21/01/29
児童手当、男性の産休、育児休業…子育て関連の制度改正まとめ
世の中が目まぐるしく変わるなか、子育てを取り巻く環境も変わってきています。今回は、児童手当、男性の産休、育児介護休業といった、子育てにも大きく影響が出て気になる、子育て関連の制度改正について紹介します。
児童手当、年収1200万円以上は廃止へ
児童手当は、中学生以下の子どもを育てている人が受け取れる手当です。育児には何かとお金がかかるものです。それをサポートするために支払われています。
児童手当は現状、3歳まで月1万5000円、3歳以降小学校卒業まで月1万円(第3子以降は月1万5000円)、中学卒業まで月1万円が給付されています。ただし、これには所得制限があり、養育者の年収が目安で960万円以上になると、「特例給付」として一律月5000円(誕生から中学卒業まで)の給付となります(所得制限がかかる金額は、扶養親族の数によって異なります)。児童手当は、毎年6月(2月~5月分)、10月(6月~9月分)、2月(10月~1月分)に4カ月分がまとめて支払われます。
夫婦どちらかの年収が1200万円以上の世帯への「特例給付」は2022年10月支給分から廃止されることになりました。なお、この年収制限に「夫婦合算世帯年収1200万円以上は廃止」にする案も浮上しましたが、それは見送られました。
年収1200万円といえば、全体的にみればかなりの高給とりでますが、それでも1人あたり年6万円の手当が打ち切られるのですから、負担増は痛手でしょう。
出産前後の女性の負担をサポート 男性の産休が創設か
女性の2019年度育児休業取得率は83%に対し男性は7.5%にとどまっています(厚生労働省「令和元年度雇用均等基本調査」)。これを是正するため、男性は最大4回育児休業の取得が可能になるような見直し案が2020年12月に厚生労働省から出されました。
2021年の通常国会に法律の改正案を提出することにしています。
具体的には、出産後8週間以内に4週間の休みを2回に分けて取得できるようにして最大4回に分けて休みをとれるようにすること、育休の申請期限は原則2週間まで(現在1か月前)に短縮することが盛り込まれています。出産前後は女性の負担が大きいため、そのフォローができるようにと考えられています。
筆者は育児休業中、「自宅でゆっくり休んでいるんだからこれくらいのことはやっておけ」と家事を言いつけられた経験があります。男性が育児のため休むことはまだ難しい社会かもしれません。しかしこのような法整備が進むことで、社会全体に「男性が育児に関わることが当たり前」という考えが広がればいいなと思っています。
育児・介護休業法の施行で時間単位の休暇がとれるように
2020年12月31日まで、「子の看護休暇」「介護休暇」のための休暇は半日単位での取得が可能でした。ただし、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得不可となっていました。
2021年1月1日から「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」が施行されたことで、この休暇をすべての労働者が取得できるようになりました。さらに「子の看護休暇」「介護休暇」が時間単位で取得できるようになりました。
これまで、「数時間子どもの参観日や学校の面談の時間をとりたい」「親の病院に数時間だけ付き添いたい」という場合でも半日単位で休暇を取得する必要がありました。しかし、これからは時間単位で休めるようになるということです。
保育園、幼稚園、小学校、中学校と子どもの年齢により通っている場所が異なると行事日程が分散されてしまうため、子どもが多い場合には休暇が不足するケースもありました。しかしこのように時間単位で休暇を取得できれば、そうしたケースにも対応しやすくなりそうです。
まとめ
児童手当の削減は大きな問題ですね。多くの人は、児童手当に手をつけずそのまま貯めていくと約200万円になり教育費のピークである大学入学に備えることができます。しかし、高年収だからとはいえ、それができないとなると、自助努力で大学入学に備えることが必要になります。
また、子育てに関して男性も積極的に参加できるような(このような言い方はしたくありませんが)社会になるよう、少しずつ変わってきています。少子化が進む中、社会全体がもっと子育てをサポートするように変わっていくといいと思います。
【関連記事もチェック】
・児童手当・扶養控除は子供が早生まれだと10万円超も損!
・育児休業給付金の引き上げで給料の8割がもらえる!? 育休を夫婦で賢く取る方法は
・育休中に産休取得は可能? 弁護士に聞いてみた
・育休明け時短勤務者、手取りが少ないのは社会保険と年金の手続き漏れの可能性大
・銀行で子ども名義の通帳を作ると3つのお得あり!
稲村 優貴子 ファイナンシャルプランナー(CFP︎︎®︎)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう