20/05/15
住宅購入時に注意すべき「契約不適合責任」。民法改正で瑕疵担保責任から何が変わったのか
こんにちは、婚活FP山本です。2020年4月に民法が120年ぶりに改正されたことを受け、住宅などの売買に今まであった瑕疵担保責任が「契約不適合責任」に変わりました。一体なんのことなのか……。今回は、新しく生まれた契約不適合責任について詳しくお伝えします。
瑕疵担保責任とは
物件の売主は、たとえ売主が知らなかった「隠れた瑕疵(かし)」についても責任を負うルールになっています。これが瑕疵担保責任です。
「瑕疵」とは、欠陥やキズ、不具合などを指します。ちなみに瑕疵には、シロアリ被害や雨漏りといった物件そのものの故障だけでなく、事故物件だったり近所に暴力団事務所があったりといった事情などもあります。
瑕疵担保責任の期間は、新築なら「引き渡しの日から10年」、中古なら2年です。ただし、買主は「瑕疵を知った時から1年以内」に権利を使う必要があります。つまり、瑕疵を知ってから1年以内なら損害賠償を請求したり、契約目的を達成できない時は契約解除を請求できたりするのです。
契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、簡単にいえば、「種類・品質または数量」が契約内容と違う場合、買主は売主に「損害賠償か契約解除」に加えて「追完請求または代金減額請求」ができるようになりました。追完請求とは修理や代替物を引き渡したり、不足分を追加したりする請求のこと。代金減額請求はそのままですが、代金の減額の請求のことです。
契約不適合責任には期間制限が設けられていません。買主は契約不適合を知った時から一年以内に「通知」すれば足りるとなっています。ただし、民法以外の法律で禁止されている場合を除いて、契約不適合責任の最終的な内容は「契約(書)次第」となります。したがって、契約の前には、責任の範囲がどこまでなのか、確認する必要があります。
瑕疵担保責任と契約不適合責任の違い
簡単に瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いをまとめると、以下のとおりになります。
もっとも大きな変化は、権利行使対象です。瑕疵担保責任の権利が使えるのは「隠れた瑕疵」でしたが、契約不適合責任の権利は、隠れているか否かは関係なくなりました。この変更によって、中古不動産を安心して買えるようになるという効果が期待されています。
また、権利行使方法の損害賠償と契約解除は、改正前より対象範囲が拡大されています。以前より認められやすくなり、より多額を請求できるようになりましたから、ぜひ覚えておきましょう。
少なくとも、一般的には「瑕疵」などという言葉は使われませんね。多くの人にとっては理解しにくい表現です。その点、「契約不適合」なら、多くの人にとって分かりやすいでしょう。このあたりも、今回の変更理由とされています。
住宅を購入する際に注意したいポイント
すでに触れた通り、契約不適合責任も最終的には「契約(書)次第」です。だからといって、「契約不適合責任はすべて免責」といった契約書はもちろん無効となる可能性があります。しかし、たとえば契約(書)のなかで権利行使方法を定めたり、権利行使の期限を短くしたりする可能性はあります。
中でも、権利行使方法の一つである「追完請求」は、買主の大きな負担にさえならなければ、買主の要求する方法とは違っていても問題ないとされています。特にこの点は、買主にとって不利となる部分ですから、瑕疵があったときにどのような補償が行われるのか、重点的に確認しておくのがおすすめです。
より消費者保護が強まったのは確か!
瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わったことで、瑕疵が隠れてなくても知っていても問題なく、単に「契約(書)に適合しているか否か」が判断されるようになりました。したがって、明らかに売主の責任は重くなっています。権利行使の方法も増え、内容も拡大されましたから尚更です。
ただし、だからこそ「契約書の重み」も増したといえますから、消費者もしっかり目を通すよう努めていきましょう。
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山本昌義 山本FPオフィス代表
商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て2008年に独立。現在は日本初の「婚活FP」として、婚活パーティを開催しながら婚活中の方や結婚直後など、比較的若い方の経済面・心理面のご相談をメインに受けています。まずは一度、彼氏や旦那のグチでも言いに来て下さいね。山本FPオフィス
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