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24/08/27

資産運用・経済

「新NISAとりあえず1万円積立はダメ」と専門家が指摘するのは正しいのか

「新NISAとりあえず1万円ではダメ」と専門家が指摘するのは正しいのか

新NISAを始める前に、どれくらいの金額を投資に回すか考える必要があります。投資信託の積立は月5000円や1万円程度から始めることができますから「まずは毎月1万円ずつ積み立てていこう」など、始めやすい金額でスタートする方も多いでしょう。
しかし「とりあえず1万円ではダメ」と指摘する専門家もいます。これは正しいのでしょうか。また、なぜ月1万円の積立ではいけないのでしょうか。

月1万円の積立投資は、初心者が投資を始めるのにぴったり

月1万円ずつの積立投資がよくないというわけではありません。むしろ、月1万円の積立投資は、初心者が無理なく投資をスタートするのに適しているといえるでしょう。

何十万円もの金額を一括投資する方法もありますが、そのためにはまとまった資金を用意しなければなりません。もしまとまった資金があっても、価格が暴落するリスクがあることを考えると、一括で投資するのはなかなかハードルが高いでしょう。実際、2024年8月5日には4451円安となり、1987年10月の「ブラックマンデー」を超える歴史的な暴落となりました。

月に1万円ずつ積立することで、投資とはどのようなもので、世の中の動きと投資はどのように関わっているのか、実践しながら学ぶことができます。投資ビギナーが投資に慣れるためにも、月1万円の積立投資はとてもよい選択肢と考えられます。

投資に慣れたら、目標金額から逆算して投資金額を決める

前述の通り、1万円の積立投資は、初心者が投資を始めるのにはよい方法といえるでしょう。ただし、ある程度投資に慣れてきたら、改めて投資金額について考える必要があります。

多くの人にとって、投資をすること自体がゴールではないはずです。「退職後も生活費に困らない暮らしをしたい」「家を買うための資金を貯めたい」など、人によってさまざまな目的があり、そのために投資を始めたのではないでしょうか。

投資の目的を果たすには「いつまでにいくら増やしたいか」を決め、そこから逆算して投資金額を決める必要があります。その点で、「とりあえず1万円はダメ」という意見は正しいといえるでしょう。

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老後資産を貯めたい場合、毎月の積立金額はいくらか?

例えば、投資で老後の資金を貯めたい場合を考えてみましょう。

老後の生活費として、月に20万円が必要と仮定します。厚生年金の受給金額は収入や保険料の納付期間によって異なりますが、ここでは月額14万円としましょう。すると、毎月6万円が足りないことになります。

65歳に退職して、85歳までの20年間生きるとすると、6万円×12か月×20年間=1440万円。つまり、老後までに投資で1440万円を用意する必要があるということです。

現在40歳とすると、退職する65歳までには25年間あります。年利3%で積立運用をおこない、25年後に1440万円を用意したい場合、毎月の積立金額は3万2287円という計算になります。

もちろん、将来のことを正確に予測することはできません。物価が高騰して生活費が20万円では足りなくなる可能性もありますし、90歳、100歳まで生きる可能性もあります。しかし、現時点で仮にでも将来の計画をしておくことで、今何をすべきかの見通しを立てることができるでしょう。

金融機関のホームページなどには、目標資産額や利回り、積立期間などを入力することによって必要な積立金額を計算できるシミュレーションが用意されています。このようなツールも活用しながら、投資の目的を達成するにはどうすべきか考えてみてください。

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家計が赤字になるような無理な投資は危険

目標金額を設定し、そこから逆算して投資金額を計算する方法を説明してきました。しかし、家計の状況によっては、必要な金額を毎月投資するのが難しい場合もあります。

将来のための資金を増やしたいからといって、家計が赤字になるほどの金額を投資につぎ込んだり、すぐ使う予定のあるお金を投資に回したりすることはおすすめできません。なぜなら、投資は価格が変動するリスクがあるためです。

例えば、3か月後に支払う家賃の分を投資に回したとします。しかし、3か月後に暴落が起きてしまえば、家賃の分のお金がなくなってしまう可能性があります。仕方なくお金を借りて家賃を支払ったとすると、利息の支払いで資産がさらに減っていきます。
このように、すぐ使う予定のある資金を投資に回すと、投資で資産が増えるどころか、余計なお金を使い資産が減ってしまう可能性があるのです。

このようなことを防ぐために、投資はしばらく使う予定のない余裕資金でおこなうようにしましょう。なにより、新NISAは長期的な視点で資産形成に取り組むことを前提にした制度です。じっくりと取り組むためにも、余裕資金で行うことが大切です。余裕資金がない場合、投資を始める前に家計を見直し、余計な支出を減らすことから始めましょう。

投資の目的や家計の状況を考慮して投資金額を決めよう

投資金額をどう設定するべきか、その考え方について解説してきました。ただなんとなく投資するのではなく、目標金額や期間を設定し、そこから逆算して投資金額を決めるとよいでしょう。

ただし、家計が苦しい状態で無理に投資をおこなう行為はおすすめできません。家計の状況も考慮したうえで、ご自身に合った投資金額がいくらか考えてみてください。

木下七夏 Webライター

大学卒業後金融機関に勤め、個人のお客さま向けの営業を担当。退職後にFP2級を取得し、フリーライターに。FPで学んだ知識や金融機関勤めの経験を生かして、生活にまつわるお金の疑問を分かりやすく噛み砕いて解説する記事を作成している。

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