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23/04/22

相続・税金・年金

退職金は一時金と年金、どちらで受け取るのが正解か

退職金は一時金と年金、どちらで受け取るのが正解か

老後の生活の大きな支えとなる退職金。まとまった金額が受け取れると楽しみにしている方もいるかもしれません。この退職金、受け取り方によってかかる税金や社会保険料の額が変わるため、手取りの金額が大きく違ってくることをご存じですか?

今回は、退職金の受け取り方による手取り額の違いと、どう受け取るのが正解なのか、退職金の受け取り方の3つの基本戦略を紹介します。

退職金の受け取り方は3通り

退職金の受け取り方には「一時金」「年金」「一時金&年金」の3通りがあります。

●一括でまとめて受け取る「一時金」

一時金は、一括でまとめて退職金を受け取る方法です。毎月の給与は「給与所得」として、所得税や住民税が課税されますが、退職金を一時金として一括で受け取るときには給与所得でなく「退職所得」として所得税や住民税が課税されます。退職所得は分離課税となり、他の所得とは区別して課税されます。

退職所得には、退職金にかかる所得税や住民税を大きく減らす「退職所得控除」という控除が利用できます。

退職所得控除が退職金よりも多い場合には、税金はかかりません。また、退職金が退職所得控除より多い場合には、退職金から退職所得控除の金額を引き、さらに2分の1をかけた金額が退職所得となります。この退職所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引くことで、所得税や住民税の金額が算出されます。

【一時金の場合の税金・社会保険料】

(株)Money&You作成

さらに、勤続年数に年未満の端数がある場合は、勤続年数は切り上げになります。
たとえば、22歳の4月1日に就職し、60歳の3月31日まで38年間ちょうど勤めて退職した場合の勤続年数は「38年」ですので、退職所得控除の金額は800万円+70万円×(38年−20年)=2060万円となります。
それに対して、60歳の4月1日に退職した場合は、勤続年数が「38年と1日」ですから、「39年」となります。したがって、退職所得控除の金額は800万円+70万円×(39年−20年)=2130万円となります。

なお、一時金の場合は社会保険料の負担はありません。退職後に国民健康保険に加入する場合も、退職所得は除外して保険料を計算します。

●分割で少しずつ受け取る「年金」

年金は、10年、15年などと、一定の年数をかけて少しずつ退職金を受け取る方法です。年金で受け取る場合、まだ受け取っていない退職金を勤務先が所定の利率(予定利率)で運用してくれるため、年金額が増えます。額面の総額は一時金よりも多くなります。

しかし、退職金を年金として受け取ると退職所得ではなく「雑所得」になるため、先に紹介した退職所得控除は活用できません。
公的年金等の雑所得は、毎年の公的年金などの収入を合算した金額から「公的年金等控除」という控除を差し引いて計算します。公的年金等控除の金額は、年金などの収入の合計額や年齢(65歳未満・65歳以上)によって変わります。
雑所得に所定の税率をかけ、控除額を差し引くことで、所得税や住民税の金額が算出されます。

【一時金の場合の税金・社会保険料】

(株)Money&You作成

年金の場合の社会保険料は、加入する社会保険によって変わります。会社の社会保険に加入した場合、社会保険料は給与に基づいて計算されるため、一時金の場合と同様に影響はありません。一方、国民健康保険に加入した場合は、雑所得を含めた所得で保険料を計算するため、毎年の年金額が保険料に影響します。つまり、退職金を年金で受け取った場合、保険料が増えるというわけです。

なお、「一時金&年金」という具合に、一時金と年金を併用することもできます。一時金と年金を併用すると、一時金の部分には退職所得控除、年金の部分には公的年金等控除を適用します。

退職金の受け取り方で手取りはどう変わる?

では、退職金を「一時金」「年金」「一時金&年金」で受け取った場合の手取りの違いの例を見てみましょう。

【条件】
・東京都文京区在住
・38年間勤続で退職金は2000万円
・60歳から64歳までは再雇用制度で勤務し、年収300万円。協会けんぽに加入。
・退職年金は10年間で受け取る(予定利率1.5%)
・所得控除は基礎控除・社会保険料控除・所得金額調整控除のみとする

以上の条件のとき、
①2000万円を一時金で受け取った場合
②2000万円を年金で受け取った場合
③1000万円を一時金、1000万円を年金で受け取った場合
の3パターンの手取りの合計は、次のとおりです。

