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24/01/09

資産運用・経済

新NISAで優待株を買うときの注意点 改悪・廃止しやすい企業の特徴

新NISAで優待株を買うときの注意点 優待を改悪・廃止しやすい企業の特徴

企業が一定の株式数を保有している株主に対して自社などの商品やサービスを贈呈する「株主優待」は、株式投資の魅力の一つです。しかし、株主優待がある「優待株」を買う際は、優待が廃止されるリスクに注意しなければなりません。

今回は株主優待が廃止される理由や株価への影響を解説したうえで、優待株を買う際の注意点を紹介します。新NISAで初めて優待株を買おうとしている方はチェックしてみてくださいね。

株主優待が廃止される理由とは?

株主優待は日本独自の魅力的な制度ですが、法的な義務はないため、企業の判断で廃止や縮小される可能性もあります。実際、株主優待をおこなう企業数は2019年をピークに減少傾向。2023年こそ2024年の新NISA開始を見越してか多少増加しているようですが、今後も減少傾向は続くかもしれません。

2023年1月に発表された大和総研のレポートによると、株主優待を廃止する理由として「公平な利益還元のため」と答える企業が急増しているとのこと。そもそも株主優待は日本に居住する個人の株主が対象となるため、海外に居住する株主や機関投資家にはメリットが薄いといった問題が影響しているようです。

下表は2023年10月以降に「公平な利益還元」を理由に株主優待の廃止を発表した企業の例です。

<株主優待の廃止を発表した企業>

当該企業の株主・投資家情報をもとに筆者作成

なお、そのほかの廃止理由としては「上場廃止」や「経営不振」が一定割合を占めています。

新NISAで株主優待廃止・縮小の発表後は株価の下落に注意

株主優待の廃止や縮小の発表後は株価が下落する場合もあるため、注意が必要です。大和総研のレポートによると、株主優待廃止の発表後は株価が平均5~6%下落するとされています。特に優待廃止と同時に増配(配当金を増やすこと)を公表しなかった企業でこの傾向が強くなるようなので、優待廃止の事実だけではなく、それによる増配(もしくはその可能性)の有無もチェックすることをおすすめします。

例えば2023年11月10日に株主優待の縮小(増配の発表はなし)を発表したアマガサ(3070)では、発表翌営業日の株価が30%以上下落しています。

<アマガサの株価チャート>

Yahoo!ファイナンスより

もちろん一時的に株価が下がってもすぐに持ち直すケースもあるため、株主優待廃止・縮小が発表されたからといって慌てるのではなく、廃止理由や業績なども鑑みて総合的に判断することが大切です。

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優待株を選ぶ際の注意点

株主優待が廃止されやすい企業の特徴には以下のようなものがあります。新NISAで優待株を買って長期保有しようと考えている方は、優待廃止により含み損を抱えてしまうリスクがあるのでこれらをふまえて慎重に銘柄を選びましょう。

【株主優待が廃止されやすい企業】
・自社の商品・サービスと関係ない優待(例:QUOカードなど)
・配送コストの高い優待
・業績や株価が低迷している

株主優待の内容が自社の商品・サービスと関係ない場合、優待が廃止されやすいので注意しましょう。実際、2023年10月以降に優待廃止を発表した日本取引所グループやみずほリースの優待内容は自社サービスとは関係のないQUOカードでした。配送コストの高い優待や業績・株価が低迷している企業でも、コスト削減のために廃止される可能性が高くなります。

逆に自社に関連のある優待で、さらに配送コストが低ければ、優待は比較的廃止されにくいでしょう。例えば、自社サービスの割引券を郵送、または電子チケットを配布しているなどです。

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もしも保有している株の優待が廃止・縮小になってしまったら?

すでに株を保有している企業の優待が廃止または縮小され、株価が下がってしまう場合もあります。そのような場合でも、まずは廃止や縮小の理由をチェックして、保有を続けるべきかどうか判断しましょう。

もし業績悪化による優待廃止で株価が下落し、今後も回復する見込みがない場合でも、すぐには売らず、ある程度株価が戻るまで待ってから売り時を見極めることが大切です。

もちろん株主優待の廃止理由が業績悪化や上場廃止ではなく、今後も順調に業績が伸びそうなら保有し続けるのも一案です。株主優待のメリットはなくなってしまいますが、配当や値上がり益の恩恵が受けられる可能性があるからです。

株主優待の内容だけでなく業績や株価もチェック

新NISAで株主優待を目的として株式投資を始めようと考えている方は、株主優待が廃止されるリスクもふまえて銘柄を選びましょう。
近年は株主の公平性の観点から、株主優待から配当による利益還元に切り替える企業が増えています。そのため、株主優待の内容だけに着目するのではなく、業績や株価が今後も順調に伸びそうかという点もチェックしたうえで、銘柄を選ぶことをおすすめします。
新NISA制度を上手に活用して、長期的に安定した運用を目指しましょう。

鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)

銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com

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