22/01/29
年金受給者が確定申告で還付金がもらえて得する5つのケース
原則として65歳になると受け取れる公的年金。働かなくてもお金がもらえるのはありがたいですが、年金は雑所得として所得税・住民税の課税対象であることも認識しておきましょう。今回は、年金受給者の確定申告について説明します。
年金受給者の所得税は源泉徴収されている
公的年金にかかる所得税は、年金受け取り時に源泉徴収されています。源泉徴収が行われているのは、65歳未満で108万円超、65歳以上で158万円超の年金をもらっている人です。年金受給額が少ない場合には税金はかかりません。
給料にも源泉徴収の仕組みがあることからわかると思いますが、その年の収入は1年終わらないと確定しません。源泉徴収される所得税は仮の金額。そのため、給料については会社で年末に過不足を調整する年末調整が行われます。
一方、年金については年末調整の仕組みはありません。所得税の過不足を調整するためには、確定申告をする必要があります。しかし、高齢の年金受給者が毎年確定申告をするのは負担になり、現実的ではありません。そのため、公的年金には「確定申告不要制度」が設けられています。
確定申告不要制度とは?
公的年金の確定申告不要制度とは、一定の条件をみたす年金受給者について、確定申告をしなくてもよいとする制度です。
●確定申告不要制度の対象者
確定申告不要制度が利用できるのは、次の(1)(2)のいずれにも該当する人です。
(1) 公的年金等(老齢基礎年金、老齢厚生年金、企業年金など)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっている
(2) 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(給与所得、民間の個人年金など)が20万円以下である
●年金受給者で確定申告しなければならない人は?
年金受給者のうち確定申告義務があるのは、年間400万円を超える年金をもらっている人や年金以外の所得が年間20万円を超える人です。これらの人が確定申告を怠ると、ペナルティを受けることになります。
●住民税の申告は必要な場合がある
源泉徴収で納めているのは所得税ですが、年金には住民税もかかります。公的年金以外の所得がある人は、所得税の確定申告が不要であっても、住民税の申告は必要な場合があります。詳しくは、お住まいの市町村の役所に確認してください。
確定申告すれば還付金がもらえる人も!
確定申告不要制度の対象者に該当しても、税金を納め過ぎになっている場合には、確定申告により税金の還付を受けられます。
●確定申告したら得する例
以下のようなケースでは税金が安くなり還付金をもらえる可能性があるので、確定申告を検討しましょう。
①医療費を多く払った
年間10万円を超える医療費(※年間の総所得金額が200万円未満の場合には総所得金額の5%を超える医療費)を払った場合には、医療費控除が受けられます。
②生命保険料や損害保険料を払っている
生命保険料控除や損害保険料控除が受けられます。
③無職の子供の国民年金保険料を払っている
生計同一の家族の社会保険料を払っている場合、その分も社会保険料控除の対象になります。
④マイホームの購入やリフォームをした
住宅ローンを利用して自宅を購入した場合には住宅ローン控除が、自宅にバリアフリー改修工事を施した場合には住宅特定改修特別税額控除が適用できる可能性があります。
⑤扶養親族等申告書を提出し忘れた
年金受給者に配偶者や扶養している親族がいる場合、配偶者控除や扶養控除を受けるには、扶養親族等申告書の提出が必要です。扶養親族等申告書は毎年9月頃郵送で届きますが、提出し忘れると控除の適用がないまま税金が計算されてしまいます。この場合、確定申告書を提出すれば、控除の適用が受けられます。
●5年以内なら還付を請求できる
払い過ぎている税金を還付してもらうための確定申告(還付申告)は、対象となる年の翌年1月1日から5年間可能です。過去5年以内に還付金が発生する年がないか確認してみましょう。
まとめ
老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた受給額(年額)の平均は175万円程度。収入が公的年金だけの人はほとんど確定申告不要制度の対象なので、確定申告の手間は発生しません。ただし、確定申告すれば還付金がもらえるケースもありますので、税金が安くならないか確認してみるのがおすすめです。
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森本 由紀 ファイナンシャルプランナー(AFP)・行政書士・離婚カウンセラー
Yurako Office(行政書士ゆらこ事務所)代表。法律事務所でパラリーガルとして経験を積んだ後、2012年に独立。メイン業務の離婚カウンセリングでは、自らの離婚・シングルマザー経験を活かし、離婚してもお金に困らないマインド作りや生活設計のアドバイスに力を入れている。
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