20/03/21
2020年4月から敷金ルール変更で敷金トラブル激減するか
こんにちは、婚活FP山本です。実は120年ぶりの話なのですが、2020年4月1日から民法が改正されます。その中で、消費者として特に知っておきたいことのひとつが「敷金について」です。そこで今回は、新しくなる敷金ルールについてのポイントをお伝えします。
そもそも敷金とは?何が問題だった?
敷金とは、簡単に言えば「賃料などの担保目的」として、賃借人(借りる人)が賃貸不動産を借りる際に賃貸人(大家さん)に預けるお金です。ただし、あくまで不動産取引の「慣習」でやり取りされていたもので、ルールが曖昧であり、トラブルが頻発していました。
そんな敷金が明文化され、ルールが明確になったのが今回の法改正です。
具体的に、変更点を見てみましょう。
●敷金のルール変更点①:「原状回復ルール」が明確になった
敷金で、もっともトラブルになりがちな「原状回復ルール」が明確になります。
敷金は預けているだけのお金ですので、大きな過失がなければ返ってくるルールです。しかし、これまではルールが不明瞭だったため、たとえば原状回復で直す必要のないものまで「直さないといけない」とされ、敷金が返還されないケースが多かったのです。
新しいルールでは、基本的に以下のようなケースでのみ原状回復が必要です。
・ひっかき傷
・タバコの臭いやヤニよごれ
・ペットによる傷や臭い
・日常の不適切な手入れ、もしくは用法違反による設備等の毀損
これら以外のものは、基本的に「通常損耗・経年変化」として原状回復の必要は無くなります。代表例としては「電化製品による電気ヤケ」「床やカーペットのヘコミや設置跡」「鍵の取換え」「地震によるガラスの破損」などでしょうか。
簡単に言えば、「入居者の責任とは言えない劣化は対象外」となります。タバコも吸わずにペットも飼っていないのであれば、ヘンな傷にさえ注意すればいいわけです。少なくとも入居者にとっては、実に分かりやすく納得のいくルール変更でしょうね。
●敷金のルール変更点②:譲渡時のルールも明確になった
賃貸不動産では、入居中に物件の譲渡が行われ、所有者が変わることがあります。こんな時、入居者の中には「旧所有者と新所有者のどちらに家賃を支払えばいいか分からない」などとして、支払いを拒む方もいるのだそうです。
以後は、明確に新所有者に家賃を支払わなければならなくなります。ただし、そのためには新所有者による「所有権移転登記」が必要です。大家さんも家賃を支払ってもらえないと困るのですから、大家さんにとっては安心できる変更だといえるでしょう。
●新しいルール③:敷金の定義や返還時期、返還範囲も明確になった
これまで、敷金は「慣習」という曖昧なルールでしたが、改正によって以後は敷金、礼金、権利金、保証金などの名目・名称は関係なく、賃料の担保目的のお金は「敷金」となります。
敷金の返還時期は「賃貸借が終了して賃貸物を返還された時」。さらに敷金の返還範囲は、「敷金から損害賠償・未払賃料・原状回復費用などの未払債務を差し引いた残額」となります。原状回復ルールの明確化と合わせ、敷金トラブルも減りそうですね。
いずれも「当たり前のルール」に思えるかもですが、明確なルールが無かったからこそ、今までトラブルも頻発していました。しかし、今後は安心して賃貸不動産を借りられるようになるでしょう。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で対応しよう!
今回の民法改正は2020年4月1日からの適用となります。このため、その前から入居している場合は対象外です。しかし、そのような場合には国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が使えます。もしも問題が発生したら、不動産業者に「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインに沿った応対をして下さい」と言えばいいわけです。
ちなみに、このガイドラインの中身は今回の法改正とほぼ同じ内容になっています。というより、このガイドラインに沿って改正内容が決まっています。
よっぽど悪質な業者が相手でない限り、上記の発言をすれば納得のいく結果を得られるかと。退去予定のある方は、しっかり覚えておきましょう。
黙っていることが泣き寝入りへの第一歩
結局のところ、黙っていることが泣き寝入りへの第一歩です。2020年4月1日以降は相応に安心できる一方で、法改正前、または対象外の場合は、少しでも不信・不満を感じたら「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で対応していきましょう。
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山本昌義 山本FPオフィス代表
商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て2008年に独立。現在は日本初の「婚活FP」として、婚活パーティを開催しながら婚活中の方や結婚直後など、比較的若い方の経済面・心理面のご相談をメインに受けています。まずは一度、彼氏や旦那のグチでも言いに来て下さいね。山本FPオフィス
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