19/02/24
接待で連れて行かれたキャバクラで不倫に発展…。会社は慰謝料を支払うべきなの?
結婚生活10年目を迎えたTさんに、離婚危機が訪れています。昨年福岡に転勤となり、単身赴任していた夫がキャバクラ嬢と「デキて」しまい、不倫したというのです。
事実を知ったTさんが現地に怒鳴り込んでみると、「会社の接待でキャバクラに連れて行かれ、そこでハマってしまい交際に発展した」と夫が白状。それまでは幸せな結婚生活を送っていましたが、転勤と接待が運命を変えてしまいました。
Tさんとしては浮気を許すことができないので離婚を切り出し、夫も同意しているようなので、別れること自体はできそうです。ただ、怒りに震えるTさんは、夫だけではなく転勤させた会社にも慰謝料を請求できないかと考えています。一体そのようなことは可能なのでしょうか?
秋葉原よすが法律事務所の近藤美香弁護士に相談してみました!
Q.会社の転勤と接待で浮気をした夫…会社に慰謝料を請求することはできる?
A.難しい
近藤弁護士:「本件において、会社に対する慰謝料(損害賠償)請求が認められるためには、会社に民法上の使用者責任(注1)が認められることが必要と考えられます。そして、会社の使用者責任が認められるためには、会社の被用者(ex.キャバクラに連れて行った従業員)の行動が不法行為(注2)の要件を満たしていなければなりません。
そこで、本件の場合、同僚または上司が夫をキャバクラに連れて行った行為が、不法行為、すなわち他人の権利または法律上保護される利益を侵害する行為、と言えるかどうかが問題となります。が、さすがにキャバクラに連れて行ったこと自体は不法行為とは言えません。夫がキャバ嬢と不倫関係になったのは、二人の自由な意思によるものですので、いくら接待でキャバクラに連れて行かれたことがきっかけであるとしても、連れて行った同僚もしくは上司に責任があるとは言えません。したがって、そもそも被用者の不法行為自体が成立せず、会社も責任を負わないものと考えられます。」
Tさんの気持ちは痛いほど理解できますが、転勤やキャバクラ接待で不倫することは夫が原因。会社に責任を負わせるのは無理筋のようですね。
(注1)『ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りではない。』(民法715条1項)
(注2)『故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。』(民法709条)
取材協力弁護士:近藤美香
秋葉原よすが法律事務所。家事事件を専門的に取り扱い、500件以上の家事事件を取り扱った経験を持つ。JADP認定の夫婦カウンセラーの資格を保持している。
取材・文: 櫻井哲夫
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記事提供:シェアしたくなる法律相談所
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