21/11/15
郵便で届く年金の書類、最低限のチェックをしないと損することに
先ごろ日本年金機構の年金振込通知書の誤送付が話題となりました。これは年金振込通知書に自身のものでない年金情報が記されているという問い合わせが相次いだため発覚したそうです。97万人の方が、いつもより年金額が少ないまたは多いということで驚かれたのではないかと思います。
郵便で届く年金の書類は、年金をもらう前と年金受給中では種類が異なります。今回はそれぞれのケースに分けて確認していきましょう。
郵便で届く年金の主な書類
年金に関する書類といっても、何があるのかきちんと答えられる方は多くないでしょう。実は日本年金機構から送られてくる書類は、時期に分けて分類するとわかりやすくなります。年金制度に加入していて年金をもらう前、65歳の誕生日を迎える前、年金受給中の3つの時期で見ていきましょう。
●郵便で届く年金の書類
筆者作成
年金受取り前に届く書類
国民年金や厚生年金保険に加入していて、まだ年金を受取る年齢に達していない時期には、ねんきん定期便と社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が送られてきます。
●ねんきん定期便
ねんきん定期便は、国民年金および厚生年金保険に加入している人に対して、年金制度の理解を深めてもらうことを目的とするものです。毎年誕生月にこれまでの年金の加入記録などが記載されて送付されます。
ハガキで届くねんきん定期便には、直近1年間の年金加入履歴が記載されています。それに対し、35歳、45歳、59歳のときには封書で送られてきます。こちらには、これまでの年金加入履歴がすべて記載されていますので、記録に漏れや誤りがないかを確認しましょう。もし誤りがあれば年金加入記録回答票を返送します。
50歳未満のねんきん定期便には、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されているのに対し、50歳以上のねんきん定期便には年金見込額が記されています。特に59歳のときに送られてくるねんきん定期便は、年金請求書のもとになるので特に大切になります。必ず確認しましょう。
また、ねんきん定期便は、郵送だけではなく、ねんきんネットの電子版もあります。
●社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書は、国民年金保険料を納めた人に届く書類で、被保険者本人宛になっています。送付時期は10~11月および2月初旬ごろです。年末調整や確定申告の添付書類として利用します。
10~11月に届く書類には、1月1日から9月30日までに納付された額と納付見込額が記載されています。ただし証明書を作成する時点で第1号被保険者ではない場合や前納をしている場合、4~8月分に未納期間がある場合には見込額が表示されません。
2月初旬の書類は、10月1日から12月31日に国民年金保険料を納付した場合に届きます(10〜11月に届く書類の対象者を除く)。
なお、もし、控除証明書をなくした場合にも再発行が可能です。
65歳の誕生日を迎える前に届く書類
●年金請求書
年金請求書は、年金を受取るために必要な手続きの書類です。年金を受給する権利は、必要な要件を満たすことで発生しますが、自分で請求しないと受取れないしくみになっています。そこで、受取り始める年齢になる3か月前に年金請求書が送られてきます。
年金の受給を開始する場合は、必要書類をそろえ、被保険者の種類に応じて、年金事務所または市区町村へ提出します。年金制度に加入しているときと氏名や住所が異なると書類が届かないため、注意しましょう。なお、年金請求書の提出は65歳になってからですが、年金を繰下げ受給したいときは、年金請求書を出す必要はありません。
●年金決定通知書・支給額変更通知書
年金の請求をすると約1~2か月後に年金証書、年金決定通知書、届出・手続きのパンフレットが届きます。年金決定通知書・支給額変更通知書は、決定された年金額や年金の受取額(年額)に変更があった場合に、年金の情報を知らせる書類です。年金決定通知書が届いてから約1〜2か月後に年金の最初の振込があります。
年金受給中に届く書類
年金を受取るようになると、次の書類が郵送されてきます。
●年金額改定通知書・年金振込通知書
年金額改定通知書・年金振込通知書は、1年分の年金支給額をまとめてお知らせするものです。年金を受給している人に対して、毎年6月上旬ごろに送付されます。6月以外にお知らせが届くのは、年金振込額や金融機関に変更があった場合です。
年金額改定通知書・年金振込通知書には、以下の内容が記載されています。
・国民年金と厚生年金保険の金額、合計年金額(年額)
・年金支払額
・介護保険料額
・後期高齢者医療保険料・国民健康保険料
・所得税額および復興特別所得税額
・個人住民税額
・控除後振込額
どれくらい年金から控除されているのか確認しておきましょう。
なお、年に18万円以上の年金を受取っている人は、介護保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料の3つの社会保険料は、自動的に年金から引かれるしくみになっています。
●公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
年金のうち、老齢年金には所得税がかかります。年金額が年158万円(65歳未満の人は108万円)を超える人は課税の対象になり、受取る時点で年金から所得税が引かれています。また、遺族年金と障害年金には税金はかかりません。
このように年金に所得税がかかる人には、毎年11月上旬までには「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」が送られてきます。受給者本人が障害者、寡婦に該当する方や配偶者や扶養親族がいる方は提出が必要です。この申告書の提出がないと、収入から所得控除がされないので、税金の額が多くなってしまいます。該当する人は、必要事項を記入して返送しておきましょう。
●公的年金等の源泉徴収票
公的年金等の源泉徴収票は、1月1日から12月31日までの1年間に支払われた年金の金額や源泉徴収された所得税額をお知らせする書類です。確定申告をするときの添付書類として使用します。翌年の1月中旬から順次送付されます。
まとめ
日本年金機構のHPには、「通知書の見方を調べる」というページがあります。通知書の画像をクリックするとより詳しい見方が解説されています。興味がある方は、HPを閲覧されてはいかがでしょうか。また、年金を受取るようになってからも必要な届け出や手続きがあります。うっかり忘れていたということがないよう、ご家族の方も送られてくる書類には気を配っておかれるとよいでしょう。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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