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21/04/05

家計・ライフ

「ねんきん定期便」から考える、年金を今からでも増やす老後戦略 

定年後の皆さんは、どんな生活をされているのでしょうか?
多くの人は、60歳で定年を迎えて65歳までは再雇用で働いているでしょう。65歳以降は、再雇用が終わり無職になります。もちろん雇用延長しながら働く人もいますが、仕事を辞めてしまう人が多いのです。その後の収入のメインは「年金」になります。

厚生労働省の調査によると、5割以上の人が年金だけの生活をしています。残り半数の人は、年金に加えて、何らかの収入を得ています。しかし、その年金以外に収入がある人も、総収入に対する年金の割合は約8割です。

ということは、定年後の生活は、年金の収入なくしては考えられないということになります。老後はまさに「年金生活者」ということです。そこで今回は、「定年後の生活はどんな感じになるのか?」をイメージしてみたいと思います。

老後の収入に合わせて、生活レベルを考えよう!

定年後の生活を考える上で、まず大切なことは、老後の収入額を知ることです。定年後、そして再雇用後の生活は、年金額で決まると言っていいでしょう。

たとえば、現役のサラリーマンの生活は、給与収入で決まってきます。
月給がいくらだから、「家賃はこのくらいのところに住める」「住宅ローンはいくらぐらいまでなら大丈夫」「毎月の食費はいくら」というように、すべて「給与がいくらだから」というところから計算が始まります。
さらに、あと何年勤めて給与がこのくらい増えるだろう、ということを見越して、借金(住宅ローン・自動車ローン・奨学金など)ができるのです。

老後生活も同じです。老後の収入を基本に考えれば、老後生活がイメージできると思います。
老後の収入のメインは、先にお話ししたとおり年金です。国民年金・厚生年金といった公的年金に加えて、個人年金や企業年金といった私的年金がある場合には、その合計額になります(なお、企業年金は、有期年金が多いので、何歳までもらえるのかに注意してください)。

老後の収入がいくらだから、「住居費はこのくらい」「毎月の食費はいくら」「旅行などのレジャーにはこのくらいかけて大丈夫」などと計算ができるのです。
しかし、収入が増える可能性が少ないので、借金をするのは難しいかも知れません(自宅を担保にしてお金を借りるリバースモーゲージは可能)。

また、万が一のためにある程度の余裕資金を準備しておく必要があります。
老後生活で考えられる大きなトラブルとしては病気、介護、そして認知症などがあるでしょう。
もちろん現役時代でも、病気や不慮のトラブルに遭遇したときの備えは大切です。

このように、老後の生活を具体的にイメージする作業はとても重要です。

公的年金の受給額を確認するには

老後の生活のイメージは、老後の収入を確認するところから始まることを説明しました。
老後の収入を確認し、イメージする最も簡単な方法は、「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」を見ることです。これで公的年金の金額がわかります。

ねんきん定期便は、誕生月に送られてきます。50歳未満と50歳以上では見方がちょっと違います。50歳未満の方は、加入実績に応じた年金の受取金額が記載されているため、これから納付する金額は含まれていないので、受け取り額はかなり低いです。
50歳以上は、見込み金額で記載されていますから、将来に受け取れる額に近い数字です。

PayPay証券

現状把握がもっとも大事です

さてさて、自分の年金額をみた感想をお聞かせください!
「あまりに低い金額でビックリ!」
「老後が不安に!」
「暗い気持ちになった。見なきゃよかった!」
なるほど、そういう気持ちはごもっともです。しかし、これが現状なのです。まずこの金額で生活するイメージをしてください。ここでしていただきたいのは、現状認識なのです。まずは、どんな暮らしになるのか? 想像することです。
もちろん、公的年金額に企業年金を加えるとなんとかなりそうな家庭もあると思います。

年金の受け取り額は、人によってそれぞれ異なります。
まずは、現状を把握して、次にどうすればよいかを考えましょう。
「老後生活は暗く、破綻の可能性がある」と思う人は、大変です。しかし、暗い気持ちにならないでください、まだ大丈夫です。

安心できる老後に変える、いまから実行できる方法とは

老後に入る前に定年後の暮らしに気づくことで、安心な老後に変えることができます。
まるで老後のイメージをしないで、老後資金についてもなんとかなるだろうと高を括って老後生活を始めると、いざ資金が少なくなってしまったときには、手遅れになりかねません。収入が限られているので老後資金が少なくなってしまうと、選択肢が少なくなるからです。

現状を認識すれば、どのくらいの老後資金が必要なのかもわかります。そうすれば老後について真剣に向き合う手立てが考えられます。
たとえば、iDeCoやNISAを利用して老後資金を用意したり、生活費を見直したり、年金額を増額できる「年金の繰下げ」受給を目指したり、できるだけ長く働いたりすることなどが挙げられるでしょう。

これらの方法を組み合わせて、自分に何ができるかを考えてみてください。きっと、老後生活がバラ色にできるはずです。

長尾 義弘 NEO企画代表

ファイナンシャル・プランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

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