21/10/17
賢い銀行の使い方、損する銀行の使い方
「銀行なんてどこでも同じ」と考える方は多いかもしれません。しかし、銀行ごとに提供するサービスや商品には違いがあります。また、銀行に投資の相談を行い、「銀行の勧めるものだから安心」と勧められるままに投資商品を購入すると、かえって損してしまう可能性もあります。そこで今回は、賢く銀行を使うために、どんなポイントを押さえておけばよいのかについてご説明します。
賢い銀行の使い方1:少しでも預金金利の高い銀行・住宅ローン金利の安い銀行を活用する
金利は、どの銀行も同じではありません。2021年10月時点、一般的な銀行では普通預金の金利は年0.001%と極めて低水準です。しかし、ネット銀行などの場合、それよりも高い金利が設定されている場合があります。
たとえば、あおぞら銀行の「あおぞら銀行BANK」では、普通預金の金利が年0.2%! 一般的な銀行のなんと200倍となっています。仮に100万円を1年間預金した場合、金利年0.001%のとき税引き前利息は10円であるのに対して、金利年0.2%のとき税引き前利息は2000円となります。
また、楽天銀行では普通預金の金利が年0.02%ですが、楽天証券との連携サービス「マネーブリッジ」を設定すると最大年0.1%に。イオン銀行でも利用状況に応じた「イオン銀行Myステージ」で最大年0.1%にアップします。
さらに、住宅ローンの金利も近年下落傾向にあります。以前住宅ローンを借りて住居を購入した方の中には、いまだに当時の高い金利を支払っている方もいるかもしれません。もし「ローンの残り返済期間が10年以上」「ローン残高が1000万円以上」「現在の金利と借り換え後の金利差が0.3%以上」の3つの条件を満たしているならば、住宅ローンの借り換えによって総返済額を減らせるでしょう。借り換えにかかる諸費用も安くなっているので、ぜひ積極的に検討してください。
小さな金利差に見えても、その結果の違いは大きくなることを知っておきたいですね。
●損する銀行の使い方:金利の高さに釣られて商品内容を確認しない
預金金利が高い銀行を探してみる姿勢は、賢く銀行を使うポイントですが、金利の高さだけに目を奪われて、商品内容の確認がおろそかになり、損をしてしまったというケースもあります。
たとえば仕組み預金。仕組み預金は、一般の預金より高い金利が提示されることが多い定期預金です。しかし、一般の定期預金と異なり、予め提示されていた預金期間(満期日)を銀行都合で変更できます。満期日までは、原則中途解約は不可能。ですから、お金が必要になっても引き出せない場合があるうえ、解約を認められた場合も、大きく元本を下回る可能性があります。金利の高さばかりに目を奪われず、商品内容も確認する姿勢は大切です。
賢い銀行の使い方2:入出金・振込にかかる手数料を確認する
銀行の手数料と一口に言っても、預金の入出金にかかる手数料や振込にかかる手数料など、さまざまあります。
預金の入出金にかかる手数料は、「どの銀行でも時間外だったらかかるものでしょ?」と考える方もいるでしょう。結論から言うと、その認識は誤りです。例えば、東京スター銀行「スターワン口座」では、メガバンクやゆうちょ銀行、コンビニなどのATM利用手数料が月8回まで実質無料(翌月第一銀行営業日にキャッシュバック)となっています。給与振込口座など生活口座と別にサブ口座として、出金の手数料が無料の銀行口座をもっておくのもよいでしょう。
また、他行あてにお金を振り込む際の振込手数料も、東京スター銀行ならネットバンキングの登録と口座取引明細書の郵送を「郵送しない」設定にするだけで月3回まで無料。上で紹介した楽天銀行でもステージに応じて月3回、イオン銀行ではステージに応じて月5回まで無料になります。
もし、入出金手数料や振込手数料を気にせず支払っているようだと、お金が貯められない可能性が高いでしょう。1回の手数料は確かに大した金額ではありませんが、もし月に500円手数料を払っていたとしたら、10年間で6万円もの出費になります。損しないためにも、なるべく手数料をかけない方法を利用しましょう。
●損する銀行の使い方:口座管理手数料や通帳発行手数料に気を配らない
普段、利用している口座については、入出金や振込の手数料をしっかりチェックしている方も多いかもしれません。しかし、盲点は利用していない口座にも手数料がかかる可能性があるということです。
