20/02/20
2020年の住宅ローン、固定金利と変動金利のどっちを選ぶべき?
2019年10月から消費税が10%になり、マイホームを購入するかどうか悩んでいる方も多いでしょう。いざ購入というときには、物件や支払金額にばかり目がいってしまいがちですが、もっと大事なのは住宅ローンの選び方。
今回は2020年の住宅ローン、固定金利と変動金利のどっちを選ぶべき?と題して解説します。
固定金利と変動金利はどう違うの?
いざ住宅ローンを借りるとなると、どの金融機関がいいのかや、返済の方法をどうするのかなど、考えることが多くて混乱してしまいそうです。
でも、慌てずに。まずは住宅ローンの一番の基本、金利のしくみを押さえましょう。
住宅ローンの金利には、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。固定金利は、最初に決めた期間は金利が変わりません。この「最初に決めた期間」には、ずっと金利が変わらない「全期間固定型」と、固定の期間が5年、10年などと一定期間のみの「固定金利期間選択型」があります。
一方、変動金利は、世の中の動向に応じて半年ごとに金利が見直されます。とはいえ、半年ごとに返済額が上下するわけではありません。変動金利で住宅ローンを借りても5年間は返済額が一定で、5年ごとに金利が見直されて、返済額が上下する仕組みになっています。だからといって、いきなり返済額が倍になるようでは困りますよね。ですから、返済額が増える場合も1.25倍が上限になるようになっています。
一般的には、変動金利よりも固定金利のほうが金利が高くなっています。これは、「金利が上がったときにリスクを誰が取るのか」という視点で見ると理解しやすいと思います。
変動金利なら、世の中の金利が高くなっても、金融機関はそれにあわせて住宅ローンの金利を上げることができます。つまり、変動金利の金利上昇の負担は、住宅ローンを借りた人が負います。
それに対して固定金利では、世の中の金利が上がっても、その分の利息を金融機関は手にすることができなくなります。つまり、固定金利の場合、金利上昇の負担は、金融機関が負うことになります。そこで、あらかじめ住宅ローンの金利に上乗せしているのです。固定金利の期間が長くなればなるほど、将来の予測が難しくなるため、金利は高くなります。
固定金利がいいと聞くけど、これからの動向は?
一般的には、世の中の金利が上昇していくときには、固定金利が有利だと言われています。マイナス金利が導入されて、2019年2月時点では、住宅ローンの金利はとても低い水準にあります。たとえば三井住友信託銀行で融資手数料型を利用した場合、変動金利の場合0.475%、固定金利30年で1.12%になっています。
過去には、変動金利で8%を超えていた時期もあります。平成2~3年にかけては、旧住宅金融公庫の基準金利が5.5%でした。その当時借りた人は、ここまで金利が下がるとは思いもしなかったでしょう。
しかし、今後20年30年といった長い期間でみて、金利がどうなるかはわかりません。超低金利は借りる側にとってはメリットが大きいのですが、金利が下がる余地が少ないことや、アメリカが利上げに転じていることからすれば、これから金利がどれだけ下がるかを考えるよりは、住宅ローンの金利はいつ上昇に転じるのかに注目するべきでしょう。
新規契約で選ぶのは固定? それとも変動?
金利だけをみると、変動金利が低いので、変動金利を選んだほうが得だと思う方もあるでしょう。しかし、固定金利にも変動金利にもそれぞれメリットとデメリットがあります。
固定金利には、金利が固定され安心感がありますし、返済額が変わらないので計画が立てやすいというメリットがあります。将来子どもの教育費がかかる場合などは、固定金利のほうが安心できるでしょう。逆にデメリットとしては、変動金利より金利が高めに設定されているので、低金利が長く続けば変動金利より返済額が多くなることが挙げられます。
それに対して変動金利は、今後金利が上昇しなければ固定金利より返済額が少なくなるメリットがあります。しかし、金利が上昇すれば返済額が多くなり、家計を圧迫する可能性もあります。余裕資金がある、または借入額が少ない場合であれば、金利上昇に対応できるので変動金利を選んでもよいでしょう。今後10年後に1%、20年後にさらにもう1%金利が上昇した場合に返済額がどう変わるのかをシミュレーションしてみましょう。
借り換えの場合はどうする?
また、この低金利のうちに住宅ローンの借り換えを検討している方は、次の3つの目安を満たしていれば、お得になる可能性が高いでしょう。
・ローンの残りの期間が10年以上
・借入金額が1000万円以上
・借りたときの金利差が0.3%以上
借り換えとは、借りていた金融機関の抵当権を抹消して、新たに借りる金融機関と抵当権を設定する手続きなので、諸費用がかかります。これから払わなくても済む利息から諸費用を差し引いて「おつり」がくるのかを考えます。
たとえば、2000万円を借り換えした場合の諸費用を考えてみましょう。抹消場合の登録免許税(土地・建物が各々1つの場合)が2000円、登記費用が2万円程度かかります。また設定の場合の登録免許税が8万円、登記費用が6~10万円かかるほかに契約書に貼る印紙代が2万円いります。それ以外にも事務手数料が最低でも5万円ほどかかるので、少なく見積もっても20万円以上の費用が必要になります。
ただし、転職したてだったり、健康状態に不安があり団体信用生命保険に加入できなかったりすると、借り換えは難しくなります。
まとめ
今回は、2020年の住宅ローン、固定金利と変動金利のどっちを選ぶべき?という観点で解説しましたが、いかがでしょうか。消費税増税を追い風にして「マイホームを売りたい」と住宅メーカーは考えています。もしかしたら、マイホームの購入を焦っているかもしれませんが、消費税がかかるのは「建物」だけです。また、税制面でも優遇制度が用意されています。セールストークに惑わされず、自分のライフプランに合わせたマイホーム購入・住宅ローンをじっくり検討してください。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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