21/11/08
10年以上前の国民年金保険料が未納と発覚! 将来の年金はどうなる?どうすればよい?
国民年金保険料には納付期限がありますが、期限を過ぎていても一定期間は払えるのをご存じでしょうか?今回は、国民年金保険料はいつまで払えるのか、未納にしてしまった場合には年金にどんな影響があるのかを説明します。
納付期限が過ぎた国民年金保険料はいつまで払える?
国民年金保険料は20歳から60歳までの40年間(480か月)、毎月払う義務があります。会社員の場合には、給与から天引きされる厚生年金保険料に国民年金保険料も含まれているため、払い忘れることはありません。一方、自営業、フリーランス、無職等の人は、自分で国民年金保険料を納付しなければならないため、払わずに放置してしまうこともあるでしょう。
月々の国民年金保険料には納付期限(納付対象月の末日)がありますが、期限から2年以内なら特にペナルティなしに納付できます。また、国民年金保険料の免除または納付猶予の承認を受けている場合には、本来の納付期限から10年後まで追納が可能です。
国民年金保険料を払ってない月があるとどうなる?
国民年金保険料を10年以上払っていない場合、もう追納することはできないため、未納が確定します。国民年金保険料未納の月がある場合、以下のような影響があります。
●老齢基礎年金が減る
65歳になったら国民年金から支給される老齢基礎年金は、480か月分の保険料を全額払うことで満額受給できます。未納の月があれば、その分年金額は少なくなる仕組みです。ちなみに、2021年度(令和3年度)の老齢基礎年金は満額で78万900円となっており、未納が1か月増えるごとに年額で約1626円年金が減ります。
なお、老齢基礎年金をもらうには少なくとも10年(120か月)は保険料を納付していなければなりません。免除・納付猶予の期間を含めても10年に満たない場合には、老齢基礎年金自体受け取れない可能性があります。
●障害年金がもらえないかも
病気やケガで障害を負ったとき、要件をみたせば受給できるのが障害年金です。障害年金を受給するには、加入期間の3分の2以上の保険料を納付しているか、直近1年以内に未納がない状態でなければなりません。保険料を払っていない月があれば、障害年金がもらえなくなる可能性もあります。
●遺族が遺族年金を受給できないかも
公的年金加入者が亡くなった場合、要件をみたす遺族に支給されるのが遺族年金です。遺族年金も障害年金同様、加入期間の3分の2以上の保険料納付か、直近1年以内の未納なしが受給要件になっています。保険料を払っていないと、もしものときに遺族に遺族年金が支給されない可能性もあります。
年金で不利にならないために
国民年金保険料を未納にしてしまうと、さまざまなデメリットが生じます。まずは未納を防ぐようにし、未納を続けてしまった場合にも対策をとりましょう。
●払えないなら免除・納付猶予申請を
国民年金保険料の支払いが厳しいときには、免除・納付猶予の申請をしておきましょう。免除・納付猶予の承認を受けていれば、未納にはカウントされません。なお、免除・猶予の承認を受けた場合、そのままでは年金が少なくなってしまいます。上にも書いたとおり10年以内であれば追納できるので、できるだけ追納して年金を満額に近づけましょう。
●未納を続けてしまった場合には
国民年金に加入して保険料を払えるのは原則として60歳までです。ただし、60歳になっても納付済期間(※免除・猶予期間含む)が480か月に満たない場合、任意加入制度により65歳まで継続して加入できます。60歳以降も任意加入して保険料を払えば、未納期間を減らせるので、年金受給額も増えます。
65歳時点で10年の納付済期間がなく年金受給できない人は、特例により65歳以上も任意加入ができます。保険料をずっと払わずにいた人も、任意加入により年金受給できるチャンスがあることを知っておきましょう。
ねんきん定期便を確認しよう
「10年以上前の国民年金保険料が未納だった!」とそもそも気付くためには、自分の年金の加入状況を確認する必要があります。毎年届くねんきん定期便には過去1年間、35歳・45歳・59歳のねんきん定期便にはそれまでのすべての年金の加入状況が記載されています。また、「ねんきんネット」でもすべての加入状況を見ることができます。過去の加入状況をチェックし、未納期間がある場合はなるべく減らすことを考えましょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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