19/01/11
不倫の慰謝料をもらって離婚する場合、注意すべき3つのポイント
パートナーの不倫をきっかけに離婚を決意する人は多いのではないでしょうか?不倫が理由で離婚に至った場合には、慰謝料の請求が可能です。
今回は、パートナーの不倫による離婚で、慰謝料を請求する場合の注意点を説明します。
注意点1:慰謝料の請求は証拠がないと難しい
不倫の慰謝料を請求するにあたって、いちばん大切なことは、証拠を集めておくことです。協議離婚では、慰謝料についても、話し合いで決めることになります。パートナーが自分から不倫を認めて慰謝料を払ってくれれば問題ありませんが、そのようなケースはまれです。
話し合いで慰謝料の合意ができない場合には離婚調停、調停が不成立になれば離婚裁判になります。パートナーが慰謝料の支払いを拒否し続けた場合、裁判をして払わせるには証拠が必須です。証拠をとっていれば、相手も「裁判になったら負けてしまう」と思い、協議や調停の段階で不倫を認めるケースが多くなります。
不倫の慰謝料は不倫相手にも請求できますが、こちらも素直に認めない可能性があります。いずれにしろ、慰謝料請求を考えているなら、証拠は必ずとっておくべきです。
不倫は一定期間継続していなければ離婚理由として認められないので、証拠も継続して集めておきましょう。ただし、最初から証拠を突きつけても、逆ギレされ、ケンカになってしまいます。集めた証拠は、相手が言い逃れして慰謝料を払おうとしない場合に、最終的な切り札として出すようにしましょう。
注意点2:慰謝料の金額決めは弁護士に相談した方が安心
慰謝料を請求する場合には、金額をどうすればよいかも悩むところです。一般的には、慰謝料の相場は200~300万円と言われます。仮に裁判になった場合、慰謝料の金額はさまざまな要素で増減しますから、必ずしもこの範囲におさまるとは限りません。
協議離婚する場合、一般的な相場を基準に慰謝料を200万円程度に決めることも多いと思います。しかし、裁判をすれば500万円もらえるケースかもしれません。慰謝料は離婚後3年以内なら請求できますが、離婚時に一旦合意して離婚協議書を作ってしまうと、追加で請求するのは通常不可能です。
協議離婚の場合でも、慰謝料の金額については、弁護士に相談することをおすすめします。もちろん、500万円の慰謝料を請求可能でも、200万円で合意するのは自由です。まずはいくら請求できるかを把握した上で、パートナーと交渉し、納得できる金額に決めた方がよいでしょう。
注意点3:慰謝料は原則非課税だが現金以外でもらうと課税されることも
慰謝料としてまとまった金額をもらうと、税金も気になります。慰謝料は損害賠償金なので、所得税は課税されません。また、慰謝料の支払いは贈与ではないので、贈与税も非課税です。慰謝料を受け取っても、税金の心配は基本的にはありません。
ただし、通常考えられる金額よりも高額すぎる慰謝料を受け取ると、贈与とみなされ課税されるリスクがあります。課税リスクを下げるために、離婚協議書を作成し、離婚の慰謝料であることを明記しておきましょう。
また、慰謝料として現金をもらう代わりに、不動産をもらった場合には、不動産取得税にも注意しておく必要があります。離婚の際の清算的な財産分与では、不動産取得税はかかりません。しかし、慰謝料として不動産を取得した場合には、不動産取得税の課税対象になります。
慰謝料代わりの不動産譲渡では、譲渡した側に譲渡所得税がかかることもあります。不動産が購入時より値上がりしている場合、保有中に得た利益について、不動産を手ばなすときに譲渡所得税が課税される扱いになっているからです。
この場合、譲渡所得税を払うのはパートナーの方ですが、「課税されるとは知らなかった」と言われてトラブルになることがあります。慰謝料として不動産をもらう場合には、事前に課税の有無を調べてから合意をした方がよいでしょう。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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