23/07/06
60歳以降にもらえる3つの「高年齢給付金」対象となる人・金額
60歳が定年の企業が多いなか、定年後も働く人が増えてきました。しかし、現役時代と違って賃金が下がってしまったり、そもそも仕事がなかなか見つからなかったりすることも。そんなとき、条件を満たすと給付金がもらえる場合があります。今回は60歳以降も働く方がもらえる3つの「高年齢給付金」についてご紹介します。
65歳までの求職活動では、失業手当がもらえる
高年齢給付金を知る前に、「失業手当(以下、基本手当)」を押さえておきましょう。
基本手当は、65歳未満の方が離職し転職活動する際にもらえる手当です。基本手当の金額(基本手当日額)は離職した直前の6カ月の賃金の合計を180で割り、45~80%を乗じた金額(60歳~64歳の場合)になります。また、基本手当がもらえる日数(給付日数)は、「退職理由」や「年齢」、「被保険者であった期間」により異なります。例えば60歳〜64歳の方で、被保険者であった期間が10年以上~20年未満の場合の給付日数は、会社都合の場合210日、自己都合の場合120日となります。
60代以降にもらえる3つの高年齢給付金
60代以降にもらえる高年齢給付金には、3つあります。それぞれ、もらえる条件や支給期間、給付期間などが異なります。
●3つの「高年齢給付金」の違い
厚生労働省のウェブサイトを基に筆者作成
高年齢給付金①:高年齢雇用継続基本給付金
勤め先で60歳以降も勤務する場合、再雇用制度などにより賃金が減ることが多くあります。高年齢雇用継続基本給付金は、そのような急な賃金の低下を支えるための制度です。
高年齢雇用継続給付金をもらうための条件には、「60歳以降の賃金が60歳時点の賃金の75%未満」「被保険者期間が5年以上」「基本手当をもらっていない」があります。
高年齢雇用継続給付金の支払期間は65歳に達する月まで続きます。給付額は表のように60歳以降の賃金の低下率により異なり、最大15%もらえます。
●支給対象月に支払われた賃金額の低下率に応じた支給率
厚生労働省のウェブサイトより
なお、高年齢雇用継続給付金は2025年4月より段階的に縮小し、いずれ廃止となることが決定しています。
高年齢給付金②:高年齢再就職給付金
高年齢再就職給付金は、60歳以降に離職後、基本手当をもらいながら求職活動をし、再就職が決まった場合にもらえる給付金です。受給要件には、高年齢雇用継続基本給付金の要件と同じ「60歳以降の賃金が60歳時点の賃金の75%未満」「被保険者期間が5年以上」に加えて、「基本手当の支給残日数が100日以上ある」「就職先で1年以上雇用されることが確定している」「再就職手当をもらっていない」があります。
高年齢再就職給付金の支給期間は、基本手当の支給残日数が200日以上残っている場合は再就職後2年間、100日以上残っている場合は1年間となっています。給付額は高年齢雇用継続基本給付金と同じです。なお、65歳に達すると、もらえる期間が残っていても給付金の支払いは終了します。
高年齢給付金③:高年齢求職者給付金
雇用保険の基本手当は、64歳までの方しかもらえません。65歳以降の再就職を補助するために用意されている給付金が高年齢求職者給付金です。
高年齢求職者給付金の金額(基本手当日額)の計算は基本手当と同じです。しかし、給付日数の考え方が変わります。高年齢求職者給付金の給付日数は、被保険者期間が1年未満の場合30日、1年以上の場合は50日です。つまり、基本手当の給付日数よりも少ないため、もらえる金額も基本手当より少なくなってしまいます。
高年齢求職者給付金の支給を受けることができる期限(受給期限)は離職日の翌日から1年以内のため、ハローワークでの手続きはなるべく早く行いましょう。もし手続きが遅れてしまい、給付日数が離職日の翌日から1年を超えてしまうと、支給額の一部または全部を受給できなくなります。また、自己都合の退職の場合は2カ月の給付制限があるため3カ月目から高年齢求職者給付金をもらえることを覚えておきましょう。
まとめ
60歳以降も働く方には、さまざまな高年齢給付金があることをご紹介しました。高年齢給付金を活用すれば、減ってしまう収入を補ったり、新しい仕事を探しやすくなったりできます。60代以降も安心して働くためにも、ぜひ高年齢給付金を活用しましょう。
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金子圭都 ファイナンシャルプランナー(CFP︎®︎)
学生の頃、親族の死をきっかけにお金について学び、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。お金の勉強をする女性コミュニティでイベントの企画・運営に3年間携わり、のべ200人以上のお金の悩みに寄り添う。その後独立し、お金の不安を安心に変えるマネー相談を中心に活動中。FP Cafe登録パートナー。
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