26/03/30
60歳・65歳以上で申請しないともらえない5つの給付金

会社を退職したときや再雇用されたとき、あるいは再就職をするときなどに、60歳や65歳以上がもらえる給付金があります。収入が安定しないときの生活を支えてくれる給付金ですが、多くは申請しないともらえないお金です。
そこで今回は、60歳や65歳以上で申請しないともらえない給付金を5つピックアップし、対象者や給付額、申請先をご紹介します。
申請しないともらえない給付金(1):高年齢雇用継続給付
まもなく年金生活に入る人たちの中には年金だけの生活に不安を感じ、長く働きたいと考える人も少なくありません。このような働く意欲のある60歳以上65歳未満の人を援助し雇用継続を促進するため「高年齢雇用継続給付」が設けられています。
高年齢雇用継続給付には「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があります。
●高年齢雇用継続基本給付金の対象者
高年齢雇用継続基本給付金は、雇用保険の基本手当を受給していない人を対象とした給付金で、以下のすべてを満たせば受給できます。
・雇用保険に5年以上加入していた60歳以上65歳未満の被保険者である
・雇用保険の基本手当や再就職手当を受給していない
・60歳時点の賃金と比較して、60歳からの賃金が60歳時点の75%未満になっている
●高年齢雇用継続基本給付金の給付額
2025年4月1日からは支給率が以下のように設定されています。
・賃金低下率が64%以下:各月に支払われた賃金の10%
・賃金低下率が64%以上75%未満:各月に支払われた賃金の0%~10%の間
・賃金低下率が75%以上:不支給
●高年齢雇用継続基本給付金の申請先
60歳で定年退職し、その後嘱託などで再雇用され、給与が減少した人は対象になる可能性があります。申請は会社の所在地を管轄するハローワークで事業主を通して行います。
●高年齢再就職給付金の対象者
高年齢再就職給付金は、雇用保険の受給中に再就職した人がもらえる給付金で、以下のすべてを満たす人が対象者になります。
・雇用保険の基本手当を受給して再就職している
・再就職後の賃金が基本手当日額を30倍した額の75%未満である
・雇用保険に5年以上加入していた60歳以上65歳未満の被保険者である
・再就職日の前日で基本手当の支給残日数が100日以上ある
・再就職先で1年以上雇用されることが確実である
・同じ就職で再就職手当を受給していない
●高年齢再就職給付金の給付額
再就職日の前日で基本手当の支給残日数が200日以上ある人は2年間、100日以上200日未満の人は1年間、以下の金額を受給できます。
・賃金低下率が64%以下:各月に支払われた賃金の10%
・賃金低下率が64%以上75%未満:各月に支払われた賃金の0%~10%の間
・賃金低下率が75%以上:不支給
●高年齢再就職給付金の申請先
高年齢再就職給付金は、再就職先の所在地を管轄するハローワークで事業主を通して申請します。
申請しないともらえない給付金(2):高年齢求職者給付金
高年齢求職者給付金は、65歳以上で離職して失業状態にある人で、その後も働く意欲のある人がもらえる給付金です。
●高年齢求職者給付金の対象者
高年齢求職者給付金は、以下のすべてを満たす人を対象としています。
・65歳以上で失業の状態にある
・離職日以前1年間に、雇用保険の加入期間が通算6ヵ月以上ある
退職後は家事に専念したり、事業を始めたりするなど就職する予定のない人はもらえないので注意しましょう。
●高年齢求職者給付金の給付額
高年齢求職者給付金では、雇用保険の加入期間に応じた日数分の基本手当日額をもらえます。
・1年未満:30日分
・1年以上:50日分
●高年齢求職者給付金の申請先
自身で住所地を管轄するハローワークへ申請します。
申請しないともらえない給付金(3):再就職手当
再就職手当は、雇用保険の基本手当を受給する資格を得た人に対し、早期の再就職を促進するために設けられた制度です。早期に就職した人や事業を始める人が対象となります。
●再就職手当の対象者
再就職手当は、以下のすべてを満たす人が対象になります。
・基本手当の受給手続き後、7日間の待期期間を満了後に就職または事業を始めた
・基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
・1年以上雇用されることが確実である
・過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していない
・離職前の事業主とは異なる会社に就職する
●再就職手当の給付額
給付額は以下で計算した金額になります。
○基本手当日額×所定給付日数の支給残日数×60%または70%
・所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残している場合:支給残日数の60%
・所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残している場合:支給残日数の70%
