19/11/27
金利0%時代の住宅ローン 組むときの3つの注意点
この数年、低い金利の住宅ローンが珍しくなくなってきました。中には1%を切るものもあるほどです。住宅ローンの返済額も現在借りている賃貸物件の家賃とあまり変わらないということで、住宅購入に踏み切る人もいるでしょう。
確かに金利が低いことはありがたいのですが、だからといって何の考えもなく組んでしまうのはNG。今回は、住宅ローンを組むときの注意点を確認してみましょう。
住宅ローン金利0%時代の到来
住宅ローンの金利が一段と低下してきました。金利が1%を切る住宅ローンは、かつては変動金利や一部期間固定のもの(当初10年など)が主流でした。しかし今は、自己資金が10~20%以上ある場合には、長期固定金利のものにも出てきています。
「当初10年は住宅ローン金利が実質0%」ということもありえる、というと驚く方もいらっしゃるでしょう。そのカラクリは、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)にあります。これは、住宅ローンを使ってマイホームを購入する場合、一定の要件を満たすと年末のローン残高の1%相当が10年間にわたって税額控除される仕組みです。
つまり、金利1%未満で住宅ローンを組めば、支払う利息よりも住宅ローン控除で控除される金額のほうが大きくなる、ということです。利息を払っても、手元にはお金が入ってくる状況が生まれているのです。
消費増税の影響を減らす支援策もたくさん
2019年10月から消費税率が10%へ引き上げになったことにともない、住宅取得にはさまざまな支援策が打ち出されています。たとえば、以下のようなものがあります。
●住宅ローン控除が3年延長
従来までの制度では、住宅ローンを利用して住宅を購入すると、年末のローン残高の1%(一般住宅の場合、最大40万円)が10年間にわたり税額控除されていました。消費税率が10%になってから住宅を取得し、2019年10月から2020年末までに居住した場合には、この控除の期間が13年に伸びます。
控除期間が延長された11~13年目には
① 年末ローン残高の1%
② 建物価格の2%を3等分した額
の、いずれか小さいほうが控除されることになります。
●すまい給付金の給付額・年収の目安が引き上げ
住宅購入後に受け取ることができる「すまい給付金」も拡充されました。従来給付が受けられる年収の目安の上限が510万円から775万円に引き上げられ、給付額の上限が30万円から50万円に上がりました。
このすまい給付金の年収は目安なので、家族構成によって異なります。きちんとした金額を知りたい場合には、国土交通省の「すまい給付金」のサイトでシミュレーションすることもできます。なお、すまい給付金は2021年12月31日までに引き渡し・入居した住宅が対象です。
●住宅取得資金の贈与の非課税枠が増額
住宅取得資金の贈与の非課税は、父母や祖父母が子や孫に住宅購入資金を贈与する場合に、贈与税を一定額非課税にする制度です。
非課税枠は、消費税が8%のときには最高1200万円でしたが、10%になってからは3000万円まで増えました。特例を利用して税額がゼロの場合でも申告が必要です。なお、特例の適用は2021年12月31日までです。
住宅ローンを組むときの3つの注意点
ここまでご紹介したとおり、今は住宅ローンの金利がとても低く、各種制度の拡充もあるのですから、住宅ローンを組みやすい時期だといえるでしょう。
とはいえ、以下の3つの注意点については、ぜひ押さえておきましょう。
●住宅ローンを組むときの注意点:①収入に合わないような高額なローンを組まない
まずは、収入が変化しても無理のないローン金額がどうかを考えましょう。
金利が低いからといって高額なローンを組んでしまうと、将来収入が減った場合に減税額が減ったうえに、返済の負担が増すことになります。
若い夫婦の場合には出産や育児で休業したり、50代ともなれば役職定年や親の介護が重なったりします。そういったときにも無理なく返済できるような金額にとどめておくのが基本です。
●住宅ローンを組むときの注意点:②教育費も想定しておく
子どもがいる場合には、将来の教育費の支出も想定しましょう。幼保無償化で小学校入学前の負担は減りましたが、それでも教育費は何かとかかるものです。私立中学・高校に子どもが通うことになって住宅ローンが払えなくなったという話もよく聞きます。
ですから、塾やおけいこごとを含めた現在の教育費と、大学進学に備えた教育資金に無理がないかを確認したうえで、住宅ローンの借入金額を決めることが大切です。
●住宅ローンを組むときの注意点:③夫婦でローンを借りる場合は金融機関によく確認する
1人では望みの金額を借りられない、あるいは借りるのが大変という場合には、住宅ローンを夫婦で借りることもできます。夫婦で別々に住宅ローンを借りる「ペアローン」や、たとえば夫が主債務者の場合に妻が連帯債務者になる「連帯債務」、妻が連帯保証人になる「連帯保証」などの方法があります。これらの方法を利用すると、一般的に1人で借りるよりは借入金額を増やすことができるので、検討してみるのはいいと思います。
ただし、どの方法を利用するかで住宅ローン減税の適用や事務手数料、夫婦どちらかが亡くなったときの対応などが変わってきます。金融機関によく確認し、これらのことを考慮に入れてローンの組み方を検討しましょう。
まとめ
住宅購入は一度でも、住宅ローンの支払いは長期間にわたります。そして毎月支払っていくものですから、いくら住宅ローンの金利が低いからといっても、無理な返済計画を組むのは危険。急な出費があると家計の収支バランスが崩れてしまいます。
無理なく毎月の住宅ローンの返済ができるか、考えてみてください。
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池田 幸代 株式会社ブリエ 代表取締役 本気の家計プロ®
証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不動産賃貸業経営。「お客様の夢と希望とともに」をキャッチフレーズに2016年に会社設立。福岡を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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