21/11/02
投信の営業トークにひそむ「5つのウソ」
投資信託と言えば、投資初心者におすすめな金融商品と言うイメージなのではないでしょうか。気軽に少額から購入できて、分散投資も簡単にできる、プロが運用してくれるなどさまざまなメリットがあるため、「投資を始めるならまずは投資信託」と思っている人も多いと思います。しかし、もしも金融機関からおすすめされたまま投資信託を購入していたとしたら、知らずのうちに損する商品を購入しているかもしれません。そこで今回は、投資信託の営業トークにありがちな5つのウソと、それに騙されないためのポイントをご紹介します。
投信の営業トークのウソ1:「売れ筋の商品です」「ランキング上位の投信です」
「ランキング上位」や「みんなが買っている」、「売れ筋」などという言葉に弱いという人も少なくないのではないでしょうか。ですが、ただ単に売れ筋だからと言って購入を決めてしまうのはNGです。売れるモノには理由があるという理屈もわかりますが、その売れる理由がどういう理由なのかをきちんと検証する必要があります。しかも、投資信託を買う人の年齢・保有資産・年収・投資経験はさまざまですし、投資信託を買う理由がそもそも全く異なります。どんな人が買っているのかわからないモノを購入するのは金融商品に関わらず、ちょっと怖いですよね。
投資信託の場合、ランキング上位の売れ筋商品と今後の運用成績の間には、何の関係もありません。実際、売れていても成績が悪いものやもっと他に運用成績がいいものもたくさんあります。自分が投信を買う理由を再検討したうえで、信託報酬や販売手数料などのコストをチェックしてみましょう。もしかすると、割高な投信(金融機関が儲かる商品)を勧められているかもしれません。
投信の営業トークのウソ2:「投信は分散投資可能なので、まとめて買ったほうがいい」
投資信託は分散投資ができる、というのをよく耳にする人もいるでしょう。たしかに、投資信託は株とは違って1つの企業に集中して投資するというものではなく、複数の国や企業、市場全体の値動きを示す指標(インデックス)などに投資するため、分散投資ができるというのはすべて間違いと言うワケではありません。しかし、投資信託の購入は「投資先」の分散が可能というだけです。いくら投資先が分散されていても、一度に投資すると、その後の値下がりで大きく損をしてしまう可能性があります。
投資の鉄則は「投資先」だけでなく「時間」も分散することです。購入のタイミングをずらして時間も分散することで、平均購入単価を下げる「ドルコスト平均法」の効果が得られます。少額ずつ時間をかけて購入することで投資先だけでなく時間の分散が可能になります。金融機関としては、まとめてたくさん買ってもらった方が儲かるのですから、このように勧めるのかもしれませんね。
投信の営業トークのウソ3:「最近出た新しい投信です」
お菓子でもなんでも「新作に弱い!」という人も少なくありません。新作に弱い人の心に刺さるのは「最近出た新しい投信」という営業トーク。新しいものだからいいものだろうと思ってしまう気持ちはわかります
しかし、最近出た新しい投信の場合、まだ運用がほとんど行われていません。新しいからといって儲かるかはわかりませんし、実績が乏しいのですから良し悪しの判断のしようもありません。ですから、あえて新しい投信を選ぶ必要性は全くありません。
実績がある投信はほかにいくらでもあるはずです。新しく発売される投資信託をあえて選ぶなら、実績がないことに勝るよっぽどの理由がなければなりません。そんな理由があるのかどうか、じっくり考えてみるといいでしょう。金融機関は、新しいという理由だけで簡単に売れると考えているのかもしれません。
投信の営業トークのウソ4:「分配金がたくさん出る」
分配金が出ると聞くと「おトクな投信」というイメージがあるかもしれません。とくに、毎月分配金を出す投資信託は昔から人気があります。
分配金には2種類あります。
1つは「普通分配金」といって、運用によって得られた利益を投資家に還元するものです。もう1つは「元本払戻金」(特別分配金)といって、運用によって得られた利益ではなく元本の一部を投資家に払い戻すものです。つまり、元本払戻金は、一見分配金に見えて、運用資金自体が減ってしまうものなのです。分配金と言っても、「普通分配金」ならいいですが「特別分配金」がたくさん出ている投資信託はとてもおトクとは言えませんよね。これから資産を増やしたいという人には向かないことを押さえておきましょう。
投信の営業トークのウソ5:「最近人気のテーマ型です」
最近増えている「テーマ型」の投信も、営業トークで勧められがちな商品です。テーマ型は、たとえば「AI関連」「DX関連」「ブロックチェーン」など、特定のテーマに関連した投資先に的を絞って投資する商品です。個人投資家でも最近よく耳にする単語が使われていることが多くピンとくるので、ついつい購入してしまいがちです。
しかし、テーマ型の投信は、長くブームが続くものでもないので注意が必要です。一時的に保有するだけならまだしも、長期間保有しようと思うと人気が去ってしまい、運用成績が落ち込んでしまうということもあります。手数料も総じて高いので、金融機関も売りたいのでしょう。長期で資産を増やしたいならば、選ぶべきではないでしょう。
まとめ
いかがでしたか。今回は、投信の営業トークに騙されないためのヒントをご紹介しました。よく耳にする「分配金」や「分散投資」などのキーワードに惑わされずに、資産を増やせる投資信託を選びましょう。
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大塚 ちえ ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
新卒から証券会社一筋で働く、現役アラサー金融ウーマン。スポーツと音楽が趣味。金融機関勤めで得た知識と経験で、キャリアやお金、結婚・恋愛のことなどいろんな女性の悩みに向き合う。現代日本に生きる働きすぎな女性にエールを送る。
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