基本手当日額には上限額があります。2026年7月31日までの上限額は5310円です。
上限額は毎年8月1日に改定されます。
●再就職手当の申請先
再就職手当は自身で住所地を管轄するハローワークへ、就職日の翌日から1ヵ月以内に申請します。
申請しないともらえない給付金(4):年金生活者支援給付金
年金生活者支援給付金とは、公的年金やその他所得の合計額が一定金額以下の場合、生活を支援するために年金額に上乗せして支給される給付金です。
●老齢年金生活者支援給付金の対象者
中でも、65歳以上の人を対象としているのが「老齢年金生活者支援給付金」で、以下のすべてを満たしている人が対象者となります。
・65歳以上で老齢基礎年金の受給者である
・同一世帯の全員が住民税非課税である
・前年の公的年金の収入金額とその他所得の合計額が一定金額以下である
(2026年度の場合)
・昭和31年4月2日以後に生まれた人:80万9000円以下
・昭和31年3月31日以前に生まれた人:80万6700円以下
また、所得の逆転が生じないように、前年の公的年金の収入金額とその他所得の合計額が以下に該当する人には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
・昭和31年4月2日以後に生まれた人: 80万9000円超90万9000円以下
・昭和31年3月31日以前に生まれた人:80万6700円超90万6700円以下
●老齢年金生活者支援給付金の給付額
老齢年金生活者支援給付金の給付額は、以下の計算式(1)(2)で求めた金額の合計額となります。
(1)保険料納付済期間に基づく額:5620円×保険料納付済期間の月数 / 480月
(2)保険料免除期間に基づく額:2026年度の基準額×保険料免除期間の月数 / 480月
(本稿執筆時点(2026年3月19日時点)で保険料免除期間に基づく基準額が公表されていないため「2026年度の基準額」としました)
●老齢年金生活者支援給付金の申請先
老齢年金生活者支援給付金は自身で申請する必要があります。支給対象者には日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書」が届くので、必要事項を記入して返送するか、最寄りの年金事務所へ提出しましょう。すでに年金生活者支援給付金をもらっている人は新たな手続きは不要です。
申請しないともらえない給付金(5):加給年金
加給年金とは、65歳の時点で厚生年金に20年以上加入し、要件に該当する配偶者や子がいる場合、老齢厚生年金に加算されるものです。
●加給年金の対象者
加給年金は以下を満たす場合に対象となります。
・65歳の時点で厚生年金に20年以上加入している
・生計を維持する65歳未満の配偶者または子がいる
生計を維持する配偶者とは年収850万円未満(所得655.5万円未満)の配偶者のことで、子とは18歳になった年度の3月31日までの子ども(障害がある子の場合は20歳未満)のことです。
加給年金は、配偶者が65歳になり自身の老齢厚生年金の受給権を得た時点、子の場合は18歳になった年度の3月31日を迎えた(障害がある場合は20歳になった)時点で支給停止となります。
●加給年金の給付額(2025年4月~)
〇配偶者の場合:23万9300円+特別加算額17万6600円=41万5900円
〇子の場合:<>r/b
・1、2人目;1人につき23万9300円
・3人目以降:1人につき7万9800円
●加給年金の申請先
加給年金は申請が必要です。65歳になる3ヵ月前に日本年金機構から年金請求書が届きます。その中にある「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」に必要事項を記入し必要書類を添えて、年金請求書とともに最寄りの年金事務所へ提出します。
自分が対象者になるときは忘れず申請しよう
60歳になったとき、あるいは65歳になったときに、今回ご紹介した給付金の対象者になる可能性があります。特に会社を退職するときや再雇用されるときは、ご紹介した給付金がもらえるか確認することをおすすめします。
ご紹介した給付金は、退職などで収入が減ったときに生活費を補てんしてくれるお金になります。自身が受給対象者になるときは、忘れずに申請手続きをしましょう。
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前佛 朋子 ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
2006年よりライターとして活動。節約関連のメルマガ執筆を担当した際、お金の使い方を整える大切さに気付き、ファイナンシャル・プランナーとなる。マネー関連記事を執筆するかたわら、不安を安心に変えるサポートを行うため、家計見直し、お金の整理、ライフプラン、遠距離介護などの相談を受けている。
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