18/09/11
災害時に備えるために確認すべき、6つのお金のこと
9月は台風などの災害が多いことで防災の日や、防災週間が決められていますが、まさに2018年は災害が次から次へとやってきています。
誰しもまさか自分が被災するなんて想像もしていませんが、いざ自分のこととなったら何をどうすればいいのわからないことばかりではないでしょうか。
今回は、災害にあってしまった時に、生活を立て直すために必要なお金のチェック項目6つについて解説します。
(1) 預金の引き出しについて
自宅が被災し、現金や預金通帳、印鑑、キャッシュカードなどなくなってしまったというときでも金融機関は対応してくれます。
本人を確認する免許証や保険証などがあれば休日や時間外であっても払い戻しに応じてくれます。そして、本人確認証がない場合でも例外的に受け付けてくれる金融機関もあります。
今回の北海道胆振東部地震では、政府・日銀より各金融機関に対し被災者へ万全を尽くすようにとの要請が正式に発表されています。近くに取引している金融機関の支店がない場合でも、引き出しに応じてくれるところもありますので、諦めずに問い合わせてみるといいでしょう。
とはいえ、本人確認証がある方がスムーズに手続きができるので本人確認証はつねに携帯しておくことをおすすめします。
(2) ケガや病気などの医療費負担について
健康保険証がないからといって病院に行くことをためらってはいけません。甚大な被害であればその地域は災害救助法が適用され、保険証がなくても通常の治療と同じように受診することができます。
9月6日の北海道地震及と台風21号等の災害による被災者に対して全国保険医団体連合会から緊急要望書を出され、窓口で名前、生年月日、電話番号、加入している保険組合などを伝えることで一部負担金を免除して無料で受診することができます。
また慢性疾患などで薬が必要な場合も、事後に処方箋が発行されることを条件に主治医と処方内容の確認がとれれば調剤薬局で薬の処方が可能な場合もあります。
(3) 損害保険や生命保険について
台風や大雨で川が氾濫したり、下水道の処理能力を越えて溢れ出し床上浸水したり、がけ崩れなどで家が倒壊してしまったりしたときは火災保険を確認しましょう。火災保険は火事だけではなく、水による災害の補償もあります。
また車が被害にあったときも同様に自動車保険から保険金が支払われる場合があります。さらに、ケガをしたときも傷害保険から保険金が支払われる場合もあります。
しかし、地震による崖崩れは火災保険ではなく、地震保険の補償になるので注意が必要です。また地震による車の被害、ケガなども補償されていないことが一般的です。ですが、これらを補償する特約が用意されていることもありますので確認が必要です。
スマホなどで写真をたくさん撮っておくことをオススメします。被害がどれくらいあったのかを証明できないと保険金が下りないからです。
自分がどの補償に加入していたか覚えていないときは、加入した代理店に問い合わせてみるといいでしょう。代理店の連絡先などもわからない場合は、「自然災害等損保契約照会センター」に問い合わせてみましょう。災害救助法が適用された地域であれば契約者本人、親族であれば契約の内容を確認することができます。
自然災害等損保契約照会センター
フリーダイヤル 0120-501331
受付時間 9:15~17:00(土・日・祝日および12月30日~1月4日を除く)
(4) 住宅ローンや自動車ローンの返済について
台風や地震などの災害によって住む家や、働く職場を失ってしまった上、住宅ローンや自動車ローンがのこっていたらどうしたらいいのでしょうか。そういった理由の場合は返済のタイミングが猶予されたり、一部減免されたりすることもあります。
通常ローンが返済できなくなったときは、「破産」や「再生」という法的手続きがありますが、災害のときには「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」により法的手続きによらない債務の整理ができます。
このガイドラインによって債務整理をすることで個人には3つのメリットがあります。1つ目は個人信用情報として登録されないため、新たな借入れに影響が及びません。2つ目は国の補助により弁護士等の「登録支援専門家」が無料で手続を支援します。3つ目は被災状況にもよりますが財産の一部をローンの支払いに充てずに手元に残すことができます。
(5) 国や地方公共団体の公的支援について
災害により今までの生活が困難になったときは、さまざまな公的支援を受けることができます。例えば、被災者生活再建支援制度では、著しい被害を受けた世帯に対して最高300万円が支給されます。また災害で亡くなった人の遺族に対して、災害弔慰金最高500万円、災害障害見舞金最高250万円が支払われます。
さらに、生活福祉資金貸付制度から、緊急小口資金や教育支援資金は無利子で、生活支援費や住宅入居費などは連帯保証人がいれば無利子で借りることができます。連帯保証人がいなくても融資を受けることができますが、1.5%の利子が必要です。問い合わせは住んでいる地域の市区町村社会福祉協議会です。もしわからないときは、都道府県社会福祉協議会に問い合わせるといいでしょう。
(6) 罹災(りさい)証明書について
台風や洪水、地震などで家屋に被害があったときは罹災証明書を発行してもらいましょう。罹災証明書は被災者からの申請で被害の程度がどのくらい(全壊、流失、大規模半壊、半壊、一部破損、床上浸水、床下浸水)であるかを調査し、認定して発行してくれます。
スマホなどで写真をたくさん撮っておくことをオススメします。罹災証明書の発行もスムーズでしょう。
各種保険の請求や税金の減免、各種救援措置も罹災証明が必要になります。罹災証明書の発行には、調査や認定が必要なためすぐに発行できるわけではありません。早くても1週間程度、大規模な災害の場合だと数週間もかかる可能性がありますので、早めに住んでいる地域の市町村の窓口に申請するようにしましょう。
まとめ
災害はいつ、どこで、どんなときにやってくるか誰にもわかりません。災害持ち出し袋や、非常食などを準備している家庭もあることでしょう。その中に、火災保険などの証券のコピーや、公的支援の連絡先などの情報も入れておくといざというときに役立ちます。
また、携帯電話使を紛失してしまうと家族と連絡をとることができなくなってしまうこともありますので、家族の電話番号などの情報も入れておくとよいでしょう。
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黒須 かおり ファイナンシャルプランナー(CFP)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー
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