18/10/24
自然災害の被害でローンが払えない!知っておきたい公的制度とは
地震や台風、土砂崩れなど自然がもたらす災害はいつどんなとき起こるかは誰も予想することはできません。しかし、ひとたび被害に遭ってしまうとそれまでの日常の生活すら取り戻すことが難しくなってしまうかもしれないのです。
もし、自分がそうなってしまったら、家族や親戚がそうなってしまったらどんな救済の方法があるのか必ず知っておきたい制度は抑えておきたいところです。
今回は、自然災害の被害でローンが払えない時に知っておきたい公的制度をお伝えします。
無理せず、公的制度を活用する
暴風、暴雨、豪雪、洪水、地震、津波、噴火などの自然災害で大きな被害を受けたときは、生活を立てなおすための生活資金や住宅の再建資金などの『被災者生活再建支援制度』や、倒壊してしまった家屋の再建のために低金利で融資をうけることができる『災害復興住宅融資』などの公的支援制度があります。
被害を受けたときは制度の対象になるかどうかを確認し、対象になるようであれば積極的に制度は利用しましょう。
【対象となる地域】
①10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村
②100世帯以上の住宅全壊被害が発生した都道府県
③①又は②の市町村を含む都道府県で、5世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村(人口10万人未満に限る)
④①~③の区域に隣接し、5世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村(人口10万人未満に限る)
⑤①若しくは②の市町村を含む都道府県又は③の都道府県が2以上ある場合に、5世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村(人口10万人未満に限る)
【対象となる被災世帯】
① 住宅が「全壊(損害割合50%以上)」した世帯
② 住宅が「半壊(損害割合20%以上50%未満)」、又は住宅の敷地に被害が生じ、その住宅をやむを得ず解体した世帯
③ 災害による危険な状態が継続し、住宅に居住不能な状態が長期間継続している世帯
④ 住宅が半壊し、大規模な補修を行わなければ居住することが困難な世帯「大規模半壊世帯(損害割合40%以上50%未満)」
※損害割合 住家の主要な構成要素の経済的被害が住家全体に占める割合
被災者生活再建支援制度の概要
災害救助法などの該当する被害のうち、住宅が全壊したり、半壊、または取り壊しをしなくてはならなくなったりしたときに受けられる資金的な支援制度です。支援金の種類は2つあり、合計額が支払われる支援金となります。
●住宅の被害程度に応じて支給する支援金(基礎支援金)
全壊または解体 100万円
長期避難 100万円
大規模半壊 50万円
●住宅の再建方法に応じて支給する支援金(加算支援金)
建設・購入 200万円
修理 100万円
賃貸(公営以外) 50万円
【申請方法】
基礎支援金は災害の発生日から13ヵ月、加算支援金は37ヵ月以内に申請しなくてはなりません。住んでいる市町村の窓口に被災した世帯の世帯主から申請します。「被災者生活再建支援金支給申請書」の他に下記の書類が必要です。また、り災証明書も被災者から市町村に申請し、被害状況の調査の後交付されます。
●全壊の場合
・り災証明書
・住民票
・預金通帳のコピー
●半壊・取り壊しの場合は以下の追加書類
・解体証明書
・滅失登記簿謄本
・敷地被害証明書
災害復興住宅融の概要
住宅金融支援機構が行う被災住宅復旧のための資金融資制度のことで、り災証明を受けている方であれば利用でき、低金利で融資を受けることができる制度です。自分が居住するかもしくは親族が居住するための家を建築、購入する方のための融資です。
【申し込み条件】
・所有者または居住者で、「り災証明書」を交付されている方
・自分または被災した親等が住むための住宅を建設または購入する方
・年収に占める全てのお借入れの年間合計返済額の割合基準を満たしている方(年収400万円未満30%以下 年収400万円以上35%以下)
・日本国籍の方・永住許可等を受けている外国人の方
※住宅金融支援機構HPより
【融資金額】
●建築の場合
基本融資額 2620万円(土地取得費含む)
整地資金 440万円
特別加算額 510万円
●購入の場合
・新築住宅
基本融資額 2620万円
特別加算額 510万円
・補修工事
補修資金 730万円
整地等資金 440万円
・中古住宅
住宅・マンション 2320万円
プラス住宅・マンション 2620万円
※プラス住宅・マンションとは機構の定める構造、耐震性、劣化状況、維持管理の基準に適合する住宅
特別加算額 510万円
事前にそなえるなら『住宅ローン災害免除特約』
公的な支援制度とは異なりますが、住宅ローンで災害免除特約を扱う金融機関もあります。住宅ローンの金利に上乗せするか、手数料を別に支払うことでローンの支払いが免除されたり支払ったローンの払い戻しがあったりします。
例えば新生銀行の「自然災害時債務免除特約」では融資の実行のとき手数料を支払うことで、被害の程度によって6回〜24回まで住宅ローンの支払いが免除されます。また、みずほ銀行の自然災害支援ローンは金利に上乗せすることで、被害の程度によって支払ったローンの金額の払い戻しがあります。
まとめ
災害は忘れた頃にやってくると言います。被害を受けると、まずは生活の基盤を立て直すことが優先です。利用できる公的支援は積極的に利用しましょう。もしかしたら自分の身に起こるかもしれないと考え、事前に情報の収集や、対策をしておくといいでしょう。
黒須 かおり
ファイナンシャルプランナー CFP®
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。金融機関にて資産形成のアドバイザーとしても活動中。FP Cafe登録パートナー
記事提供:moneliy
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