例えば、りそな銀行では、2004年4月1日以降に新規開設された口座で、2年以上利用がない場合、年間1320円(税込)の未利用口座管理手数料がかかります。また、2021年4月からは三井住友銀行で1100円、7月からは三菱UFJ銀行でも1320円の未利用口座管理手数料がかかるようになっています。また、みずほ銀行や三井住友銀行では紙の通帳の発行手数料を徴収するようになりました。これらの手数料を新たに導入する銀行は、増加傾向にあります。
いずれも現状、手数料の有料化前に開設された口座は対象外ではありますが、もし手数料のかかる口座を持っているものの使っていない…という場合は解約しましょう。
賢い銀行の使い方3:なるべく手数料の安い商品を選ぶ
銀行では、投資信託などの投資商品を買うことができます。しかし、担当者に「これはいい商品です」と勧められたとしても、銀行での投資商品購入の際には、必ず手数料がどれくらいかかるかを確認しましょう。
例えば、投資信託に係る手数料には、購入手数料、信託報酬、信託財産留保額の3つがあります。その中でも購入手数料は1~3%程度かかります。銀行で投資商品を勧められて、購入された方の中には手数料がかかるのが当たり前と考えている方も多いと思います。
しかし、実は購入手数料のかからない投資信託はたくさんあります。たとえばSBI証券・楽天証券・マネックス証券といったネット証券では、購入手数料のかからない「ノーロード」と呼ばれる投資信託を多数扱っているのです。店舗型の銀行などでは、取り扱っている商品数が少なかったり、イマイチな商品しかなかったりする場合も。そんな商品のなかから本当にいいものを選ぶのは不可能。これでは損してしまいます。
銀行が勧めるから安心と安易に考えず、ネットで商品検索、比較を行う手間を惜しまないようにしましょう。
●損する銀行の使い方:銀行担当者のおすすめを鵜呑みにする
銀行が投資商品を販売するのは、その手数料収入を得られるからです。より手数料の高い商品を販売した方が銀行にはメリットがあります。中には親身になって、顧客視点に立って商品提案をしてくれる担当者もいるでしょう。しかし、知識や経験が乏しい担当者がいるのも事実です。そのような担当者に勧められるがままに、高い手数料の投資商品を購入することになるのは大変もったいないことです。銀行のおすすめを鵜呑みにせず、自分でその商品を調べて判断する姿勢を持つようにしましょう。
むしろ、店舗型の窓口を、無料で使える便利な相談窓口として利用してみましょう。
「窓口で即決をしない」という前提で、投資についての相談をして、専門用語や商品比較のポイントを納得いくまで質問してみましょう。そのときに、わかりやすく丁寧に説明してくれるかも、いい金融機関の見極めポイントです。
●Webサービスやアプリの使いやすさもチェック
近年は、どの銀行もWeb上でのサービスやアプリを展開しています。インターネットバンキングを利用したり、スマホで振込や金融商品の売買をしたりする機会も増えているでしょう。これが見にくかったり、使いづらかったりするとストレスがたまる「損する銀行」になってしまいます。賢く銀行を使うために、Webサービスやアプリの使いやすさもチェックしておきましょう。
まとめ
「銀行なんてどこでも同じ」という時代ではありません。金利やサービス、手数料など、銀行によって提供する内容は様々です。特にネット銀行が多数登場したことにより、多様化が進んでいます。賢く銀行を使い、損をしないためには、自ら情報収集してサービス等の比較をする姿勢が大切と言えます。まずはわかりやすい預金金利というポイントから、現在利用している銀行よりも条件のよい銀行を探してみる所から始めてみてはいかがでしょうか。
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キムラミキ 株式会社ラフデッサン 代表取締役
AFP・社会福祉士・宅地建物取引士。外資系生命保険会社、マンションディベロッパーの営業を経て独立。現在は、就労移行支援事業所Fine米子オフィス(うつや発達障がいのある方の就労サポート施設)の運営に携わり、経済的自立をしたいと考える方のサポーターとして活動中。得意分野はライフプラン、キャリアプラン、生命保険、不動産。BSS山陰放送ラジオパーソナリティ歴10年以上の顔も持つ。
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