18/07/26
配偶者控除が改正。パートの働き方はどう変えるのがよい?
2018年から、配偶者控除・配偶者特別控除の制度が改正されました。
2017年までは、配偶者を持つ人(以下「納税者」)が配偶者控除を受けるには、配偶者のパート収入額が103万円以下であることが要件でした。
しかし、この改正によって、配偶者控除を受ける納税者の収入金額により控除額が変わるようになりました。
今回は、配偶者控除の改正がパートの働き方へどう影響するか、注意点とともに解説します。なお、納税者は会社勤務で給与収入があり、配偶者はパート収入があることを前提とします。
配偶者控除・配偶者特別控除ってどんなもの?
配偶者控除とは、配偶者の収入が一定額以下の場合に、納税者が受けられる所得控除のことです。所得控除を受けると、納税者の税金が安くなります。
配偶者控除を受けるための要件は次の通りで、すべてを満たすと所得控除が受けられます。
(1) 配偶者であること(内縁関係は受けられない)
(2) 納税者と生計が同じであること
(3) 配偶者の年間の給与収入が103万円以下であること
配偶者特別控除とは、配偶者のパート収入が103万円を超えていて上の(3)を満たさず配偶者控除が受けられないときに、次の手として考えられる所得控除です。
配偶者特別控除の額は、配偶者のパート収入の額に応じて決まります。
配偶者控除・配偶者特別控除の改正 何が変わった?
2017年までは、納税者の給与がいくらでも、配偶者控除を受けることができました。
しかし、2018年以降は、納税者の給与収入が年間1120万円以上になると、配偶者控除額が段階的に減り、1220万円を超えるとゼロになります。納税者の給与収入と配偶者のパート収入による控除額はこちらです。
納税者の給与収入額に応じた配偶者のパート収入額ごとの控除額早見表
※一般社団法人金融財政事情研究会 個人の税金ガイドブック参考
( )内は、改正前の2017年までの控除額です。
2017年までは、配偶者のパート収入が141万円をこえると、配偶者控除と配偶者特別控除のどちらも受けられませんでした。2018年以降は、納税者の給与収入が1220万円以下で、配偶者のパート収入が130万円超201.42万円以下の場合、1万円~38万円の控除が受けられることになりました。
注意! 社会保険料の収入要件は変わらない
配偶者が配偶者特別控除の改正でパート収入が増えても所得控除が受けられるように緩和されたことはよかったのですが、これは所得税と住民税に限ったことです。社会保険料の扶養家族になるための収入要件は年130万円までのままです。
パート収入が増えることで、配偶者特別控除が受けられる可能性はありますが、社会保険料の扶養家族から外れてしまうと、世帯の手取り額の合計は減る可能性があります。社会保険料の扶養家族から外れる場合、社会保険は自分で支払うことになります。世帯の収入を増やすには社会保険料負担以上に収入を増やすことを目安にしましょう。
また、扶養家族をはずれて社会保険に加入する場合、健康保険では傷病手当や出産手当など社会保障がつきます。収入だけでなく、社会保険に加入することのメリットにも視点をおくと良いと思います。
まとめ
配偶者控除・配偶者特別控除の改正で、納税者の給与収入要件や配偶者のパート収入の要件により、世帯の税金負担は次にように変わります。
・納税者の給与収入1120万円以下+配偶者のパート収入103万円以下
→ 今まで通り 配偶者控除38万円
・納税者の給与収入1120万円超+配偶者のパート収入103万円以下
→ 増税 配偶者控除が段階的に減額される
・納税者の給与収入1220万円以下+配偶者のパート収入103万円超
→ 減税 配偶者のパート収入201.42万円まで配偶者特別控除が適用できる
【関連記事もチェック】
・2018年から配偶者控除が改正!産休・育休中に適用になる人拡大
・事実婚にした場合の税金や保険のメリット・デメリット
・税金を減らしてお金を増やすキーワードは「所得控除」にあり
山田 香織 中小企業診断士、 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
FP歴10年。会計事務所で11年間、経営・税務相談業務を経験した後、FP事務所を開業。
個人から中小企業者まで経営に関する相談実績がある。現在は、会計・税務の経験を活かして、家計・経営相談を受ける。執筆活動も積極的に行う。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう