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25/01/15

相続・税金・年金

【知らないと損】50万円、158万円、211万円、277万円…「年金版・年収の壁」

【知らないと損】50万円、158万円、211万円、277万円…「年金版・年収の壁」

2024年話題となった「年収の壁」。働き盛りの現役世代において、年収がいくらになると税金や社会保険料が発生するのか、そしてその壁の引き上げや適用範囲の拡大をめぐる議論に注目が集まっています。そして、税金や社会保険料がかかるのは、老齢年金をもらいながら生活を送る高齢者も同じです。そこで今回は、税金や社会保険料も含めた年金受給者ならではの「年収(年金額)の壁」について解説します。

年金版・年収の壁(1):【50万円】在職老齢年金による支給停止

在職老齢年金とは、加給年金を除く老齢厚生年金(報酬比例部分)と月額給与(1ヶ月あたりの賞与額を含む)の合計額が月50万円(2024年度)の基準額を超えている場合に、老齢厚生年金の一部または全額の支給を停止する仕組みです。

「月額給与:50万円+老齢厚生年金:月10万円」の例では、基準額を上回る10万円のうち2分の1に相当する5万円が支給停止となります。
なお、在職老齢年金はあくまで厚生年金における支給調整の仕組みです。1階の基礎年金部分は、本来の年金額に基づいて支給されるので安心してください。

<在職老齢年金による調整後の老齢厚生年金月額(赤枠が調整対象)>

筆者作成

「働き損」という言葉も飛び交うなど、さまざまな問題点が指摘されてきた在職老齢年金制度。2025年に予定される年金制度改正では、62万円や71万円に引き上げる案が政府与党から示される模様です。また、税金の面からは、給与所得控除と公的年金等控除の合計額に上限(280万円)を設ける案が示されるなど、今後の動きから目が離せません。

年金版・年収の壁(2):【108万円・158万円】所得税の発生

年金収入のみで生計を立てている人は、年金収入がいくらになると所得税(復興特別所得税を含む)がかかるか気になるところでしょう。

年金収入に所得税が発生して源泉徴収が行われるのは、65歳未満は108万円(公的年金等控除:60万円+基礎控除48万円)、65歳以上は158万円(公的年金等控除:110万円+基礎控除:48万円)を超えてからです。108万円・158万円を超えた場合、以下の速算表をもとに所得(雑所得)・所得税が計算され、源泉徴収が行われます。

<公的年金等に係る雑所得の速算表>

国税庁「タックスアンサー No.1600 公的年金等の課税関係」より

2024年12月に閣議決定された「令和7年度税制改正の大綱」では、基礎控除を10万円引き上げる案が示されるなど、こちらも今後の動向に注目が集まります。

なお、すでに源泉徴収が行われていれば、公的年金等の収入金額(2ヶ所以上ある場合は合計額)が400万円以下、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下を条件に、確定申告は原則不要です。しかしながら、次のようなケースでは、確定申告(還付申告)を行うことで税金が戻ってくるかもしれません。

【確定申告(還付申告)で税金が戻ってくる主なケース】

・扶養親族等申告書を提出していなかった。
・年の途中で退職し、再就職をしなかった。
・医療費が多くかかった。
・社会保険料や生命保険料などを支払った。
・ふるさと納税などの寄付を行った。
・災害や盗難などの被害に遭った。
・住宅の取得・リフォームを行った。

年金版・年収の壁(3):【155万円・211万円】住民税の発生

介護保険料や1ヶ月あたり医療費の自己負担額が軽減されるほか、住民税非課税世帯であることを要件の一つとする給付(介護保険負担限度額認定等)が受けられるなど、住民税がかかるかどうかは私たちの身近なくらしにも直結する話です。2024年12月17日には、物価高対策として、住民税非課税世帯に一時金を支給する補正予算案が国会で可決されました。

では、住民税は所得がいくらになると発生するのでしょうか。
1級地とされる東京23区や指定都市では、合計所得金額が次の金額以下の場合、所得に応じた負担を求める「所得割」と、所得にかかわらず定額の負担を求める「均等割」どちらもかかりません。

①同一生計配偶者または扶養親族がいない場合
45万円 以下
②同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円 以下

65歳以上の年金収入に係る所得(公的年金等に係る雑所得)の算出では、110万円の公的年金等控除が受けられることを先ほど紹介しました。したがって、本人のみでは155万円(45万円+110万円)、夫婦2人の場合には211万円(35万円×2人+31万円+110万円)が、住民税がかかる年金額のボーダーラインとなります。その他の級地区分(2・3級地)にお住まいの方は、次の早見表をご参照ください。

<公的年金等受給者の住民税非課税基準額(早見表)>

筆者作成

年金版・年収の壁(4):【277万円・222.5万円】公的医療保険料の軽減措置の対象外に

国民健康保険料(均等割・平等割)や後期高齢者医療保険料(均等割)もまた、前年の総所得金額等に基づいて、7・5・2割軽減する措置が設けられています。それぞれの軽減割合における所得要件と年金額の目安は、次の表のとおりです。

<軽減割合別の所得要件(2024年度)>

筆者作成

単身世帯では、所得が97.5万円(43万円+54.5万円×1人)以下であれば、2割の軽減措置が受けられます。そして、それに対応する年金額222.5万円とは、公的年金等控除110万円、および公的年金等控除を受ける65歳以上を対象とした特別控除15万円を、97.5万円に足したものです。

上の表ではさらに、夫と妻それぞれの年金額が、277万円と135万円以下であれば2割軽減が受けられることを紹介しました。判定に用いる夫と妻の所得額はそれぞれ、152万円(277万円-110万円-15万円)と10万円(135万円-110万円―15万円)で、合計162万円。妻も年金所得者の人数に含めた上で所得要件に照らし合わせると、162万円(43万円+1×10万円+54.5万円×2名)と一致することから、一つのボーダーラインとして押さえておくとよいでしょう。

「年収の壁」と賢く向き合い、理想の老後を描こう

今回は、年金暮らしにおける「年収(年金額)の壁」を4つ紹介しました。最後に改めて強調すべきは、年金受給者に対する税金や社会保険料は、(65歳以上は特に)その負担に配慮する措置が設けられているということです。

2025年1月時点で取りざたされている、基礎控除額や在職老齢年金の支給停止基準額の引き上げもまた、その実現が早くも期待されます。一方で、「年収の壁」を意識しすぎて、就労の抑制もしくは年金額を増やす選択(繰り下げ受給等)を放棄するといった動きが、長い目で見ると望ましくない場合があるので注意が必要です。

どのような意思決定が望ましいのか、そのためには老後の家計を「見える化」することがまずは大切です。ファイナンシャルプランナーをはじめとする専門家とともに、豊かな老後に向けた一歩を踏み出してみませんか。

神中 智博 ファイナンシャルプランナー(CFP®)

1992年宮崎県生まれ。関西学院大学会計大学院を修了後、NTTビジネスアソシエ西日本で、NTT西日本グループの財務や内部統制等の業務に従事。2022年10月に兵庫県神戸市で独立系FP事務所ライフホーカーを開業し、現在に至る。家計相談に加えて、公的年金や確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)を活用した資産形成に関するテーマを中心に、執筆・講演活動も展開。「老後不安バスター」として、だれもが老後に向けて自信を持てる社会を目指して奮闘している。CFP®(日本FP協会認定)の他、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、1級DCプランナー、企業年金管理士(確定拠出年金)、一種外務員資格等を保有。
X(旧Twitter)→https://twitter.com/lifehawker

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