19/02/27
ファイナンシャルプランナー(FP)がイマ新社会人になったら、給料はどのように貯め増やす?
世間ではよく、「若い頃に戻りたい」なんて言いますが、筆者は年齢を重ねるごとに自信をつけて、表面上も内面も美しくなっていくという考え方に賛成です。しかし唯一、「戻れるものなら戻りたい」と思う事があります。
それは、お金の使い方。
今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)である筆者が、もし新社会人の年齢に戻ったなら給料の使い方をどうしていたか、半ば筆者の後悔を含めてお話しましょう。
初任給平均は約20万円、支出平均は16万円
家計における現代の、支出の調査結果を見てみましょう。2018年調査において、日本の単身世帯(サンプル数680世帯)の支出状況は、以下のとおりです。
画像:総務省統計局 家計調査家計支出編2018年より
世代別ではないので、項目ごとに実態とかけ離れている気がするところもあります。例えば住居にかかる支出が毎月22,645円というのは、実家暮らしなどで家賃負担のない人を含めた金額になっていて、実質支払い者は全体の36.6%です。その支出を全体で割っているので、家賃の支払いがある人は、実際にはおおよそ3倍の費用が掛かっていると計算してよいでしょう。
上記の部分を考慮すると、平均月あたりの支出額は、15万~20万円といったところでしょうか。
支出に対して収入ですが、厚生労働省の調査によると、2018年の初任給平均は20万7000円でした。ここから社会保険料などを差し引くと、18万円ほどになるので、支出との相殺で残るとしても2-3万円。まったく手元に残らないというケースも大いに考えられます。
ガマンや無理は続かない、目の前の数字を意識しよう
手元に残らないのに、貯蓄をしろといわれても正直無理な話です。倹約に勤しんで、毎月の預金通帳に1万円でも残るようにするのは、案外至難の業です。なぜなら、人は無理が続かないからです。
無理をせずに支出を削減する方法として、「強制」があります。定期預金や別口座などに、給料日に入ってきたお金をそのまま移してしまうのです。もちろんその口座のATMカードなどは持ち歩きません。後日娯楽費用を引き出そうと思っても、無いものは引き出せませんから、自然と普段からある程度「危機感」を持ってお金の使い方を考える事になるでしょう。
筆者は今でこそ、毎月収入の20%を運用にまわせていますが、お金の管理にルーズな時期もありました。そんな時期を振り返ってみれば、「現実」を数字で把握する事を避けていたように思えます。
本来は手取り収入の20%を、貯蓄や運用にまわせるようにしたいところですが、20%が無理であれば10%でも構いません。いくらにするにしても、自分は手取りの何%を貯蓄に回せているのか、数字で自覚する事が大切です。
できているときも、できていないときも、現実をしっかり見て、今後自分はどうしたいのか謙虚に考えたときから行動に移す事ができます。
予備資金を貯めた後は、積み立て運用をはじめよう
毎月数万円でも貯蓄ができるのであれば、計画を立てましょう。
まず緊急予備資金として、毎月の支出額×6ヶ月分を、いつでも引き出しのできる「預貯金」で準備します。毎月15万円の支出であれば、90万円が準備するお金になります。
予備資金が準備できたら、積み立て運用を始めましょう。「資産運用」というと大きな金額が必要になると思うかもしれませんが、そんな事はありません。毎月1万円でも投資信託などを購入していけば、りっぱな資産運用になります。
新社会人のみなさんにはこれから40年以上働いて収入を得る「時間」があります。この時間を大いに活用できるのが積み立て投資術です。
リスクを積極的にとるか、堅実にいくかで多少変わりますが、たとえば以下のようなものを毎月購入していくようにします。
【堅実タイプ】
日経225などの分かりやすい指数をターゲットにしたインデックスファンド(投資信託)を毎月購入。
【積極的タイプ】
世界株式をターゲットにしたアクティブファンド(投資信託)を毎月購入。他に余裕があれば、日本や米国の株式市場で、気になる株式をるいとう口で積み立て購入。
日中仕事では、先輩に習うことがたくさんあり、取引先との緊張感など、気持ちに余裕が持てない時期もあるでしょう。そんな中でもお金に関しては計画的に、できることを堅実に積み上げていく「根気」を、意識してください。
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佐々木 愛子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種
国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中心に500世帯以上と契約を結ぶ。FPとして10代のうちから金融、経済について学ぶ大切さを訴え活動中。
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