20/11/23
GoToキャンペーンは課税対象!「錬金術師」が納める税金額は意外と多い
新型コロナウィルスの感染拡大防止の影響を受け、旅行業界や飲食業界は大きな打撃を受けています。それらの経済的な落ち込みの対策として、GoToキャンペーンが始まりました。
GoToを利用して旅行や外食をすると、業界の応援をしつつ自分もおトクになるということもあり利用者が増えましたが、実はGoToキャンペーンで受け取った給付金は課税対象です。
では、GoToキャンペーンを使い倒す噂の錬金術師たちは、いくらの税金を納めることになるのでしょうか。
GoToキャンペーンとは?
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、2020年4月に緊急事態宣言が出されたことは記憶に新しいことです。ステイホームの合言葉で、仕事は在宅、旅行・外食は自粛、買物は食品などの生活必需品のみという生活を余儀なくされましたが、緊急事態宣言が解除されてからも観光地や飲食店に客足はなかなか戻りませんでした。
そこで注目されたのがGoToキャンペーン。なかでも、個人が利用できるのが、「GoToトラベル」と「GoToイート」です。
●GoToトラベル
GoToトラベルは、キャンペーンに参加する旅行会社や旅行予約サイトなどを通じて予約した国内旅行に対して、宿泊・旅行代金の半額相当が支援されるキャンペーンです。
支援額の上限は、1人1泊あたり2万円、日帰りは1万円。そのうち70%は旅行代金から差し引かれ、残りの30%は買物に使えるクーポンがもらえます。クーポンは旅行先の飲食店・観光施設・土産物店などで使えます。
●GoToイート
GoToイートは、オンラインサイトを通じて予約・来店した場合に、次回以降使えるポイントを昼食で500円分、夕食で1000円分もらえる、というものです。
または、自治体で発行するプレミアム付き食事券を購入する方法もあります。プレミアムは25%で、たとえば8000円で1万円分の食事券が買えるということです。ただし、1回の購入は2万円=2万5000円の食事券が上限です。
GoToキャンペーンは一時所得
これらのキャンペーンを利用すれば、おトクな上に、旅行業界や飲食業界の応援ができるので、大変注目を集めました。
しかし、キャンペーンでの割引や、現金同様に使えるポイントの付与が課税対象であるとことは意外と知られていないようです。
たとえば、GoToトラベルを利用して1泊4万円のパック旅行に申し込むと、1泊につき2万円の支援が受けられますが、この2万円は一時所得の扱いになります。
同様に、GoToイートの場合、オンラインサイト経由で予約した飲食店を夕食時間帯に利用すると、1000円分のポイントがもらえますが、この1000円も一時所得です。
とは言え、一般的な利用であれば、ほとんどのケースで税金はかからないと言っていいでしょう。
なぜなら、一時所得には50万円の特別控除があるので、一時所得が50万円を超えなければ税金はかからないからです。
一時所得は、次のように計算されます。
一時所得=収入金額-経費-特別控除50万円
この一時所得の2分の1が、そのほかの所得(給与所得や不動産所得など)と合算されて税金がかかる仕組みになっています。
GoToトラベルを1回利用して2万円の支援を受け、GoToイートのオンライン予約を5回利用して1000円×5回=5000円分のポイントをもらった場合の計算をしてみましょう。
キャンペーン利用のための経費は特にないので0円とします。
(2万円+5000円)-0円-50万円=-47万5000円
このように、一時所得はマイナスなので課税はされないということがわかります。
錬金術師が払う税金は?
しかし、最近話題のGoToイートの錬金術師たちは50万円以上使っているかもしれません。
錬金術とは、どのようなものなのでしょうか。
●トリキの錬金術
GoToイートで鳥貴族に来店して1串だけ食べれば300円程度の支出ですが、ポイントは1000円付与されるので儲かる、という術です。
●無限くら寿司
同様に、GoToイートで来店して1皿だけ食べて1000円分のポイントを得るという術です。
なかには1皿どころか調味料だけの利用で帰った猛者もいるとか。これでは、ほんの少額の支出で半永久的に飲食ができてしまう、ということが問題になり、付与されるポイント以上の飲食が必要という措置が取られるようになりました。
しかし、儲かるところには税金がかかるものです。
具体例で考えてみましょう。
●GoToトラベル
家族4人で4泊5日の旅行を2回
4人×(2万円×4泊)×2回=64万円
●GoToイート
家族4人で昼食を50回、夕食を50回
4人×((500円×60回)+(1000円×60回))=36万円
GoToのトラベルとイートの合計で100万円、おトクになっています。
64万円+36万円=100万円
すると、一時所得は50万円です。
100万円-特別控除50万円=50万円
税金がかかるのは、一時所得の2分の1なので25万円に課税されます。
50万円÷2=25万円
所得税率が20%であれば、所得税は5万円かかります。
25万円×20%=5万円
所得があれば住民税が10%かかります。
25万円×10%=2万5000円
合計で7万5000円の税金がかかることがわかりました。
所得になることがわかれば、確定申告をして納税をする必要があります。
少々極端な例ではありますが、他に一時所得があった場合は、その金額との合算になりますので、50万円を超えるケースも出てくるかもしれません。
まとめ
GoToキャンペーンは、今後もGoToイベント、GoTo商店街が予定されていますが、おトクだからと言って、極端な利用は禁物ですね。
GoToトラベル・GoToイートのキャンペーンは、旅行・観光業界や、飲食業界を応援することが本来の目的です。
自分だけのおトクを考えるのではなく、お金を上手に使うことが社会全体の経済活性化のポイントになるのではないでしょうか。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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