24/03/04
金利上昇時におすすめの資産運用先3選
最近ニュースや新聞などで「金利が上昇している」と見聞きする機会が増えてきました。そもそも金利とはどのようなものなのでしょうか。私たちの生活にどういった影響があるのでしょうか。
今回は金利の仕組みや私たちの生活へ影響を解説したうえで、金利上昇時の資産運用先について紹介します。
金利とは何?どうやって決まるの?
金利とは、お金を借りる際に借主に支払うコストのことです。たとえば銀行から住宅ローンを借りる場合、毎月の返済時に元本に上乗せして利息を支払いますよね?その元本に対する利息(コスト)の割合が金利です。通常、元本に対して「年率○%(パーセント)」というように表されます。
金利には「短期金利」と「長期金利」があります。どちらも金融機関が優良企業にお金を貸す際の最優遇金利(プライムレート)のことです。
短期金利は1年未満で貸し出す際の金利で、おもに変動金利型の住宅ローンや普通預金、短期の定期預金の金利が影響を受けます。
一方で長期金利は1年以上で貸し出す際の金利で、固定金利型の住宅ローンや国債、保険商品、長期の定期預金などが影響を受けます。最近ニュースなどでいわれている「金利上昇」はおもに長期金利のことを指しています。
金利は常に一定ではありません。一般的に金利は「お金の需要と供給のバランス」によって決まります。世の中に出回っているお金の量に対してお金を借りたい人が多ければ金利は上がり、お金を借りたい人が少なければ金利は下がります。
そして、世の中に出回るお金の量をコントロールしているのが日本銀行(日銀)です。日銀は「政策金利」を通じて、間接的に世の中のお金の需給バランスを調整しています。政策金利とは、景気や物価を安定させるために日銀が定めている誘導目標金利のことで、みなさんがよく見聞きする「マイナス金利」もその一種です。この政策金利の影響を受けるのは、短期金利です。
金利は私たちの生活にどう関係しているのか?
金利は私たちの生活に密接に関係しています。とくに金利と関連の深い「景気」「物価」「為替」について、金利が上がるとどのような影響があるのか見ていきましょう。ここで紹介するのはあくまで一般的な考え方なので必ずしもそのとおりにならない場合もありますが、資産運用を考えるうえでも有利に働くので、基礎知識として知っておきましょう。
●金利が上がると景気が下がる
金利が上がると景気が下がるといわれています。金利が上がると金融機関の貸出金利も上がるため、企業はお金を借りにくくなります。企業のお金が不足して設備投資にまわせなくなるとモノやサービスの供給が減ってしまいます。企業の供給が減ると売上も減少するため業績が悪化し、株価が下がります。結果的に景気の悪化につながるわけです。
●金利が上がると物価が下がる
金利が上がると物価の下落にもつながります。金利が上がると預金金利が高くなるため、人々は消費より貯蓄にお金をまわすようになります。つまりモノやサービスの需要が減ってしまうのです。また住宅や車などのローンを組んで購入するような高額商品も、金利上昇によりお金が借りにくくなるため売れにくくなります。需要が減れば企業はモノを売るために価格を下げるため、物価の下落につながります。
●金利が上がると円高になる
金利は為替にも影響します。一般的に、金利が上がると円高になります。円の金利が上がると、外国人投資家が国債などの円建て資産を買って利益を得ようとするニーズが高まるためです。円の需要が高まれば相対的に円の価値が高くなるため、円高につながります。
金利上昇時におすすめの資産運用先3選
金利が上昇している局面ではどのような資産運用が適しているのでしょうか。ここでは金利上昇時におすすめの資産運用先を3つ紹介します。
●元本割れリスクを負いたくないなら「定期預金」
金利上昇時は定期預金の金利も高くなりがちです。最近では長期金利の上昇に伴い、5年以上の定期預金の金利引き上げが相次いでいます。たとえばメガバンクでは5年もので0.075%、10年もので0.20%(2024年2月時点)と、以前より最大100倍程度金利がアップしています。長期間使う予定のないお金で、元本割れリスクを負いたくないのであれば定期預金で運用するとよいでしょう。
また、ネット銀行を中心に一部の金融機関では1年以下の定期預金の金利も上がっています。短期金利は今のところ上昇傾向にはないものの、近々「日銀がマイナス金利政策を解除するのでは」という見方から今後の短期金利の上昇が予想されています。それにより、条件のよい運用先が出てきた場合に備えてタイムリー資金を動かしやすい短期の定期預金のニーズが高まっているのが影響しているようです。
新規口座開設などの条件を満たした場合に適用されるキャンペーン金利なども見られますが、ひとまず直近の運用先を探している方は1年以下の定期預金を活用してみるのも一案です。
●定期預金より金利の高い「変動10年国債」
定期預金と同様に、元本保証がある国債でも金利が上昇しています。個人の投資家が1万円から購入できる「個人向け国債」では、満期が10年で変動金利の「変動10年」の金利が0.49%(2024年2月時点)と、一般的な定期預金より高い金利となっています。
ただし変動10年国債は半年ごとに金利が見直されるので、今後金利が下がった場合はその分受け取れる利子が少なくなる点は留意しておきましょう。なお、年0.05%の最低金利は保証されています。一方、個人向け国債の5年もの(固定5年)、3年もの(固定3年)は固定金利なので、金利変動の影響を受けたくない場合はこちらで運用するのもよいでしょう。
個人向け国債で運用する際に注意したいのは、国債発行日から1年以内は換金できない点です。そのため、すぐに使う可能性のあるお金は1年未満の定期預金など、いざというときに引き出しやすい方法で運用することをおすすめします。
●新NISAで投資にもチャレンジ
定期預金や国債以上の利益を狙いたいのであれば、投資信託や株式投資による資産運用もおすすめです。2024年1月から新NISA制度が始まり、以前より非課税投資枠が広がり、非課税保有期間の定めもなくなりました。
投資は、定期預金や国債のように元本保証はないものの、長い期間運用することで大きな利益を得られる可能性があります。いくら金利が上昇したといっても、定期預金や国債の金利はせいぜい年1%以下。投資なら長期的に運用することで年3%以上の利益を得ることはそれほど難しくありません。たとえば老後資金や教育資金など、10年後、20年後に必要なお金を効率よく準備したいのであれば、新NISAを活用して投資することも検討しましょう。
株価や投資信託の価格は景気に左右されますが、積立投資であれば定期的に決まった金額を購入していくスタイルなので、長く続けることで購入価格を平均化する効果があります。大きく損をしにくい投資方法なので、金利上昇時にもおすすめの資産運用先です。投資のリスクを抑えたい方は、投資信託などの積立投資を検討しましょう。
目的や運用期間に応じて使い分けよう
金利の上昇は、景気・物価・為替など私たちの生活にさまざまな影響があります。金利が上がると、まず金融機関の預金金利や貸出金利に反映されるので、資産運用やローン契約を考えるうえで重要になってきます。
すでに定期預金や国債の金利が上がりつつありますが、投資で期待できる利益と比べると限定的です。そのためすぐに使わないお金を運用するのであれば、その一部を投資にまわして効率よく増やすことも検討しましょう。資産運用先を考える際は、目的や運用期間に応じて上手に使い分けることをおすすめします。
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鈴木靖子 ファイナンシャルプランナー(AFP)、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。企業のお金に関する業務に携わるなか、その経験を個人の生活にも活かしたいという思いからFP資格を取得。現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆や相談業務を中心に活動中。
HP:https://yacco-labo.com
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