20/02/29
2000万円の退職金、月10万円ずつ取り崩すと16年で枯渇。運用しながらだと何年になるのか
老後2000万円問題が報じられてから、リタイアするまでに2000万円は確保したいと考える人が増えています。では、退職金が2000万円もらえたとしたら、あとは使うだけでいいのでしょうか。
お金は、何にでも使えるのはいいのですが、使えばなくなってしまいます。そこで今回は、お金を使ってもなくなるまでの時間を延ばす、オトクな方法についてお伝えします。
退職金2000万円、毎月10万円ずつ使うと17年もたない
老後資金の大きな柱は公的年金です。2020年1月に厚生労働省が発表した年金額改定によると、平均的な夫婦が受取る厚生年金額は、2人で月額22万724円とのことです。
それに対して、必要な生活費は月26万4707円との調査結果が出ています(高齢夫婦無職世帯の家計収支)。
つまり、公的年金だけでは、毎月約4万4000円の赤字になってしまいます。
しかも、夫婦で約26万円の生活費というは、持ち家が前提で必要最小限の暮らしをイメージしています。旅行に行ったり、友達と食事を楽しんだりするなら、それなりに出費もかさみます。
それらの支出も含めて毎月10万円ずつ退職金を取り崩す計画にすると、
2000万円÷10万円=200カ月
200カ月÷12=16あまり8(16年8カ月)
計算してみると、16年8カ月しかもたないという結果に。
退職金を60歳から使い始めたら、70歳台半ばで底をついてしまうということです。
2000万円という大金でも、意外とすぐになくなってしまうのですね。
退職金2000万円、2%の運用をしながら使ったら何年もつ?
しかし、運用して増やしながら取り崩したらどうでしょうか。
これは、「資本回収係数」を用いてかんたんに計算することができます。資本回収係数は、金融資産を長期にわたって取り崩すときなどの試算に用いる係数です。
退職金が2000万円あり、20年間にわたって2%の1年複利で運用しながら取り崩したときに、毎年いくら受け取れるかを計算する場合には、次のようにします。
2000万円×0.06116=122万3200円
1カ月あたりにすると約10万2000円。2%で運用しながら取り崩すなら、10万円ずつ使っても20年はもつということがわかりました。
では、退職金を30年は使いたいなら何%で運用すればいいのでしょうか。
これもまた、資本回収係数を使って計算します。
退職金2000万円を5%の1年複利で運用しながら30年取り崩すと、
2000万円×0.06505=130万1000円
これで、1カ月あたり約10万8000円になります。
つまり、5%で運用できれば、30年間資金が底をつかずに使い続けられるというわけです。
退職金の運用先にオススメできる投資先
それなら、5%と言わず8%や10%の運用益を狙ったら、もっと長期間使えるし1回の取り崩し金額も増やすことができる、と考えてしまいそうですが、それは大変ハイリスクな方法です。
大きなリターンを狙うには、その分のリスクも引き受ける必要があるからです。
現在、日本では低金利が続いていて、元本保証の定番である定期預金では0.01%の金利しかつきません(大手都市銀行、2020年2月現在)。
そのため、退職金でまとまった資金を得たシニア世代に向けて、さまざまな金融商品が出ていますが、リターンだけではなくリスクについてもしっかり理解した上で利用することが重要です。
退職金は老後を支える大切な資金。リスクは抑えて堅実な運用をしたいところです。年利2%前後であれば、リターンとリスクのバランスがとれると考えられます。
投資先は複数に分ける、分散投資がオススメ。1つの投資先で損が出たとしても、他でリカバリーができるので、トータルで2%の運用を目指せます。
具体的には、証券会社などで扱っている投資信託が利用しやすいのではないでしょうか。
インデックス型といって、経済市場の指標(日経225やTOPIXなど)と連動する運用を目指す投資信託なら、手数料なども安く抑えられていて利益が出しやすくなっています。
そのかわり、大きなリターンを望むのは難しいです。60歳を過ぎてもマイペースで働き、安定した収入を得ることも積極的に考えて、総合的に老後資金の計画をするといいでしょう。
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● SBI証券
・ほとんどの投資信託を網羅。有力商品を選びやすい
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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