26/07/28
【やらないと大損】年金生活者の7つの請求手続き

年金には、自分で手続きをしなければ受け取れないお金や、手続きを忘れると損をしてしまう制度があります。「知らなかった」「手続きしなかった」という理由だけでもらい損ねる人も少なくありません。
今回は、年金を受け取っている人や、これから受け取る人が忘れずに確認したい7つの手続きを紹介します。
(1)加給年金の請求手続き
加給年金は、厚生年金に20年以上加入した人が65歳になったとき、65歳未満の配偶者や18歳未満の子どもを扶養している場合に加算される年金です。「年金の家族手当」と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、条件を満たしていても自動では支給されません。自分で請求しなければ受け取れないため、手続きを忘れると数十万円を受け取り損ねることがあります。
「扶養している」というのは、配偶者や子の生計を維持しているということ。同居しているだけでなく、別居で仕送りしている場合も認められます。ただし、配偶者や子の前年の収入が850万円未満という条件があります。
「配偶者は専業主婦(夫)でないと受け取れない」と勘違いして、せっかくもらえるはずの加給年金の請求手続きを行わない方もいるため気をつけてください(ただし、配偶者自身が20年以上厚生年金に加入している場合、加給年金は支給されません)。
●加給年金の手続きに必要な書類
・老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届
・戸籍謄本または戸籍抄本(配偶者との続柄がわかるもの)
・世帯全員の住民票の写し(続柄と筆頭者の記載があるもの)
・配偶者や子の所得証明書または非課税証明書
加給年金を請求する届出書に加え、配偶者や子との続柄、扶養している事実を証明する書類、配偶者や子の収入や所得が分かる書類が必要です。
●加給年金で受け取れる金額
加給年金で受け取れる金額は、毎年見直されます。2026年度の場合、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合は年額24万3800円を受け取ることができます。また、18歳未満の子がいる場合、1人目・2人目の子は年額24万3800円をそれぞれ受け取ることができますが、3人目以降の子は年額8万1300円ずつとなります。
さらに、配偶者がいる場合の加給年金は、受給権者本人の生年月日によって加算されます。これを特別加算といいます。
<配偶者加給年金額の特別加算額(令和8年4月から)>

日本年金機構のウェブサイトより
例えば、65歳未満の配偶者がいる1959年生まれの人は、24万3800円に加え17万9900円が加算され、合計で年額42万3700円の加給年金が支給されることになります。
(2)振替加算の請求手続き
加給年金は、配偶者が65歳になると終了します。その代わり、一定の条件を満たす配偶者には、老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。
振替加算は、会社員や公務員に扶養されていた配偶者の年金額が少なくなりやすいことを考慮して設けられた制度です。
配偶者が年下の場合は、加給年金から振替加算への切り替えが自動的に行われるため、通常は特別な手続きは必要ありません。
一方で、配偶者が年上の場合は注意が必要です。例えば、会社員の夫と年上の専業主婦の妻、あるいは会社員の妻と年上の専業主夫の夫といったケースでは、会社員側が65歳になった時点で、配偶者本人が振替加算の請求手続きを行う必要があります。
対象となるにもかかわらず請求しなければ支給されないため、「年上の配偶者がいる夫婦」は忘れずに確認しておきましょう。
●振替加算の手続きに必要な書類
・国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届
・戸籍謄本または戸籍抄本(配偶者との続柄がわかるもの)
・世帯全員の住民票の写し(続柄と筆頭者の記載があるもの)
・配偶者の所得証明書または非課税証明書
●振替加算で受け取れる金額
振替加算は、生年月日に応じて受給額が決まります。
もともと国民年金への加入義務がなかった期間が長い世代ほど支給額は多く、若い世代になるほど段階的に減額されます。
例えば、1986年の制度改正時に59歳以上だった人は最も多い金額を受け取れます。一方で、1966年4月2日以降生まれの人は制度の対象外となるため、振替加算は支給されません。振替加算額は生年月日によって細かく異なるため、日本年金機構の一覧表で確認しておくと安心です。
(3)亡くなった人がもらわなかった未支給年金の請求
年金を受け取っていた人が亡くなった場合、それ以降の年金は受け取れません。ただし、亡くなった月までの年金は「未支給年金」として、一定の遺族が受け取ることができます。
年金は偶数月に前2か月分がまとめて支給される「後払い」のためです。例えば、5月に亡くなった場合は、4月分と5月分の年金を遺族が請求できます。
受け取れるのは、生計を共にしていた配偶者や子、父母など三親等以内の親族です。
なお、未支給年金は自動的に振り込まれるわけではありません。年金の受給停止手続きとあわせて請求しなければ受け取れないため、忘れずに手続きを行いましょう。
●未支給年金の請求時に必要な書類
・未支給年金請求書
・亡くなった人の年金手帳・年金証書
・請求する方のマイナンバー(個人番号)にかかる確認書類
・戸籍謄本または法定 相続情報一覧図
・亡くなった人の住民票除票
・未支給年金請求者の世帯全員の住民票
・受取を希望する方の金融機関の通帳やキャッシュカード
(4)特別支給の老齢厚生年金の請求
特別支給の老齢厚生年金は、厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳へ引き上げられた際の経過措置として設けられた制度です。
対象となるのは、生年月日など一定の条件を満たす人で、男性は1961年4月1日以前生まれ、女性は1966年4月1日以前生まれの人などが該当します。男性の場合すでに新たに条件を満たす人はいませんが、女性はこれから条件を満たす人もいます。
特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢になると日本年金機構から案内が届きますが、自分で請求しなければ年金は受け取れません。また、請求を忘れたままにすると、年金には5年の時効があるため、本来受け取れた年金の一部が受け取れなくなる可能性があります。
案内が届いたら内容を確認し、早めに手続きを済ませましょう。
●特別支給の老齢厚生年金を申請する際に必要な書類
・年金請求書
・戸籍謄本や戸籍抄本、住民票など生年月日がわかるもの
・年金を受け取る金融機関の通帳やキャッシュカード
扶養する配偶者や子どもがいる場合は、追加書類が必要になることがあります。
なお、受給額は、厚生年金の加入期間や給与、賞与などによって一人ひとり異なります。
(5)雇用保険に関する届出
60歳以降も働きながら年金を受け取る人は、雇用保険との関係にも注意が必要です。
例えば、65歳未満の人が雇用保険の失業給付(基本手当)を受ける場合、特別支給の老齢厚生年金は支給停止となります。
また、高年齢雇用継続給付についても慎重な対応が必要です。高年齢雇用継続給付とは、60歳以上65歳未満で、雇用保険の被保険者期間が5年以上あり、60歳到達時と比べて賃金が75%未満に低下した人を対象に支給される給付です。支給額は賃金の低下割合などによって異なりますが、最大で賃金額の10%相当が支給されます。
この給付を受けると、在職老齢年金による支給停止とは別に、老齢厚生年金の一部が支給停止となる場合があります。
手続きをしていないと、本来受け取れる年金の調整が正しく行われず、後から年金の返還を求められたり、反対に支給されるはずの年金を受け取れなかったりすることもあります。対象となる人は、年金事務所への届出を忘れないようにしましょう。
●必要な書類
それぞれの手続きに必要な書類は以下のとおりです。
【失業給付を受ける場合】
・雇用保険受給資格者証
・雇用保険受給資格通知
・船員失業保険証(船員失業証明票)
いずれもコピー可
【高年齢雇用継続給付を受ける場合】
・高年齢雇用継続給付支給決定通知書
・高齢雇用継続給付支給決定通知書※
いずれもコピー可
※高年齢雇用継続給付受給資格確認通知書では代用できないので注意しましょう。
(6)企業年金の請求
会社員として働いていた人は、公的年金とは別に企業年金を受け取れる場合があります。しかし、企業年金は自分で請求しなければ受け取れません。
企業年金連合会によると、2025年3月末時点で企業年金の請求手続きをしていない人は約106万人います。そのうち約68万人は、住所変更や結婚による改姓などが原因で、請求案内が届いていない状況です。
企業年金を受け取り忘れる理由として多いのが、結婚や転居によって名字や住所が変わり、企業年金連合会からの案内が届かなくなるケースです。また、転職を繰り返した人の中には、「昔勤めていた会社に企業年金制度があったこと自体を忘れていた」というケースも少なくありません。
企業年金は、加入期間が短かった場合や、勤務先がすでに倒産している場合でも受け取れる可能性があります。
過去に企業年金制度のある会社で働いたことがある人は、一度確認してみましょう。「自分は対象ではない」と思い込まず、心当たりがあれば勤務先や企業年金連合会へ問い合わせることをおすすめします。
●確認方法
・勤務先へ問い合わせる
・企業年金連合会へ問い合わせる
【企業年金コールセンター】
・ナビダイヤル:0570-02-2666
・受付時間:平日9時~17時(土・日・祝祭日および年末・年始を除く。)
ナビダイヤルの通話は有料です。
IP電話からは、03-5777-2666にかけてください。
(7)年金生活者支援給付金の請求
年金生活者支援給付金は、年金収入や所得が一定額以下の人の生活を支えるために、年金に上乗せして支給される制度です。
対象となる人には日本年金機構から請求書が送られますが、自動的に支給されるわけではありません。請求手続きをしなければ受け取れないため、案内が届いたら早めに手続きを行いましょう。
老齢基礎年金を受給している人の場合は、次の3つすべてを満たす必要があります。
・65歳以上で老齢基礎年金を受給している
・同一世帯全員が住民税非課税である
・前年の公的年金等の収入額とその他の所得の合計が、1956年4月2日以降生まれの人は90万9000円以下、1956年4月1日以前生まれの人は90万6700円以下である
また、この給付金は老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給している人にも設けられています。
●必要な書類
・年金生活者支援給付金請求書(はがき型)
●受け取れる金額
給付額は、国民年金保険料を納めた期間や免除期間などによって異なります。
例えば、保険料納付済期間が480カ月、全額免除期間が0カ月の場合は、月額5620円が年金に上乗せされます。
毎月の金額は決して大きくありませんが、年間では6万7440円になります。長期間受け取れば、生活費の補填として家計を支える心強い存在になるでしょう。
年金は請求しないともらえない
年金は「もらい始めたら終わり」ではありません。受給中も状況に応じて必要な手続きがあります。受け取れる年金や給付金を逃さないためにも、必要な届出や請求は忘れずに行いましょう。
【関連記事もチェック】
・国民年金「10年分だけ」支払った人は年金いくらもらえる?少ない?
・2026年度の「住民税決定通知書」は絶対確認、見るべきところはこの3点
・【知らないと損】ゆうちょ銀行の預入限度額1300万円超えるとどうなるのか
・厚生年金「夫14万円・妻10万円」、夫が亡くなった後に妻がもらえる年金はいくら?
・国民年金保険料「40年間全額免除」だと、年金はいくらもらえる?
舟本美子 ファイナンシャルプランナー
「大事なお金の価値観を見つけるサポーター」
会計事務所で10年、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として14年働いたのち、FPとして独立。あなたに合ったお金との付き合い方を伝え、心豊かに暮らすための情報を発信します。3匹の保護猫と暮らしています。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。FP Cafe登録パートナー
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
























