21/06/21
年収が2倍になっても満足度は2倍にならない? もっとも満足度が高い年収が内閣府の調査で明らかに
お金さえあれば満たされるはず。もっと稼げれば幸せになれるのに…!
多くの方がそのような思いを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
確かにお金があれば物理的には満たされるはずなのですが、満足度といった観点では必ずしもそうとは言えないようです。今回は、満足度の高い生き方について考えていきましょう。
年収は上がりすぎると満足度が下がる?
内閣府「満足度・生活の質に関する調査」では、年収と満足度の関係を調査。自分の年収に満足しているかを採点してもらい、それを年収別に集計しています。その結果が、次のグラフです。
●世帯年収別の家計と資産満足度
内閣府「「満足度・生活の質に関する調査」に関する第4次報告書(2020年調査)」より筆者作成
確かに世帯年収に比例し、満足度も上昇していくのですが、年収2000万円から伸び率は鈍化。世帯年収3000万円~5000万円にピークを迎えるとそれ以上は逆に下落していきます。驚くことに、世帯年収1億円以上の人の満足度は700万円~1000万円の人より下。年収が2倍になっても満足度は2倍にならないうえ、上がりすぎてしまうとむしろ満足度が薄れてしまう傾向にあるのです。
ライフワークバランスが満足度に与える影響
満足度は、年収だけで決まるものではありません。
仕事が充実していても、十分な給与をもらっていたとしても、ライフワークバランスは生活の満足度においてとても重要です。そこで、労働時間と生活の満足度の関係を確認してみましょう。
●労働時間別の仕事と生活の満足度(就業者全体(学生を除く))
内閣府「「満足度・生活の質に関する調査」に関する第4次報告書(2020年調査)」より筆者作成
基本的には仕事時間が短い方が満足度は高くなっていますが、7時間~9時間までは5.35と比較的高水準となっています。しかしそれを超えると満足度は一気に下落。長時間労働は生活の満足度を大きく蝕む要因の一つと言えるでしょう。
もっとも、実際の労働時間だけでなく、本人が労働時間をどう感じているかでも満足度は変わってきます。自身の労働時間を「ちょうどよい」と捉えている人の満足度は高く、「長い」「短い」と感じている人の満足度は低くなっています。
●自身の労働時間の感じ方と仕事と生活の満足度
内閣府「「満足度・生活の質に関する調査」に関する第4次報告書(2020年調査)」より筆者作成
長ければ長いで生活が仕事ばかりになって大変ですし、短ければ今度は十分な所得が得られなかったり、働きがいがなかったりする、ということを表しているのでしょう。
どれくらいの時間を「ちょうどよい」と感じるのかについては勿論個人差があります。同調査によれば、やはり労働時間9時間を超えると半数以上の人が長いと感じるようです。
●1日の平均的な労働時間とその評価(働きたい時間との比較)
内閣府「満足度・生活の質に関する調査」に関する第4次報告書(2020年調査)」より抜粋
持ち家と借家、満足度が高いのは?
長い間議論となっている持ち家VS借家。「やはり自分の城を持ちたい」と持ち家を推す人がいる一方で、「気軽に住み替えられる」と借家を推す人も意外と多いもの。特に筆者の周りは転勤族が多いため、所有のリスクを考え、転勤ごとに住み替えることをオススメする人も多くいます。
では持ち家と借家で、満足度が高いのはどちらなのでしょうか。
●持ち家VS借家 満足度が高いのは?
内閣府「「満足度・生活の質に関する調査」に関する第4次報告書(2020年調査)」より筆者作成
データを見れば借家に大差をつけ、持ち家の満足度が高いことがわかります。
住み替え前提の借家にはどこでも無難に合うデザインやサイズの家具を選びがちですが、持ち家は長期で住むことが前提なので、その部屋に合ったものを配置することができます。
また、オーナーに気を遣い、諸々制限される借家と違い、持ち家には自由度があります。壁に穴をあけて何かを取り付けるも、床をカスタマイズするも自由。自分仕様にすることができるので、物件自体のクオリティは同じだとしても、満足度が上がるのではないでしょうか。
お家時間が圧倒的に増えたコロナ禍では、特にその傾向にあったと考えられます。
満足度が高い幸せな生き方とは…
人により最適な暮らしは様々ですが、満足度のデータを基にして述べれば、世帯年収2000万程度を目指し、夫婦で支え合いながら7時間~9時間ほど働き、自分たちの希望の詰まった家を構える生活が理想と言えそうです。
とはいえ、中には「できるだけ働きたくない」「もっと自分の時間を自分のために使えたら満足度が高まるはず」と思われる方もいるでしょう。
働きすぎれば疲れる、休みすぎれば物足りない、お金がなくては困るけど、稼ぎすぎてもなんだか満たされない…。近年、投資で得た不労所得で生活することで早期退職を目指すFIRE(Financial Independence, Retire Early、経済的自立と早期リタイア)というライフスタイルが米国の若者を中心に流行っているのも理解はできます。
しかし、個人的には働き盛りの30代~40代に退職してしまうのはもったいないのでは…という気がしてしまうのです。たしかに、多忙な現状からするとそうした暮らしは物珍しく、魅力的にうつるでしょう。しかし、それが日常となれば、味気なく飽きてしまう可能性もあると思います。それに、働くことを通じて得られるものはお金だけではなく、知識・技能・スキル・人間関係など、たくさんあります。さまざまな経験をすることによって、日常が豊かになり、満足度も上がっていくのではないでしょうか。
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城山ちょこ ライター
東京海上日動火災保険出身。慶応大学院SDM研究科修了。
2013年よりライターの道へ。執筆ジャンルは金融(保険)、働き方、子育て、結婚など女性のライフスタイル全般。2児の子育てと仕事の両立に日々奮闘中。丁寧でわかりやすい記事をモットーとしています!
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