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22/07/30

相続・税金・年金

iDeCoと個人年金保険、老後資金を作るのに圧倒的に有利なのはどっち?

iDeCoと個人年金保険、老後資金を作るのに圧倒的に有利なのはどっち?

公的年金だけでは老後資金が足りない…と心配な方が上乗せ分を作るときに活用できる「iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)」と「個人年金保険」。どちらも、老後資金を作るのに役立つのですが、iDeCoと個人年金保険には、いろいろな違いがあります。iDeCoと個人年金保険、老後資金を作るにはどっちがいいのでしょうか。制度を比較しながら紹介します。

iDeCoと個人年金保険をおさらい

iDeCoは、自分で出した掛金を運用し、積み立てたお金や運用益を60歳以降に受け取ることができる制度です。税制優遇を受けながら老後資金が作れるとあって、近年人気が高まっています。
iDeCoでは、金融機関ごとに決められた元本確保型の定期預金・保険、元本変動型の投資信託のなかから運用先を選んで運用を行います。掛金額は最低月5000円からで、上限は働き方や企業年金の有無などにより異なります。

対する個人年金保険は、毎月一定額の掛金を契約時に決めた年齢まで払い込むことで、契約時に定めた年齢に達したあとに年金の形でお金を受け取れる保険です。個人年金保険で支払った掛金は、保険会社が運用し、一定の利息をつけて積み立てます。保険料払込期間中に亡くなった場合は、遺族が死亡給付金を受け取ることができます。
個人年金保険には大きく分けて一生涯年金がもらえる「終身年金」、一定期間だけ年金がもらえて亡くなった場合の支払いがない「有期年金」、一定期間だけ年金がもらえて亡くなった場合の支払いがある「確定年金」の3種類があります。

iDeCoも個人年金保険も、老後資金・年金を用意するための制度です。しかし、iDeCoと個人年金保険の制度を「掛金の拠出時」「運用時」「受け取り時」の3つのポイントで比較すると、iDeCoと個人年金保険には大きな差があることがわかります。

【掛金の拠出時】iDeCoが圧倒的に有利!

iDeCoも個人年金保険も、掛金(保険料)を支払うことで所得控除を受けられ、所得税や住民税が安くできます。所得控除できる金額が、iDeCoと個人年金保険で大きく異なります。

●iDeCoの場合

iDeCoで支払った掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除の対象になり、毎年の所得税や住民税が安くできます。たとえば、所得税5%、住民税10%の方が毎月2万円(年24万円)iDeCoの掛金を出した場合、1年間で所得税24万円×5%=1.2万円、住民税24万円×10%=2.4万円、合わせて3.6万円税金を減らせます。

●個人年金保険の場合

個人年金保険で支払った保険料は、「生命保険料控除」のひとつである「個人年金保険料控除」という所得控除の対象になります(加入している個人年金保険に「個人年金保険料税制適格特約」が付いていることが条件です)。しかし、個人年金保険の保険料はたとえ24万円支払っても所得税で4万円、住民税で2.8万円までしか所得控除できません(2012年以降の「新契約」の場合)。したがって、所得税5%、住民税10%の方が毎月2万円(年24万円)個人年金保険の保険料を支払っても、1年間で所得税4万円×5%=2000円、住民税2.8万円×10%=2800円、合わせて4800円しか税金を減らせないのです。

したがって、掛金の拠出時のメリットはiDeCoのほうがずっと上だといえます。

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【運用時】iDeCoのほうが大きく増える可能性がある!

●iDeCoの場合

iDeCoでは、定期預金・保険・投資信託から自分で選んで運用を行います。このなかでおすすめは投資信託。定期預金・保険は現状、金利がとても低いため、お金がほとんど増えないからです。投資信託ならば、運用によってお金が大きく増やせる可能性があります。
しかも、iDeCoでは投資で得られた利益(運用益)にかかる税金(通常20.315%)が非課税に。お金をより効率よく増やせます。

●個人年金保険の場合

個人年金保険の掛金は、保険会社が運用して、一定の利息をつけてくれます。しかし、現状は金利がとても低いため、運用で得られる利率(予定利率)も低い状態です。そのため、長期間活用してもiDeCoのようにはお金が増やせない可能性があります。

もちろん、iDeCoの投資信託には元本保証がないので、元本割れする可能性もあります。しかし、数十年にわたってコツコツと投資を続ける長期積立投資を行うことで、値下がりのリスクが抑えられ、お金が堅実に増やせると考えられます。

【受け取り時】iDeCoには退職所得控除や公的年金等控除がある!

●iDeCoの場合

iDeCoの資産は一時金で受け取ると「退職所得」、年金で受け取ると「雑所得」という扱いになります。また、一時金なら「退職所得控除」、年金なら「公的年金等控除」という所得控除が利用でき、税金の負担を減らせます。

●個人年金保険の場合

個人年金保険の資産は一時金で受け取ると「一時所得」、年金だと「雑所得」になります。ただし、iDeCoのような退職所得控除や公的年金等控除はありません。

iDeCoの退職所得控除では、iDeCoの加入年数が長いほど多くの税金を控除できます。10年なら400万円、20年なら800万円、30年なら1500万円まで一時金で受け取っても、税金は非課税です。退職所得控除を超える金額を受け取る場合は、その超えた分の2分の1が退職所得として課税対象になります。

それに対して、個人年金保険の一時金は一時所得なので、何年個人年金保険に加入していたとしても、控除できる金額は50万円まで。50万円を超えた分の2分の1が一時所得として課税対象になります。

また、年金で受け取るときにはiDeCoも個人年金保険も雑所得ですが、iDeCoには公的年金等控除があるため、65歳未満で年60万円、65歳以上で年110万円までなら、年金に税金がかかりません。

iDeCoのほうが退職所得控除や公的年金等控除が生かせる分有利だといえるでしょう。ただし、iDeCoの退職所得控除や公的年金等控除は、会社からもらう退職金や、老後に受け取る公的年金と同じ控除の枠なので、同時に受け取る場合などには税金が高くなる場合がある点には注意が必要です。なお、退職金とiDeCoの資産の受け取り時期をずらすことで、退職金・一時金に適用される税率を下げることができる場合もあります。

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まとめ

iDeCoと個人年金保険の制度の違いを紹介してきました。特に高い節税効果が得られること、投資信託の長期積立運用で資産が大きく増やせる可能性があることを考えると、老後資金作りにはiDeCoを優先したほうがいいと考えます。老後資金を手厚く用意するために、まずはiDeCoに取り組んでみてはいかがでしょうか。

畠山 憲一 Mocha編集長

1979年東京生まれ、埼玉育ち。大学卒業後、経済のことをまったく知らないままマネー本を扱う編集プロダクション・出版社に勤務。そこでゼロから学びつつ十余年にわたり書籍・ムック・雑誌記事などの作成に携わる。その経験を生かし、マネー初心者がわからないところ・つまずきやすいところをやさしく解説することを得意にしている。2018年より現職。ファイナンシャル・プランニング技能士2級。教員免許も保有。趣味はランニング。

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