17/09/21
その借金は大丈夫? してもいい借金と、ダメな借金の違いとは
より良いマネーライフの基本は、「欲しいものはお金を貯めてから買う」こと。でも、どんなことにも例外はあります。借金をしたら、利子をつけて返さなくてはなりませんが、それでも借りたほうがいい場合があります。
今回は、してもいい借金とダメな借金の違いについて、解説します。
してもいい借金とは、利子以上のリターンがあるもの
借金の返済は、元本+利子。お金を借りることに利子以上の価値があるなら、その借金はしてもいい借金です。ただし、その価値とは客観的な経済的価値のこと。「今どうしても欲しいから」という気持ちだけではなく、借りた場合に利子以上のリターンが見込めることが、大切な判断基準になります。
たとえば、住宅ローンです。何千万円もする物件を購入するために、全額をコツコツ貯めていては何年もかかるでしょう。子供が小さいうちに、家族で落ち着いて暮らせる住まいが欲しいと思っても、貯めた頃には子供が独立してしまいます。しかし、住宅ローンを借りる理由はそれだけでは不十分。客観的で経済的な価値が必要です。主なものは次の2つです。
理由1:生命保険代わりにできる
住宅ローンを借りると、団体信用生命保険にも加入するケースがほとんどです。団体信用生命保険とは、ローンの返済中にもしも死亡してしまった場合、ローンが完済されて、借金がなくなり家はのこる、というものです。家族のために万が一の場合の死亡保障は必要ですが、住宅ローンを借りて団体信用生命保険に加入することになれば、その他の生命保険は大幅な減額の見直しができるようになります。
理由2:将来、売ったり貸したりできる資産になる
子供が独立して夫婦ふたりの暮らしになったら、こじんまりした住まいのほうが、メンテナンスの負担が軽く、暮らしやすくなるかもしれません。そんな時、住宅を売って住み替えの資金を作ることができます。
あるいは、賃貸に出すことで、家賃収入を得ることもできます。これは、シングルの場合でも大きなメリット。人生100年時代とも言われ、長い老後にはお金も必要。住宅ローンを借りても、大きなリターンが見込めるといってよいでしょう。
不動産投資ローンや起業のためのローンも同様のメリット
自分が住む住宅でなくても、不動産投資ローンにも同様のメリットがあります。
また、起業のためのローンは、借りた資金を元手にすることで、大きく増やすことが見込めます。自己資金だけで事業をするより、広く事業展開することができるようになるからです。
その他には、株の信用取引も、していい借金に当てはまります。持っている株を担保に資金を借入れ、自己資金だけの場合より大きな取引ができるので、リターンを大きくすることができます。ただし、株価が下がったら時のリスクも大きくなることに注意が必要です。
ダメな借金は、その場しのぎの借金
一方ダメは借金とは、どのようなものでしょうか。これは、してもいい借金の逆で、客観的で経済的なリターンがない借金です。
たとえば、クレジットカードのリボ払いです。クレジットカードは手持ちの現金がなくても買物ができて、とても便利なものですが、借金には変わりありません。買物のタイミングでクレジットカード会社がお店に立替払いをして、後日クレジットカード会社に支払うまでの間は借金をしているのです。
借金とは言え、1回払いと2回払いについては利息がかかりません。しかし、3回払い以上になると金利手数料がかかります。金利手数料はクレジットカード会社によっても異なりますが、3回払いで年利12~15%程度です。住宅ローンの金利が、0.6~1.1%(変動金利、2017年9月)であることを考えると、かなり高い金利手数料ですね。
また、毎月一定金額だけ支払えばいいリボルビング払い、略してリボ払いは、実質年利15~18%の金利手数料がかかる上に、借金の残高がわかりにくくなってしまいます。使いたくなることがあるかもしれませんが、計画的なお金の使い方をしていれば、利用は避けられるものです。
クレジットカードのキャッシングも同様です。もしも使ってしまったら、何に使ったのか、どうしてお金が足りなくなってしまったのか、よく確かめて家計そのものを見直す必要があるでしょう。
すべての借金が悪いものでありません。
いい借金か、ダメな借金か見極めて、しっかりしたマネープランを作りましよう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー
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