば65歳まで働ける環境が整っています。貯金が心許ないならば、70歳まで働くことも検討しましょう。定年を引き延ばせば、収入も確保できるため、安心して老後生活を送れるようになるでしょう。また、厚生年金に加入しながら働くことで、老後の厚生年金額も増加します。
●つみたてNISAやiDeCoで資産形成する
働いて得た収入だけでは老後の資金が足りない場合は、つみたてNISAやiDeCoで資産形成をしましょう。つみたてNISAは最長20年、年間40万円まで投資した運用益や分配金が非課税になる制度です。
またiDeCoを利用すれば、積み立てた掛金が全額所得控除されるため、積立期間中は所得税や住民税の節税ができます。また運用益が非課税になり、受け取り時も一定額までは非課税の恩恵が受けられます。つみたてNISAやiDeCoを利用して資産運用をしておけば、投資額よりも多くの運用益を受け取れる可能性があります。
●年金の繰り下げ受給を選択する
厚生年金や国民年金は原則65歳から受け取ることができます。しかし、年金の支給開始時期を66歳以降に遅らせることも可能です。繰り下げ受給で年金の支給開始時期を1ヶ月遅らせるごとに受給額を0.7%増やせます。仮に70歳まで繰り下げた場合は42%、75歳まで繰り下げると84%も多く年金を受け取れます。
特に70歳まで働くつもりで、定年までの収入が確保できる人は、年金の繰り下げ受給を検討しましょう。
まとめ
今後、平均年齢や定年年齢が延びるのに伴い、老後生活が長くなることが考えられます。ただ、定年後は年金だけでは生活が難しいため、働いている間に資産運用や節約をするなどして貯蓄を殖やしておかなければなりません。固定費の節約、収入の確保、つみたてNISA・iDeCoでの資産運用、年金の繰り下げ受給などを取り入れ、老後に備えることをおすすめします。
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小栗健吾 現役のFXトレーダー及びWEBライター
地方の大学を卒業後、会社員を経て、WEBライターとして活動中。FXや仮想通貨の取引経験(FXは8年以上)があり、現役トレーダーの目線で記事を多数執筆している。また、現在はFXだけでなく、「キャッシング」「副業」「節税」などマネー系の記事も多く執筆している。
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