19/10/16
消費税増税 自動車や家の還元は? 減税の中身をチェック
2019年10月の消費税増税。お酒や外食を除く飲食料品と、定期購読する新聞以外は、消費税が10%になりました。私たち消費者の出費もそれに合わせて増えています。
もちろん、車や家といった高価なものの消費税も10%になりました。大きな買い物だけに、消費税も数万円、数十万円単位で増えてしまいます。負担が大きくなってしまいますね。
この負担を軽減し、消費の冷え込みを防ぐための減税制度が行われています。どんなものか、確認してみましょう。
車を買うときの税金:環境性能割の導入・自動車税の割引
これまで車を買うことでかかっていた税金には、消費税の他に自動車取得税と自動車税があります。それが2019年10月からは、以下のように変わりました。
①自動車取得税は廃止
自動車取得税は、車を購入する際にかかる税金です。これまで自家用の普通自動車(登録車)の場合は取得価額の3%、軽自動車の場合は取得価額の2%を自動車取得税として支払っていました。
この自動車取得税は2019年10月、消費税が上がるタイミングで廃止されました。
②環境性能割が新設
自動車取得税の代わりに登場したのが環境性能割です。こちらも車を購入するときにかかる税金なのですが、税率は0%~3%。燃費基準達成度が高い車の場合は非課税となり、税金がかからないこともあります。つまり、環境にやさしい車ほど税率が低く設定されているのです。
さらに、2019年10月1日~2020年9月30日に車を購入する場合に限り、税率が1%安くなります。
新車だけでなく、中古の車も対象となりますが、車の取得価額が50万円以下の場合は免税となり、税金負担はありません。
詳しくは、店舗の担当者に聞いてみましょう。
③自動車税は割引
自動車税は、車を持っていると毎年かかる税金です。
2019年10月以降に購入したすべての新車を対象に、自動車税が減税となります。
減税額は、排気量が少ないほど多くなり、排気量が多くなると段階的に減っていきます。
たとえば、排気量が1000cc以下の乗用車の自動車税は2万9500円が2万5000円と、4500円安くなります。
なお、軽自動車は減税の対象ではありません。
これらを表でまとめると、次のように変わったことになります。
●車にかかる税金のまとめ
乗用車の場合、環境性能割が1%までに抑えられれば、増税前より税金が安くなることになります。その他の場合は、税金は同じか高くなりますが、少しでも減税を受けることができれば、単純に2%増加するよりは負担は少なくなる、とはいえるでしょう。
家を買うときの税金:住宅ローン減税・すまい給付金の拡充
家を買うときに住宅ローンを借りると、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)が受けられるほか、条件を満たせばすまい給付金が受け取れます。消費税の増税後は、これらの制度が拡充しました。
①住宅ローン減税は期間延長
住宅ローン減税とは、マイホームを住宅ローンで購入する場合に税金負担を軽くできる制度です。
2019年9月までは、住宅ローンの残高に1%をかけた金額が10年間減税されました。ただし、マイホームの取得価額が住宅ローンより少ない場合は、マイホーム取得価額に1%をかけた金額になります。
2019年10月からは、減税される期間が3年延長され、13年間となります。ただし、延長された3年間の減税金額は、消費税増税分のみとなっています。消費税増税分のお金が戻ってくるまで13年待つことを考えると、おトクとは言い難いかもしれません。
②すまい給付金の拡充
すまい給付金は、収入が一定以下の方がマイホームを購入する機会を増やすことを目的とした制度です。
すまい給付金は、2021年12月までに入居した方が対象で、
・収入が775万円以下
・住宅ローンを利用している
・マイホームの床面積が50㎡以上
・第三者機関の検査を受けた住宅である
などといった要件を満たす場合に受けられます。
以下は、消費税8%のときと比較した表です
●すまい給付金の給付額と収入の条件の比較
消費税8%のとき、給付額は最大でも30万円、収入額の目安も510万円以下まででした。それが消費税10%になってからは、給付額は最大50万円になりましたし、収入額の目安も775万円以下までと拡大しています。
マイホームの金額が1500万円以下で収入額が600万円以下だと消費税増税分より給付額が増える場合が多いようです。事前にシミュレーションしてみるとよいでしょう。
まとめ
消費税が増税となり、ますます家計の負担が増えるかと思いきや、車や家の購入には消費税増税の負担を考慮した対応が用意されているようです。車や家は大きな買い物です。活用できる制度があるか、事前にきちんと調べておくとよいと思います。
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山田 香織 中小企業診断士、 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
FP歴10年。会計事務所で11年間、経営・税務相談業務を経験した後、FP事務所を開業。
個人から中小企業者まで経営に関する相談実績がある。現在は、会計・税務の経験を活かして、家計・経営相談を受ける。執筆活動も積極的に行う。
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