19/02/21
アラフォーで出産した人が知っておくべき3つの貯蓄の注意点
2018年に発表された厚生労働省「人口動態調査(2017年)」によれば、女性が出産する平均年齢は32歳でした。
女性の出産年齢は年々上がる傾向にあり、アラフォー(35~44歳)で出産する人は28.4%。実に4人に1人以上はアラフォーママです。
ライフステージの変化は、人によってベストなタイミングがあります。そのため、気を付けておきたいことはそれぞれのケースで違いがあります。
今回は、アラフォーで出産した場合の、貯蓄に関する注意点についてお伝えします。
子どもの教育費の貯蓄は、収入に合わせて柔軟に考える
40代ともなると、収入は安定して増え、ゆとりのある生活を送っている人も多いのではないでしょうか。そのため、家族が増えても経済的な困難を抱えるケースは少ないと思われます。
しかし、子どもは20年もの年月をかけて成長していきます。教育費は公立校に進むか、私立校にするかによって大きく異なりますが、すべて公立でも幼稚園から高校まで約540万円、高校から私立にすると、約716万円かかります(文部科学省「平成28年度子供の学習費調査」より)。
小学校、中学校、高校までの教育費は、月々の生活費から捻出できるとしても、大学進学前後にはまとまった資金が必要になります。
初年度納入金だけでも、国立で約82万円、私立文系では平均約115万円、私立理科系では約150万円です。このほかに塾や予備校の費用、受験料も考慮に入れるとさらに膨らみます。
40歳で出産した時の子どもなら、大学進学する時には58歳。会社員であれば、役職定年のため55歳頃から給与が下がるケースもあります。
また、自営業やフリーランスではバリバリ働く人も多い年齢ではありますが、働くペースをゆっくりにしたいと思う人も増えてきます。
つまり、最も子どもにお金がかかる時期に、収入のピークが過ぎている可能性があるということになります。そのため、教育費は子どもが生まれた時から計画的に貯蓄をしていくことが大切です。
教育費の準備には、学資保険や、ジュニアNISAなどを活用するとよいでしょう。
どちらも、税金の優遇を受けながら、資金を作ることのできる金融商品です。
自分の老後資金を貯蓄する期間が短い
さて、子どもが社会人になり独立したら、一般的にはそこからが自分の老後資金を貯める時期になります。
しかし、アラフォーの出産だと、どうしても老後までの期間が短くなります。
仮に老後を70歳からと考えてみましょう。
25歳で出産したら子どもの独立は47歳。70歳までには23年間あります。貯蓄と運用で老後資金を作るための期間として有効活用できそうです。
一方、40歳の出産の場合、子どもの独立は62歳、70歳までは8年間です。資産形成には少々短いかもしれません。
そのため、アラフォーで出産された方は少しずつでもいいので早いうちから老後資金の準備に取りかかりましょう。
iDeCo(=イデコ、個人型確定拠出年金)は節税にもなり、老後資金準備にオススメです。投資信託で運用するタイプが多いのですが、元本保証の商品もあるのでぜひ検討してみましょう。
また、つみたてNISA(積立NISA)は、年間40万円までの投資額にかかる運用益が、20年間非課税になります。元本保証ではありませんが、運用商品は金融庁の厳しい審査をクリアしたものに限られています。
手堅く老後資金をつくるにはこちらもオススメです。
そして、アラフォーで出産すると子どもが大学を卒業するころには60代です。60代はリタイアの時期が近いというイメージですが、60代になってもしっかり収入を得られるよう、健康に気を付けてスキルを磨いていきたいですね。
親の介護のために、自分の貯蓄を使わない
アラフォーの女性が出産することで、クローズアップされているのが「ダブルケア」。ダブルケアとは、子育てと親や親族の介護が同時期に発生する状態のことです。
アラフォーの女性なら、親は60代後半あたりではないでしょうか。
介護が必要な人は、後期高齢者と言われる75歳前後から増えてきます。
アラフォーで出産した子どもに手がかかる時期に、親が介護状態になることで、ダブルケアが必要になる可能性があることを考えておきましょう。
ダブルケアになる可能性があるなら、以下の3点を確認しておきましょう。
まず、老後の親の希望を確認しましょう。
どんなケアを望んでいるのか、健康に不安が出てきてからでは聞きにくくなりがちなので、元気なうちから積極的に話題にしておくといいでしょう。
親の希望は、きょうだいや親族などとも共有しておきたいですね。付き添いなどのケアを誰が担うのかも大切ですが、もっと大切なのはお金のこと。お金のことは不公平感が出やすく、一度こじれると修復するには多くの時間と気苦労がかかります。早いうちに話し合っておくことが大切です。
次に、親の介護を親の資金でできるかを確認しましょう。
できるだけのことをしてあげたい気持ちもあると思いますが、自分の貯蓄を取り崩してしまっては、自分の老後資金が減り、ひいては子どもの負担を増やしてしまうことにもなります。
自分が老後を迎えても経済的な自立が維持できるよう、親の介護は親の資金でまかないましょう。
そして、ダブルケアになっても仕事が続けられるか確認しましょう。
親の介護がきっかけで離職する人がいます。やむを得ない場合もあるとは思いますが、その後の収入にも大きく影響しますので、できる限り仕事は続けるようにしたいものです。
いったん仕事をやめると復帰することは難しく、経済的に厳しくなるケースは少なくありません。会社員で厚生年金に加入していても、離職すればそれ以降は国民年金になり、自分の老齢年金が減ることにもなります。
まとめ
アラフォーで出産した場合の、貯蓄の注意点を3つ挙げました。
子どもの教育費、自分の老後資金、親の介護費用。どれも大切なお金ですが、優先順位をつけて、上手に準備をしていきましょう。
親子の出会いもひとつのご縁。いつまでも大切にはぐぐんでいくためにも、お金の不安は少しでも軽くしておきたいですね。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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