20/12/13
年金受給者に届く2つの書類を確認しないと危険! 年金受給額が減っている可能性
毎年6月頃、年金を受け取っている人には「年金振込通知書」が、年金額が改定した人は「年金額改定通知書」が日本年金機構から送られてきます。確認していない人は、ぜひ確認してください。よく見たら年金受給額が大きく減っているなんていうこともあるかもしれません。
今回はこの年金を受け取っている人に届く2つの大切なお知らせにどのようなことが書いてあるのか、内容を確認していない場合どんなことが起きるかもしれないかを説明しましょう。
年金振込通知書は控除後振込額を見てみよう
年金振込通知書には、年金支払額のほか、年金から天引きされるお金(介護保険料額・国民健康保険料額・後期高齢者医療保険料額・所得税額・住民税額)についても書かれています。
つまり、年金の総額と控除される額、実際に振り込まれる金額が一目でわかる通知書です。
出典:日本年金機構ホームページ(一部筆者加工)
実際、受け取れる金額は控除後振込額になります。いま受け取っている年金の金額と大きな違いがないか確認しましょう。
この年金受給額を左右する控除項目について詳しく説明します。
●介護保険料額
65歳以上の人は、基本的に年金から「介護保険料」が差し引かれます。その下の空欄には、「国民健康保険料(税)」、75歳以上なら「後期高齢者医療保険料」が記載されます。
この介護保険料・医療保険料は年金と違い、一生涯納付しないといけません。
●所得税・住民税額
気をつけたいのが、所得税・住民税額です。
公的年金は雑所得として、所得税の課税対象となります。年金額から一定の控除額を差し引いた額に5.105%(所得税+復興特別所得税)を乗じた金額が天引きされます。
公的年金による雑所得は下記のように、収入金額から公的年金等控除額を差し引いて算出します。
出典:国税庁ホームページ
さらに、天引きされる所得税の金額は、前年に提出した「扶養親族等申告書」の内容に従って、配偶者控除や扶養控除等が考慮されることになっています。扶養親族等申告書は、年金が所得税の対象になる方に送られてくる書類です。
出典:日本年金機構ホームページ
扶養親族等申告書が届いたら、内容を確認して返送します。
扶養控除の控除額は、次のとおりです。
出典:国税庁ホームページ
しかし、扶養親族等申告書を提出していない場合は、これらの扶養している人に対する控除が適用になりません。例えば、扶養親族がいるのに扶養親族等申告書を返送し忘れた場合は、扶養控除を受けられず、所得税や住民税が多く計算され、結果実際に振り込まれる年金の受給額が減ってしまうのです。
扶養親族等申告書を出し忘れていた場合は?
扶養親族等申告書は、前年の9月頃に届き、10月までに返送するスケジュールになっています。しかし、6月に届く年金振込通知書や年金額改定通知書を見て、前年に扶養親族申告書を出していなかったことに気づく人もいます。
出し忘れた人は、急いで年金事務所にそのことを伝えて相談しましょう。早く気付けば遡って修正してもらえるかもしれません。気付くのが遅れても確定申告をすれば、控除の適用を受けて所得税・住民税の還付を受けることができます。
今年度の年金支給額は年金額改定通知書の「合計年金額」で確認
年金額改定通知書には、自分の年金額が今年度いくらになるかが記載されています。国民年金(基礎年金)と厚生年金の基本額とそれぞれの支給停止額とそれを差し引いた年金額、そしてその合計額が書いてあります。
出典:日本年金機構ホームページ
年金額は物価や賃金の変動に応じて改定される仕組みとなって、令和2年度の年金額は、昨年度から0.2%の増額となっています。以前から年金を受給していた人は、年金額改定通知書と年金振込通知書が一体となったものが届いています。
老齢厚生年金を受給しながら厚生年金保険料を支払っている人に適用される在職老齢年金のしくみや、高年齢雇用継続給付を受けている人は、年金額の一部または全部が支給停止になることがあります。この場合支給停止額欄にその停止となる額が記載されます。
まとめ
年金額改定通知書や年金振込通知書をなくしてしまった人は、再発行をしてもらうことができます。最寄りの年金事務所や、ねんきんダイヤルに連絡をしてみましょう。また、「ねんきんネット」に登録していれば、いつでも好きなときに自宅で過去の通知書の確認・印刷ができます。
確定申告のシーズンも近づいてきたので、通知書を確認して税金の納めすぎにならないようにしたいですね。
なお、確定申告をしている場合はその内容が優先されるため、「扶養親族等申告書」を提出していなくても結果的に正しい納税額となっているのでご安心ください。
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小野 みゆき 中高年女性のお金のホームドクター
社会保険労務士・CFP®・1級DCプランナー
企業で労務、健康・厚生年金保険手続き業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険の代理店と保険会社を経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。セミナー講師、執筆などを中心に活躍中。
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