22/11/25
国民年金「第3号→第1号」への切り替えが必要な時は意外と多い 手続きしないとどうなる?
国民年金は、基礎年金とも言われます。日本は「国民皆年金」で、20歳以上60歳未満の人が皆、加入する公的年金です。
国民年金に加入していても、手続きをせず、国民年金保険料の未納があると、将来もらえる年金が減ってしまうことにもつながります。特に、第3号から第1号への切り替えは忘れてしまいがち。
今回は、国民年金の第3号→第1号の切り替えについてお伝えします。
国民年金の「第1号、第2号、第3号」とは?
国民年金に加入する人(被保険者)には、第1号、第2号、第3号の種類があります。
まず、第2号から説明します。国民年金の第2号被保険者とは、会社員や公務員の人です。給与明細を見て、厚生年金保険料が給与から差し引かれていれば、第2号被保険者です。厚生年金保険料の金額は、収入によって決まります(収入が多いと、厚生年金保険料も増えます)。
第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者です。年収130万円未満で、第2号被保険者の年収の2分の1未満などの条件にあてはまる人が対象です。
第3号被保険者は、国民年金保険料を払う必要がありません。
そして、第2号、第3号ではないすべての人が、第1号被保険者です。20歳以上60歳未満の、自営業者、フリーランス、学生、無職などです。第1号被保険者の国民年金保険料は毎年見直され、2022年度は1万6590円。収入に関係なく、一律の金額です。ただし、まとめて前払いにすると割引があります。
第3号→第1号への切り替えが必要な5つのとき
このうち、第3号被保険者の方が、第3号被保険者の条件に該当しなくなって、第1号被保険者になった場合には、自分で国民年金の切り替えの手続きをする必要があります。具体的には、次のとおりです。
●第3号→第1号への切り替えが必要なとき1:配偶者が退職して自営業者になった
第3号被保険者とは、第2号に扶養されている配偶者です。
たとえば、夫が会社員で妻が扶養に入っている場合、夫が第2号で妻が第3号です。しかし、夫が会社をやめて自営業者になったら、夫は第2号から第1号被保険者になります。すると同時に、妻も第3号から第1号に切り替える必要があります。
●第3号→第1号への切り替えが必要なとき2:配偶者が定年退職した
夫が定年退職して無職になった場合も同様です。夫は退職して第2号から第1号になるため、妻も第3号から第1号に切り替える必要があります。
●第3号→第1号への切り替えが必要なとき3:配偶者が第2号被保険者ではなくなった
昨今は、定年後も再雇用などで働き続けるシニアが増えています。夫が働き続けていても、第2号被保険者ではなくなったら、妻は第1号への切り替えが必要です。
●第3号→第1号への切り替えが必要なとき4:配偶者が亡くなった、離婚した
夫が亡くなったり、夫婦が離婚したりした場合にも、夫婦の扶養関係はなくなりますから、第3号被保険者ではなくなります。
●第3号→第1号への切り替えが必要なとき5:130万円以上の収入になった
いわゆる「130万円の壁」と言われるように、夫が第2号被保険者でも、妻の収入が130万円以上になると夫の扶養をはずれます。
妻が会社勤めで、妻自身が厚生年金に加入し、第2号被保険者になった場合には勤務先が手続きをしてくれますが、そうではない場合には自分で第1号への切り替えが必要です。
第3号→第1号の切り替えをしないとどうなる?
第3号から第1号への切り替えは、住所地の市区町村に、「第1号被保険者への種別変更届」を提出します。第1号被保険者に切り替えた後は、保険料の払込票が送られてくるので、忘れずに払いましょう。
切り替えをしないままにしておくと、本当は第1号として保険料を払わなくてはならないのに、第3号被保険者として記録され、保険料を払わないままになってしまいます。
そして将来、年金の請求をしたタイミングで、過去にさかのぼって記録が訂正されますから、もらえる年金額が少なくなってしまいます。
未納の期間が長ければ、年金の受給資格すらなくなってしまう可能性も。
国民年金は、保険料を払った期間と、保険料を免除された期間の合計が10年以上であることが要件です。もし、第1号への切り替えによって保険料の負担が重いようなら、免除申請をして、受給資格は満たすようにしておきましょう。
免除期間は、受給資格の期間にカウントすることができますが、将来の年金額は減額されてしまいます。免除された国民年金保険料は、10年以内であれば追納ができますので、余裕ができたら積極的に納めていきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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