25/03/13
「5万円ふるさと納税すると税金が5万円安くなる」に潜む3つの勘違い

ふるさと納税を利用して自分の好きな自治体に寄付すると返礼品がもらえるほか、税金の控除が受けられます。ただし、「5万円ふるさと納税すると税金が5万円安くなる」わけではありません。今回はふるさと納税にありがちな3つの勘違いについて説明します。
ふるさと納税の勘違い1:ふるさと納税をすれば税金が安くなる!
ふるさと納税をするときには寄付金としてお金を払った後、所得税や住民税の控除が受けられます。ふるさと納税で払った額から2000円を差し引いた額について、所得税・住民税の負担が減る仕組みになっています。
つまり、ふるさと納税は税金を前払いするのと同じ効果があります。ふるさと納税すれば税金の負担が減るわけではありません。
ふるさと納税をした後、税金が軽減される仕組みを詳しくみてみます。
独身で年収450万円(所得税率5%)の会社員が5万円を寄付したと仮定して考えてみましょう。ふるさと納税の控除を受けるには、確定申告をする方法とワンストップ特例を利用する方法があります。
確定申告をする場合には、ふるさと納税をした年の所得税と翌年の住民税から控除が行われます。所得税については所得控除が受けられるため、課税所得が2000円減ります。所得税率5%なので、所得税は次のとおり2400円安くなります。
①所得税(5万円-2000円)×5%=2400円
住民税については、基本分、特例分として次の計算式で算出した金額が軽減されます。
②住民税(基本分)(5万円-2000円)×10%=4800円
③住民税(特例分)(5万円-2000円)×(100%-基本分10%-所得税率5%)=4万800円
①+②+③=4万8000円
所得税と住民税で合計4万8000円税金が軽減されています。本来税金として払う額より2000円多い5万円を先に払ったということです。
寄付する自治体が5つ以内なら、確定申告せずにワンストップ特例を利用することもできます。ワンストップ特例を利用した場合には、寄付した4万8000円の全額が住民税から控除される仕組みになっています。
ふるさと納税の勘違い2:5万円のふるさと納税で5万円の返礼品がもらえる!
ふるさと納税の魅力といえば、寄付した自治体からもらえる返礼品。名物の食品から日用品にいたるまで、さまざまな返礼品が用意されています。ふるさと納税のポータルサイトを利用すれば、ネットショッピングのような感覚でふるさと納税ができます。
しかし、「5万円のふるさと納税をしたら5万円の返礼品がもらえる」わけではありません。
ふるさと納税の返礼品は、寄付額の3割以下と定められているからです。仮に5万円寄付した場合には、返礼品は最大で1万5000円相当になります。
ふるさと納税しない場合には、この1万5000円相当の返礼品はもらえませんので、ふるさと納税をすれば1万5000円分得するといえます。しかし、「5万円得する」わけではありませんので、注意しましょう。
ふるさと納税の勘違い3:ふるさと納税はすればするほどお得!
「もっとたくさんふるさと納税すれば返礼品もたくさんもらええてお得なのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、ふるさと納税で自己負担の2000円を除いた全額の控除を受けるには、寄付金が控除上限額以下でなければなりません。控除上限額を超えて寄付することもできますが、この場合、2000円を除いた全額が控除の対象にならず、自己負担が増える結果になってしまいます。
ふるさと納税の控除上限額は、収入や家族構成によって変わります。
<ふるさと納税の控除上限額>

総務省「ふるさと納税ポータルサイト」より作成
たとえば、年収600万円で共働き、高校生の子供が1人いる人の場合、控除上限額は6万9000円です。6万9000円を超えて寄付をしたときには、超えた額については控除が受けられず、自己負担となります。寄付をすればするほどお得というわけではないので注意しましょう。
ふるさと納税は賢く活用しよう
ふるさと納税について勘違いしていた人も多いのではないでしょうか?ふるさと納税をする前に、仕組みを理解した上で、控除上限額も確認しておくのがおすすめです。お得に返礼品をもらえれば節約にも役立つので、ふるさと納税は賢く活用しましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。

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