24/07/26
【ヤバイ】118万人が企業型DCで大損!手数料だけ取られ続け、いずれ資産ゼロになる可能性も

老後資金を考える時、すでに加入している年金の把握は必要不可欠です。ところが、企業型確定拠出年金(企業型DC)がある企業の会社員のなかには、企業型DCに加入していること自体、意識していない人が少なくありません。
入社した時には説明されているはずですが、すぐに使う制度でもなく、掛金の負担がなければ、加入している意識が薄れてしまうのも無理のないことなのかもしれません。
しかし、転職の時に企業型DCを放置してしまうと大損することになりかねません。
今回は、企業型DCの、転職時に必要な「移換」の手続きをお伝えします。
企業型確定拠出年金(企業型DC)とは?
企業型DCとは、企業が掛金を毎月積立てて、従業員が運用する、年金の制度です。
企業が出す掛金は決まっていますが、将来年金(もしくは退職時に一時金)として受け取る金額は、従業員の運用次第で変わります。
企業型DCは、大切な老後資金のための運用なので、リスクを抑えた堅実な運用方針にしている人が多いと思います。
企業型DCのある企業を離職・退職した時には、年金資産を他の年金制度に持ち運べる、ポータビリティの制度があります。
転職先に企業型DCがあれば資産を移換できますし、個人型確定拠出年金(イデコ、iDeCo)に移換することも可能です。
ただし、移換は加入者自身が手続きする必要があります。
実は、この移換の手続きをせず、企業型DCを放置している人が年々増えているのです。
その数は2023年3月末時点でなんと、118万人にものぼっています。
<企業型DCの移換手続きをしていない人>

国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」
(令和5年3月末現在)より
企業型DCの移換をしないデメリットとは?
企業型DCに加入していても、転職・退職から6カ月以内に移換の手続きをしないと、年金資産は国民年金基金連合会に自動的に移されてしまいます。これを「自動移換」と言います。
自動移換のデメリットには次の3つがあります。
●自動移換のデメリット1:自分で運用できない
自動移換された企業型DCの資産は、利息などがつかない現金として管理されるため、普通預金レベルの利息すら受け取れません。また、自分で運用することができないので、せっかくの年金資産が活かされません。
●自動移換のデメリット2:手数料がかかって資産が減る
自動移換されると、手数料が年金資産から差し引かれて、資産が減ってしまいます。
自動移換の際には、特定運営管理機関への手数料が3300円、国民年金基金連合会への手数料が1048円、合わせて4348円の手数料がかかります。そのうえ、自動移換されている間には毎月52円の管理手数料がかかります。
さらに、自動移換された資産をiDeCoに移換する場合は3929円、企業型DCに移換する場合は1100円の手数料が発生します。
いずれも、自動移換されなければ発生しなかったコストですから、もったいないですね。
●自動移換のデメリット3:加入期間にならない
そして、自動移換の期間は、企業型DCの老齢給付金の受給要件となる、通算加入者期間に含まれません。通算加入者期間が10年以上あれば60歳から企業型DCの老齢給付金を受け取れますが、10年未満の場合には、最大65歳まで延期されてしまいます。
毎月の管理手数料が少額だからといって軽く考えるのは禁物です。毎月かかるものなので、ボディーブローのように効いてきます。
しかも、厚生労働省「社会保障審議会(企業年金・個人年金部会)」の資料によると、自動移換が増えているという問題に対し、
・自動移換者の総数が増加していることから、事業主による周知の徹底や管理手数料の引上げの対応を強化するほか、加入者の行動を分析し、投資教育や退職前の説明により加入者本人の理解を促進することも検討してはどうか
と記されています。したがって今後、管理手数料が引き上げられることもあるかもしれません。油断大敵です。
移換の手続きをしておこう
デメリットだらけの企業型DCの放置ですが、避けるには移換の手続きを必ずすることです。
転職・退職を決めたら、あらかじめ元本確保型の定期預金へ預け替えておくと理想的。移換手続きの際、年金資産はいったん現金化されますが、そのタイミングはコントロールできません。
もし、現金化する時に値崩れがあったら損してしまいます。ですから、自分でタイミングを見計らって元本確保型に切り替えておくのです。
そして転職・退職後、「個人別管理資産移換依頼書」にて6カ月以内に手続きします。
転職先に企業型DCがあれば、会社に提出します。
転職先に企業型DCがなくて、iDeCoに移換する場合には、iDeCoの口座を開設した金融機関に提出します。
自動移換になると、「自動移換通知」が届きます。また、その後は年に一度、「定期通知」が届き、資産状況が知らされます。ですから、もしこれらの通知が届いているなら、自動移換されているということです。
自動移換になってからでも、手数料はかかりますが、移換の手続きは可能です。できるだけ早く、移換の手続きをしておきましょう。
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タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務に従事。43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー

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