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21/10/30

家計・ライフ

60歳貯蓄ゼロから資産運用無しで目指す豊かな老後3つのステップ

60歳で「老後資金がない」というのは、そんなに珍しいことではありません。
還暦を迎えた人の4人に1人が100万円未満の貯蓄しかありません。また、300万円未満に広げると3人に1人になります。

●60歳の貯蓄額

「なんだぁ、自分だけじゃないのか、安心した!」なんて思っている人、そんなことで安心してはいけません。貯蓄がないと言うことは、とても危険なことです。まさに綱渡り状態で、いつ転落するのかわかりません。
「老後資金がゼロ」だと、どんな老後生活が待っているのでしょうか? 暗い気持ちになってしまいますが、ちょっと想像してみてください。絶対にイヤですよね! 今回は、「老後資金ゼロからの脱出方法」を解説してみます。

年金の平均受給額から老後生活を考える

「老後資金ゼロ」だと、どんな暮らしになるかというと、多くの場合「年金だけの生活」になります。

年金の受給額は、個人によって異なります。
厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和元年)」をみると、国民年金の平均月額受給額は、男性:5万8866円、女性:5万3699円です。厚生年金の平均月額受給額は、男性は17万1305円で、女性は10万8813円です。

夫が会社員で、妻が専業主婦の場合の、年金の平均受給月額は、17万1305円+5万3699円で合計22万5004円になります。
つまり月額約22.5万円での生活になります(年収約270万円)。

この金額で生活するのは、かなり厳しいでしょう。生活費だけでキツキツだと思います。賃貸で家賃が高いと、生活が成り立たなくなるのではという感じになります。

老後は、この生活がずっと続いていくというわけです。考えただけでも暗くなりますね。しかも、病気や要介護状態になると支出はもっと増えます。まさに綱渡りです。トラブルがあるとすぐに困窮に陥ってしまいます。

生活保護は簡単ではない!

「でも、生活保護があるじゃないか」と簡単に考えないでください。生活保護の申請は、それほど甘くはありません。持ち家がある場合は、当然ダメですし、クルマの所有もダメです。財産がある場合はまず売却しますし、パソコンなども売却を進められます。それに親・兄弟など親族に援助ができないかという連絡が行きます。

このように生活保護はハードルが高いです。もちろんそれでも、もし本当に困窮に陥った場合には、ためらわずに相談することをオススメします。しかし、貯蓄ゼロと言うことだけでは生活保護を受けることができません。働ける人には働くという選択肢が残っています。

自営業者は国民年金だけ。生活が厳しくなる!

先ほど、夫がサラリーマンで妻が専業主婦の場合に平均月額約22.5万円の年金があると紹介しましたが、もし、共働きの場合は、夫婦の受給額の合計は増えます。その場合には、なんとかやりくりができるでしょうね。とは言え、貯蓄はゼロのままでは綱渡りが続いてしまいます。

もっと困るのは、年金の受給額が少ない人です。自営業などで国民年金だけの人は、たとえ国民年金(老齢基礎年金)が満額だとしても、月額約6万5000円です。夫婦が基礎年金だけだとすると合計で13万円しかありません。これで生活するのは難しいでしょう。
ほんとうに、生活保護になってしまいます…。

「貯蓄ゼロ」から脱出する3つのステップ!

では、「貯蓄ゼロ」からどうすれば脱出できるのでしょうか?
貯蓄ゼロからの脱出には、3つのステップが必要になります。

●貯蓄ゼロからの脱出のステップ1:働く

もっとも効果的な脱出方法は、できるだけ長く働くことです。
まずは、これしかありません。生活をしなければいけないので、働いて生活費を確保するのは絶対ですし、すこしでも貯蓄額を増やす必要があります。
貯蓄があると、何かトラブルがあっても対処することができますからね。

会社員の場合は、定年後も再雇用で65歳までは働けますし、希望するならば70歳まで、働ける環境が整ってきました。

●貯蓄ゼロからの脱出のステップ2:年金を増やす

老後の生活を安定させる方法は、「収支のバランスをとる」ということです。
収支のバランスが取れていれば、一生涯お金に困らない生活をすることができます。まさに「豊かな老後」に近づけるのです。

働いて収入を得ることで、家計を黒字にすることができます。しかし、いつまでも働くわけにはいきません。仕事を辞めた後は、年金だけになります。ですので、年金を増額させる必要があります。

じつは長く働くことは、年金を増額につながります。
会社員などは、厚生年金に加入しながら働くので、65歳以降の厚生年金の受給額が増えていきます。
さらに、年金の繰下げ受給をすることで受給額は増額されます。1年、受け取りを遅らせるだけで、8.4%の増額になります。投資信託などで運用するよりも確実に増やすことができるのです。70歳まで繰り下げれば42%の増額になります。これによって年金暮らしの「収支のバランス」を取ることができます。

●貯蓄ゼロからの脱出のステップ3:節約する

ステップ1、2は収入の増額の話をしました。今度は家計の支出も削る必要があります。家計のダウンサイジングも大切です。まず固定費を見直すことです。これがもっとも楽に継続できる節約方法です。固定費というのは、生命保険とか、携帯電話料、クルマの維持費、それに住宅費です。大きな支出から見直してみましょう。

3つのステップで豊かな老後生活を実現しよう

この3つのステップを実行することで、貯蓄ゼロからでも「豊かな老後生活」を送ることができます。もっとも、それぞれの家庭によって状況が変わります。家庭の状況に合わせて、年金を増やしたり、働き方を考えたりする必要があると思います。

それを考える際に役立つのが、5つの家計を詳しくシミュレーションした『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)です。こちらも参考にしていただければ幸いです。
では、貯蓄ゼロから脱出をして「豊かな老後生活」を実現してみてください。

『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』長尾義弘 著

60歳「貯蓄0円」が90歳「貯蓄1000万円」に変わる!
「老後資金はいくら必要か」といった疑問への答えはもちろん、「投資をせずにお金を増やす」という秘策まで公開。100歳までの収支バランスをシミュレーションし、安全にお金を増やし、安心な老後をおくる方法を教えます。

長尾 義弘 NEO企画代表

ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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