16/05/11
新築以上に価値アリ!? 築25年以上の築古マンションを賢く購入する方法
マンションを購入したいけれど、新築だと希望エリアでは価格が高すぎる。中古なら広くて安いものがあるのに。でも中古は建物の老朽化や耐震強度が心配。だからといってずっと賃貸で暮らすのはイヤだし…
不動産投資に興味のある女性の中には、こんな悩みが多いです。
そんなお悩みを解決するべく、中古マンション、それも築25年以上の築古マンションを選ぶポイントと注意点を紹介します。
新築マンションは空前の「高騰期」
駅前や繁華街などによくある「〇〇マンションギャラリー」というスポットを訪れたことはありますか?
不動産会社が新築マンション販売のためにつくっている「特設会場」みたいなものです。中に入ると、そのマンションの代表的な間取りを模したモデルルームがあります。流行のインテリアで彩られたリビングダイニング、食器洗い乾燥機やIHクッキングヒーターがビルトインされたスタイリッシュなキッチン、浴室にはテレビやミストサウナが装備されているなど。すべてがキラキラした空間。賃貸暮らしが長ければなおさら憧れてしまいますよね。
新しいものはいつでも魅力的です。でも、高くても仕方ないと、鵜呑みにしてはいけません。
新築マンションの価格はある理由があり、実質価値以上に価格設定されているのです。その理由は、「広告宣伝費」。マンションギャラリーの建築費用や、物件案内パンフレット・チラシの印刷費用、住宅雑誌への広告掲載料金など、販売に掛かる費用はすべて物件の価格に上乗せされています。さらに近年では東日本大震災を起因に始まった建築資材・建設作業員不足が相まって、まさに空前の価格高騰期となっているわけです。
好立地に建つ中古マンションが狙い目
マンション広告のうたい文句によく「〇〇駅から徒歩〇分」というのがあります。都心の新築でしたら駅から徒歩3分以上かかるところが多いのではないでしょうか。なぜなら、駅前など利便性の良い場所には数十年前から建物が建っており、そこにはオフィスビルだけでなく、居住用のマンションもあります。
こういった中古マンションは購入することができます。ただし、売り出しのタイミングは現所有者の都合によります。新築と比較して価格は当然に安く、しかも近頃は先進の水回り設備や、床や壁も流行のデザインで彩られた新築同様の物件(=リノベーションマンション)も売り出されています。建物自体が古いことを除けば、中古であっても、表面的には新築で暮らしているような気分が味わえるのです。
とはいえ、マンションの寿命は60年と言われます。電気・ガス・水道のライフライン配管の老朽化はもちろん、万が一の際の耐震強度も気になるところ。また築25年以上で一定の要件を満たしていなければ、住宅ローン減税の対象にもなりません。これらの課題がクリアされれば、中古マンション購入も前向きに検討できますよね。
中古マンション購入の不安を解消する3つの方法
中古マンション購入の心配事を解消するいくつかの方法があります。いずれもマンション一室(=専有部)の調査だけで証明書等が得られるものです。
1. 「適合リノベーション住宅(1R住宅)」マンションを選ぶ
通常の不動産売買でも、お部屋の引渡し前には電気や水道などのライフラインの実動確認は行われますが、日常生活に大きな支障があるかないか程度のチェックのみで、少々の性能劣化が見つかってもそのまま現状引渡しとなるのが一般的です。
一方、「適合リノベーション住宅(1R住宅)」マンションは、給排水管・電気設備などの経年劣化状況や、床・壁・天井の下地(したじ)調査などを綿密に行い、適正基準に達しない箇所には修繕が施され、すべての工事完了後に調査報告書が発行されます。引渡し後に不具合が出た際には施工業者に相談もできます。
2. 「耐震基準適合証明書」付きマンションを選ぶ
原則として、築25年以上のマンションは住宅ローン減税の控除が受けられません。しかし一定要件をクリアしていれば話は別です。
建築士などの専門家に申請を依頼したのち、耐震審査が行われ、必要箇所の耐震改修工事が完了したお部屋には「耐震基準適合証明書」が付されます。
この証明書付きマンションなら、築25年以上のマンションであっても、住宅ローン減税のほか、所有権移転登記の登録免許税、引渡し後に納付する不動産取得税、翌年度の固定資産税控除が受けられます。またこの証明書は、昭和時代の旧耐震設計(おおよそ昭和56年以前の竣工)のマンションでも取得できる場合があります。
3. 「既存住宅瑕疵保険」加入のマンションを選ぶ
「既存住宅瑕疵保険」は、建物を支える主要な部分や、雨漏りの原因となる部分の瑕疵(かし=欠陥)の補修費用が賄われる保険です。新築マンションは加入が義務付けられていますが、中古マンションの加入は任意です。
この保険に加入することで、築25年以上のマンションでも「耐震基準適合証明書」付きマンション同様、住宅ローン減税、所有権移転登記登録免許税、不動産取得税などの控除が受けられます。保険期間は中古マンションの場合、引渡し後5年間です。
昭和築マンションでも住宅ローン控除が受けられる
「適合リノベーション住宅(1R住宅)」は取得によって税控除などはありませんが、シャワーの水圧が低くてイライラしたり、床がフワフワとたわんで気持ちが悪かったりなど、中古マンション特有の不具合が引渡し前に解決されるというメリットがあります。
「耐震基準適合証明書」は、旧耐震設計の物件でも多数取得されており、実際に売り出されています。中古マンションで一番気になるのは耐震性。この耐震性能をお部屋ごとに調査・数値化し、適正でなければ補強工事の上で引き渡されます。昭和時代のマンションであっても耐震補強工事を行えば性能数値を適正に上げることができ、もともと数値が高く工事不要の優秀な物件もあります。
また、比較的新しい築30年以内の中古マンションなら、税控除と瑕疵保証のダブルメリットが望める「既存住宅瑕疵保険」加入の物件であれば良いでしょう。
以上の3項目すべてをクリアしている物件はなかなかないです。でも、いずれも任意であるので、ひとつでもクリアされていれば新築以上に検討の価値はあるでしょう。
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入江 敦子 ブリングエステート代表
住宅情報誌「suumo」の元レポーター。取材で訪れた不動産物件は数知れず。得意分野は区分所有不動産(マンション)。長年の執筆活動で培った知識を活かし、2014年よりブリングエステートを設立し、不動産業者として独立。ライターとしても活躍中。一児の母。7歳から始める不動産投資企画「子ども大家さん」を立ち上げ、母娘で物件模索中。宅地建物取引士、2級FP技能士。
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