●退職金の受け取り方による額面・手取りのシミュレーション

(株)Money&You作成

額面金額の合計は、「年金」が4650万円ともっとも多くなります。年金で受け取る場合は、会社が運用してくれるため、額面金額は増えます。
しかし、手取りの合計は「一時金」がもっとも多く、4090万円となっています。これは、年金受け取りにすることで毎年の収入が増え、税金や社会保険料の負担が増えるからです。
「一時金&年金」では、毎年の退職年金が減った分だけ税金や社会保険料が減るため、「年金」よりも手取りが多くなっています。しかし、結果としては「一時金」と「年金」の間くらいの額面・手取りとなっています。

なお、上記の試算は一例です。お住まいの自治体の社会保険料の金額や退職金・企業年金の予定利率などによって細かい数字は変わるので、参考程度にとどめていただければと思います。ただ、退職金の金額がいくらの場合でも、手取り額がもっとも大きくなるのは退職所得控除をフル活用した場合になるでしょう。

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退職金はどう受け取るのが正解?

以上を踏まえて、退職金はどう受け取るのがいいか、3つの基本戦略を紹介します。

①退職金が退職所得控除より少ないなら「一時金」
退職所得控除の効果は大きいので、手取りの金額を多くしたいのであれば、一時金で受け取ったほうが得をするケースが多いでしょう。退職金の額が退職所得控除より少ないならば税金はかかりません。

②退職金が退職所得控除より多いなら「一時金&年金」
退職金が退職所得控除より多いならば、退職所得控除を最大限活用し、公的年金等控除も活用できる一時金&年金がおすすめ。退職所得控除を少しオーバーするまでは一時金で受け取り、残りは年金で受け取る「一時金+年金」を利用すれば、退職所得控除も公的年金等控除も活用でき、税額を減らせます。

③無駄遣いしそうなら「年金」
手取りの面や、税金・社会保険料の面からは「一時金」「一時金&年金」の方がいい場合でも「無駄遣いしてしまいそう…」という方は、年金で受け取りましょう。まとまった退職金を手にしても、無駄遣いしてしまうようではお金がすぐなくなってしまいます。年金ならば毎年一定額ずつ振り込まれるので無駄遣いもしにくく、お金の使い道も決めやすいメリットがあります。また、会社の運用によって増やすこともできます。

退職金はいくら投資に回す?

退職後に資産運用を始めようと考える人は多いことでしょう。しかし、今まで投資経験が少ない人が、虎の子の退職金を全額投資に回すことはおすすめできません。投資は「冷静に判断すること」が必要不可欠ですが、全額投資してしまうと冷静さを欠いてしまいやすいからです。

では、退職金はいくら投資に回すのがいいのでしょうか。
退職金をもらう前の預貯金額によっても変わるのですが、たとえば退職金が2000万円であれば1000万円と、半分を預貯金や個人向け国債などの安全資産に割くとよいでしょう。

残りの半分のお金を投資に回す場合は、投資のタイミングを複数回に分けましょう。
たとえば、「月に50万円投資・計20回」「月に100万円投資・計10回」「1景気サイクルの5年間で積立投資」「2景気サイクルの10年間で積立投資」などです。
購入するタイミングを分散すると、平均購入単価を下げることができ(ドルコスト平均法)、利益が出しやすくなる期待ができます。投資先は投資信託やETFがおすすめです。

投資の利益を大きくするには、できるだけコストを抑えることが大切です。NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)を利用すると、投資の利益に本来かかる20.315%の税金をゼロにすることができます。税金がかからない分だけ、効率よくお金が増やせるというわけです。

2023年はつみたてNISAを利用することで、年間40万円までの投資で得られた利益が20年にわたって非課税にできます。ただ、つみたてNISAで買い付けできるのは2023年末まで。2024年からは、制度が大きく拡充した新しいNISAで、年間120万円(つみたて投資枠)・240万円(成長投資枠)、生涯にわたる非課税限度額(生涯投資枠)1800万円までの投資で得られた利益が無期限で非課税にできます。
1人あたり1800万円まで非課税で投資できるのは凄いことです。退職金の活用先として、投資をするならばまずは新しいNISAになることは間違いないでしょう。

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まとめ

退職金の手取り額は、一時金と年金で大きく変わります。なぜなら、受け取り方によって税金や社会保険料が変わるからです。一時金で受け取ったほうが手取り面で得をするケースは多いものの、退職金の額や「無駄遣いしてしまいそうか」といったことでも受け取り方の「正解」は変わってきます。

退職金の額、公的年金の額、保有資産は人それぞれです。退職金をどう受け取るかは、単に手取り面だけでなく、個人の事情も合わせて決めるようにしましょう。

今回の内容は動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。

頼藤 太希 マネーコンサルタント

(株)Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)、など書籍90冊、累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。twitter→@yorifujitaiki

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