20/01/16
2020年の住宅ローン、固定金利と変動金利どっちにすべき?
マイホームの購入にあたって、住宅ローンを組むことを検討している人もいると思います。住宅ローンを選ぶ際に、固定金利と変動金利、どちらを選べばいいか悩みますよね。そこで今回は、固定金利と変動金利のしくみや違い、選ぶときのポイントについて解説します。
固定金利と変動金利の違い
住宅ローンの金利の種類は、大きく分けると「固定金利」と「変動金利」の2つです。「固定金利」の場合、文字通り返済期間中の金利が固定されており、変わらないということです。この「固定金利」も、返済期間中ずっと金利が固定されている「全期間固定型」と、金利が固定される期間が5年、10年、15年、20年などと決まっている「固定金利期間選択型」があります。固定金利期間選択型では、たとえば金利の固定期間を15年とした場合、この15年が終わったら以後の金利を変動金利にするか、その時点の金利水準で再計算された固定金利にするかを選択することができます。
一方、「変動金利」の場合にはその時点での金融情勢に応じた水準の金利で借り入れができます。ほとんどの住宅ローンでは半年ごとに金利が見直されます。ただ、金利が急に上がった、もしくは下がったからと言って毎月の返済額まで半年ごとに上下すると大変ですから、返済額自体は5年ごとに見直されるのが一般的です。その際に残りの返済期間や残高、金利水準で返済額が再計算されるということになります。
さらに、返済額が急に何倍にもなってしまわないように、前回の返済額の1.25倍を上限とすることも決まっています。たとえば返済額が10万円だった場合、どんなに急激な金利上昇を受けたとしても、5年ごとの見直しの際には12.5万円が返済額の上限となるということです。変動金利と言えども、急に返済額が変わるということはありません。
基本的には、変動金利よりも固定金利のほうが金利が高い傾向にあります。変動金利の場合は短期のプライムレート(最優遇金利)を基準にされていることもありますし、変動金利ならそのときの情勢に応じて金利を上げることができますが、固定金利の場合はそうはいきません。どんなに金利が上がっても約束した金利を維持しなければなりませんよね。そのリスクがあるため、基本的には固定金利のほうが金利が高くなっています。
新規契約の場合はどちらを選ぶべき?
国土交通省 住宅局が発表した「平成30年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によると、平成29年度は新規の借り入れで変動金利を変動した人の割合が50.7%ともっとも高く、固定金利期間選択型も31.2%と増加傾向にあります。一方、全期間固定金利型は6.2%となっており、いまは変動金利に人気が集まっていることがうかがえます。
変動金利は確かに金利水準も固定金利より低く、今後金利が上昇しなければ固定金利よりも返済総額が少なくなるというメリットがあります。一方で、金利が上昇した場合は返済額が多くなる、返済額が変動するのでライフプランが立てづらいというデメリットもあります。
固定金利なら金利水準自体は変動金利より高いものの、金利が上昇した場合のリスクは取らずに済みます。ただし、金利水準が上がらなかった場合には変動金利と比較して高めの金利設定なので返済額が大きくなるのがデメリットですね。借入金が少ない場合やもし5年ごとの返済額の見直しで上限の1.25倍に返済額が膨れ上がった場合にも対応できるくらいの経済的な余裕がある場合、また今後収入が上がる見込みがある場合などは変動金利で借り入れをしてもいいでしょう。逆に、経済的に当初の返済額から1.25倍に増えてしまったときに支払いが困難になったり、家計を大きく圧迫したりすることが予想される場合には固定金利を選んだほうがいいですね。
借り入れを検討している金額をもとに、もし今後、特に10年、20年と長期的に見て金利が上昇した場合のシミュレーションをしておくといいでしょう。
借り換えの場合はどちらを選ぶのが正解か
契約している住宅ローンよりも低い金利で借り換えができる住宅ローンを見ると、つい借り換えを検討したくなりますよね。確かに、いまの住宅ローンよりも低金利のローンに切り替えれば返済額自体は少なくなるでしょう。しかし、借り換えの場合は、その手続きに新規契約のときと同じくらいの費用がかかります。
住宅ローンを提供している多くの金融機関では、借り換えをした場合のシミュレーションができるようになっていますが、そのシミュレーションに借り換え手続きに必要な諸費用というのは含まれていないことが多く、非常に見えづらいコストです。借り換えにかかるコストは主に、融資に関する事務手数料、抵当権設定費用や登記にかかる費用、保証料などがあり、金融機関や借入金額などによりますが総額30~80万円ほどかかると言われています。
この30~80万円という金額を支払っても、借入したほうが返済額が減らせるという人は、ローン残高が多く、残りの返済期間が長い人ですよね。一般的には、ローン残高が1000万円以上、残りの返済期間が10年以上、借入を検討しているローンの金利差が1%以上という3つの条件を満たした人が借り換えのメリットを享受できると言われています。3つの条件すべてを満たさなくても借り換えによるメリットを享受できる人もいますので、もし借り換えに興味がある場合は借り換えするときの手数料やコストと、借り換え後の返済額を計算してみましょう。
ただし、借り換えによってメリットが出るとしても、借り換え自体にも審査が必要となります。新規借り入れの時に審査を通過したからと言って、借り換えでも審査に通るとも限りません。健康状態の悪化や収入の減少、不動産価値の下落などが理由で審査に通らないというケースもあるのです。また、転職によって勤続年数が短くなった場合やほかのローンを組んだ場合などは審査に不利になる可能性もあるので、注意が必要ですね。
まとめ
住宅ローンというのは大きな金額を借り入れ、長く付き合っていくものです。金利がより低いところを選ぶのもいいですが、長く付き合うものだと言うことを考え信頼できる金融機関を選ぶのも重要です。じっくり考えて、自分が納得できる住宅ローンを選んでくださいね。
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大塚 ちえ ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
新卒から証券会社一筋で働く、現役アラサー金融ウーマン。スポーツと音楽が趣味。金融機関勤めで得た知識と経験で、キャリアやお金、結婚・恋愛のことなどいろんな女性の悩みに向き合う。現代日本に生きる働きすぎな女性にエールを送る。
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