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22/08/28

相続・税金・年金

退職翌年の住民税は高いって本当? 年収300万円・500万円・700万円だといくらか

退職翌年の住民税は高いって本当? 年収300万円・500万円・700万円だといくらか

住民税は、教育や福祉、消防や救急、ごみ収集など、私たちの生活に欠かせない行政サービスに活用される大切な税金…なのですが、「退職翌年の住民税は高い」といわれたら、ちゃんと払えるのか心配になる方も多いでしょう。そこで今回は、住民税のしくみ、退職翌年の住民税の負担が大きくなる理由、年収300万円・500万円・700万円だった方の住民税の目安を紹介します。

住民税の金額はどう決まる?

住民税には、お住まいの都道府県に支払う「道府県民税」と、市区町村に支払う「市町村民税」の2種類があります。なお、東京23区では都民税・特別区民税と呼ばれています。住民税は、毎年1月1日時点で住民票がある都道府県・市区町村に支払います。

住民税の金額は、前年の所得によって金額が変わる「所得割」と、同じ自治体に住む人が同じ金額を支払う「均等割」の合計で決まります。

住民税の所得割の金額は、前年の所得が高いほど高くなるしくみです。具体的には、
①収入から給与所得控除(収入を得るためにかかった「みなし経費」)を引いて所得金額を計算する
②所得金額から所得控除(個人の事情を税額に反映させる金額)を引いて課税所得を計算する
③課税所得に住民税率(10%)をかけて住民税額を計算する
という手順で計算されます。

住民税の均等割の金額は、自治体によって異なる場合もありますが、多くは5,000円です。
つまり、住民税の金額は「課税所得の10%+5,000円」となります。

住民税は「1年遅れ」でやってくる

住民税は、「前年の所得」で計算された金額を翌年の6月から翌々年の5月の間に支払います。よく「社会人1年目は住民税の支払いがない」などといいますが、それは前年に所得がなかったからです。社会人2年目になると、1年目の所得をもとに住民税が計算され、課税されます。以後、3年目には2年目の所得、4年目には3年目の所得…という具合に、住民税は前年の所得をもとに計算される、というわけです。

退職翌年の住民税は、退職した年の所得をもとに計算されます。そのため、たとえば定年退職などで退職翌年に所得がないという場合にも、退職した年の所得をもとにした住民税を支払わなくてはならないのです。「退職翌年の住民税が高い」と言われるのは、このためです。

住民税は、勤めている間は、毎月の給与から天引き(特別徴収)されます。しかし、退職後の住民税の納付方法は、いつ退職したかによって異なります。
1月~5月に退職した場合は、5月分までの住民税が退職月の給与や退職金から一括で徴収されます。
一方、6月〜12月に退職した場合は、退職月までの住民税は勤務先が天引きして納付します。しかし、退職月以降の住民税は、お住まいの市区町村から送られてくる納付書を使って自分で支払います(普通徴収)。普通徴収での納税は、一括または年4回(6月、8月、10月、翌年1月)の分割納付になります。

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年収300万円・500万円・700万円…住民税の目安の金額はいくら?

年収300万円・500万円・700万円の方の住民税の目安の金額(所得控除を基礎控除と社会保険料控除のみとして試算した場合)は以下のとおりです。

・年収300万円…約12万円
・年収500万円…約24万円
・年収700万円…約38万円

たとえば、定年退職した年の年収が700万円だった方が、再雇用・再就職したものの、年収は300万円に下がってしまったとします。年収300万円の場合の住民税は約12万円ですが、退職翌年は約38万円の住民税を払わなければなりません。仮に、再雇用・再就職しておらず、年収がゼロだった方でも、同じように退職翌年の住民税は約38万円です。

突然、住民税の高額の納付書が届いて驚いた…ということがないように、退職翌年の住民税のお金は、あらかじめ用意しておきましょう。

なお、退職金にかかる住民税は例外で、退職金から天引きされます。翌年になって住民税の請求がくるということはありません。
また、退職金には「退職所得控除」という所得控除があります。支給される退職金額が退職所得控除の金額よりも少ない場合は、そもそも住民税はかかりません。

定年退職の翌年は確定申告しよう

会社員や公務員が毎月の給与から差し引かれている(源泉徴収されている)所得税は、概算の金額です。勤務先は、1年間の給与や賞与の合計額が決まる年末に、源泉徴収した所得税の金額と、本来納めるべき所得税の金額の過不足を調整する「年末調整」という手続きを行います。もしも所得税を多く支払っていたら返金されます。逆に、支払った金額が少なかったら追加で支払います。

年末調整は、12月末まで勤めていれば勤務先がしてくれるのですが、年の途中で退職した場合は受けられません。年末調整が受けられていないと、払いすぎになっている所得税があるかもしれません。

そこで行いたいのが、確定申告です。確定申告は、1年間の所得を計算して申告・納税する手続きです。払いすぎになっている所得税がある場合、確定申告を行うと、取り戻すことができますので、最寄りの税務署などで手続きしましょう。

また、次のような人は、確定申告をすることで所得控除が受けられ、税金がお得になる場合があります。

・医療費が年間10万円を超えた人(医療費控除)
・所定の市販薬の購入額が年間1万2,000円を超えた人(セルフメディケーション税制)
・ふるさと納税など、寄付をした人(寄附金控除)
※ワンストップ特例を利用する場合は不要)
・災害や盗難で資産に損害を受けた人(雑損控除)
・株式投資で損失が出た人(損益通算・繰越控除)
・生命保険料などの控除が漏れていた人(還付申告)

面倒でも確定申告を行い、税金を安くしましょう。

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まとめ

住民税は「1年遅れ」。前年の所得をもとに税額が決まり、支払うしくみです。そのため、退職翌年で収入が減ったり、なくなったりするなかでも、追い討ちをかけるように高額な住民税の負担が発生するケースがあります。前もって住民税の分のお金を準備しておくとともに、確定申告を行い、税金を安くすることを考えていきましょう。

畠山 憲一 Mocha編集長

1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。

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職業:夫(彼) 正社員、私 アルバイト
貯金:夫(彼) 約4000万円、私 約2500万円
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