23/02/24
共働きは公的年金「9493万円」もらえるのは本当か
数年前の老後2,000万円問題の報道で、老後の不安感に拍車がかかっている方も多いのではないでしょうか。でも、共働きならば、公的年金「1億円」も見えてきます。そこで今回は、厚生労働省が公表している年金のモデルケースをもとに、共働き世帯がいくら年金をもらえる想定となっているのかをご説明するとともに、ご自身の具体的な年金額を簡単に確認する方法についてもご紹介します。
共働きなら公的年金「1億円」も見えてくる
厚生労働省のプレスリリース「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」によると、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額(67歳以下の方)は、224,482円/月となっています。この金額は、夫が賞与を含む月額換算の平均標準報酬43.9万円で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった夫婦2人世帯で、夫婦2人が受け取る老齢基礎年金を含めた年金額を示しています。
仮に、65歳から90歳まで年金を受給するとすれば、その期間は25年です。この間、毎月224,482円の年金をもらったとした場合、年金受給総額は「224,282円×12か月×25年=67,284,600円」となります。
しかし、今は共働きの世帯のほうが多い時代です。仮に夫婦で同じくらいの年収があった場合を計算してみましょう。
同プレスリリースには老齢基礎年金の満額が66,250円と示されています。つまり、夫1人分の年金額は「224,482円-66,250円=158,232円」と考えられます。これを2倍すれば、「共働き世帯のモデル年金額」は316,464円と計算ができます。
この場合、65歳から90歳までの共働き世帯の年金受給総額は「316,464円×12か月×25年=94,939,200円」となり、およそ1億円もの公的年金を受給できることになります。
さらに、お勤めの会社によっては企業年金を受け取ることができる場合もあります。ご自身で個人年金保険やiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)などを利用して積み立てを行っているケースもあります。もちろん、90歳以上に長生きすることもあります。こうしたことがあれば、総額1億円を超えることも十分に考えられるでしょう。
自分の年金額を確認してみよう
国から支給される公的年金には、基礎年金(国民年金)と厚生年金があります。
先ほどご紹介したモデルケースは、夫が会社勤めをしていて、平均標準報酬が43.9万円の場合で計算されています。ご自身の状況と照らし合わせると、自分はそれよりも収入が多い、または少ないと感じる方もあるでしょう。その場合には、ご自身の年金額を確認してみる必要があります。
公的年金のもらえる金額は、会社に勤めていた時期の有無や収入などによって人それぞれ異なります。自分の年金額を知るためには、次のような方法を活用するのが便利です。
●年金額の確認方法1:ねんきん定期便
ねんきん定期便は、毎年、誕生日月に日本年金機構から送付されるものです。通常はハガキで届きますが、35歳・45歳・59歳の月は封書で届きます。ハガキのねんきん定期便では1年分、封書のねんきん定期便では全期間の年金加入記録が確認できます。
50歳以上の方に送付されるねんきん定期便には、今後60歳まで同じ条件で加入し続けた場合の年金見込額が記載されています。なお、50歳未満の人に送付されるねんきん定期便には、これまでの加入実績に応じた年金額について記載されています。
●年金額の確認方法2:ねんきんネット
ねんきんネットは、インターネットを通じてご自身の年金の情報を手軽に確認できるサービスです。24時間パソコンやスマートフォンからご自身の年金情報を確認することができます。これまでの年金加入記録が参照できるほか、年金額の詳細なシミュレーションもできます。
ねんきんネットにアクセスするには、マイナンバーカード、もしくはユーザIDの取得が必要です。ユーザIDは、ねんきん定期便に記載されている「アクセスキー」を利用すると簡単に取得できます(アクセスキーがなくても取得可能です)。
●年金額の確認方法3:公的年金シミュレーター
公的年金シミュレーターは、厚生労働省が公開している、ご自身の年金額を知ることができるサイトです。ねんきん定期便に記載されているQRコードからアクセスし、生年月日を入力するだけで簡単に年金額を知ることができます。さらに、画面にあるスライドバーを操作することで年金額のシミュレーションが可能。IDの取得等の煩わしさもないため、気軽に活用できます。
なお、企業年金や個人年金保険などからもらえる年金額は、お勤めの会社や個人年金保険を扱う会社に確認すれば教えてもらえます。
まとめ
老後への不安を感じている方は多いでしょう。しかし、その多くが漠然とした不安ではないでしょうか?まずは、ご自身の将来の年金額を確認し、現在の生活費をもとにした老後の生活費と照らし合わせて、不安の正体を明確にしてみることが大切です。不安を明確にした上で、どのような準備が必要なのかを検討し、老後の不安解消に努めていきましょう。
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キムラミキ 株式会社ラフデッサン 代表取締役
AFP・社会福祉士・宅地建物取引士。外資系生命保険会社、マンションディベロッパーの営業を経て独立。現在は、就労移行支援事業所Fine米子オフィス(うつや発達障がいのある方の就労サポート施設)の運営に携わり、経済的自立をしたいと考える方のサポーターとして活動中。得意分野はライフプラン、キャリアプラン、生命保険、不動産。BSS山陰放送ラジオパーソナリティ歴10年以上の顔も持つ。
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