22/02/28
保険証の種類や色、番号にはどんな意味がある? 職業や役職までバレるのか
病院の受付で必要になる保険証には、いろんな種類、色があります。「保険証の色を見れば、職業や役職などもわかる」という声もありますが、本当なのでしょうか。今回は、保険証の種類や色の違いを一覧表にまとめてご紹介。そもそも保険証からどんなことがわかるのか、解説します。
健康保険証の種類と色を一覧で確認
保険証にはいろんな色があります。しかし実は、色自体に意味があるわけではありません。
保険を運営する団体(保険者)ごとに、保険証の色はさまざまです。
●保険証の種類と色・保険者・加入対象者の一覧
筆者作成
保険証の種類は3つ
日本の公的保険には「社会保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3種類があり、被保険者へは、加入している保険の保険証が交付されます。それぞれの保険証の色、加入対象者などについて以下説明します。
●保険証の種類1:社会保険
社会保険に加入するのは、会社員、学校の先生、公務員、またはそれらの家族です。社会保険を運用する保険者には、主なものが3つあります。
① 組合管掌健康保険(組合健保)
組合健保は、企業が設立する健康保険です。運営するのは主に大企業、その傘下の企業、または系列の企業に勤める社員とその家族です。
組合健保は、単独の企業の場合常時700人以上の従業員が働いていること(複数の企業の場合は、合計で常時3000人以上の従業員がいること)が設立の条件となります。保険証の色は、緑、赤、ピンクなどが多くみられます。
② 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
協会けんぽは、もともと政府によって運営されていた健康保険組合が2008年に民営化し、全国健康保険協会(協会けんぽ)へと変わったものです。
協会けんぽの加入事業所数は全国約240万事業所、加入者数は約4031万人(2020年度)となっており、国民の約3.2人に1人が加入する日本最大の医療保険者です。協会けんぽの加入者は、健康保険組合を作ることができない中小企業や小規模企業で働く従業員とその家族などです。
2008年以前、政府によって運営されていたときの保険証はオレンジ色でしたが、その後、協会けんぽになってからは、水色への保険証へ切り替わりました。そのため、オレンジ色の保険証を持っている方は、政府が運営していた健康保険組合のときから加入していることがわかります。
③ 各種共済組合
共済組合は、主に公務員が加入する社会保険です。
共済組合には、いくつか種類があります。主なものを一覧で紹介します。
【主な共済組合の種類と加入対象者】
地方職員共済組合団体共済部ウェブサイトより筆者作成
各種共済組合の保険証は黄色、水色のものが多いです。
●保険証の種類2:国民健康保険
国民健康保険は、地方自治体によって運営されています。国民健康保険に加入するのは、自営業やフリーランスの方、会社を退職した方などです。それ以外にも、医師、弁護士、理容師など、同じ職業の方だけで作る健康保険組合などもあります。
地方自治体や個別の健康保険組合は、個々に健康保険証を発行していることもあり、グレー、緑、赤、ピンク、紫などさまざまな色があります。
●保険証の種類3:後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度に加入するのは、75歳以上の方、65~75歳までの一定の障害をもつと判断された方です。前述の社会保険や国民健康保険に加入している方などは、年齢、一定の障害などに該当すれば、加入している保険者から後期高齢者医療制度に移行することになります。
後期高齢者医療制度を運営するのは、各地方自治体になるため、保険証のデザインは、それぞれ違います。カード型のもの、縦長の大きなものなど、形もさまざまですし、色も緑・オレンジ・紫など多彩です。
保険証は色よりも記載された情報
保険証については、色や形などに違いがあることがおわかりいただけたと思います。
色については、各自治体や組合健保が独自に発行している都合上、違いがあるだけですので、詳細な職業や、役職、年収が特定されるなどということはありません。
しかし、保険証に記載されている保険証番号を見れば、おおまかな勤務先などがわかります。
●保険者番号からわかること
保険者番号は、保険証の下部分に記載されている数字です。国民健康保険の保険証には6桁、社会保険や後期高齢者医療制度の保険証には8桁の数字が印字されています。
保険者番号は、厚生労働省が数列のルールを決めています。数列の左から2桁は「法別番号」といい、被保険者が加入している公的医療保険の種類を分類したものです。そのため、法別番号を見ると、保険証の持ち主が勤務する会社の規模や職業などがわかります。主な法別番号を下記の一覧で紹介します。
【主な法別番号の一覧表】
厚生労働省の資料より筆者作成
また、法別番号の次にある3・4桁めの数字は「都道府県番号」です。都道府県番号からは、保険者が所在する都道府県などがわかります。北海道が01、東京が13、神奈川が14、大阪が27、沖縄が47などです。
【都道府県番号の一覧表】
厚生労働省の資料より
なお、5桁め〜7桁めは保険者ごとに割り振られる「保険者番号」、8桁めは番号の誤りがないかを確認する「検証番号」となっています。
まとめ
保険証の保険者番号など印字された情報からは、保険者が所在する場所、勤務先の会社の規模、おおまかな職業などはわかります。一度、ご自身の保険証で確認してみると良いでしょう。
保険証の色については、特に意味はありません。各自治体、組合健保などが独自で決めているため、さまざまな色があるということを理解しておきましょう。ただ、保険証には、名前や生年月日などの個人情報も記載されていますので、取り扱いには注意しましょう。
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舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー
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